
色も香りも味もいちごそのもの!「かき氷シロップいちご」
2025/04/30
今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、安全な果物から作られた本物のかき氷シロップ。「いちご風な味」でもなければ、食べて舌が赤くなることもない、香料、着色料等無添加ならではの逸品です。その秘密を、株式会社フルーツバスケット 代表取締役の戎谷徹也氏と、同社営業部の田中則行氏に、取材陣が伺いました。

株式会社フルーツバスケット 代表取締役の戎谷徹也氏
―戎谷社長のご経歴からお聞かせください。
戎谷 私自身は徳島県出身で、大学進学とともに上京。卒業後はしばらくの間、出版社に勤務していました。結婚し生まれた子どもがアトピー性皮膚炎を発症したのをきっかけに、当時はとても珍しかった、有機野菜を販売する株式会社大地を守る会に転職。無農薬野菜や添加物など、食の問題に取り組むようになりました。
大地を守る会は、しっかりと土づくりをして作る野菜は、栄養価が高く安全で環境にも配慮できるという考えのもと、1975年の発足以来、農薬に頼らない有機農業を支援してきました。無農薬野菜の青空市に始まった販売方法は、共同購入から個別宅配へと進化。有機農産物・無添加食品・非遺伝子組み換え食品などの販売を通して、生産者の支援を行っています。1982年に入社した私は、会員を増やす活動からカタログ製作、農家を回って農産物の仕入れなど様々な業務に携わりました。
大地を守る会は、2017年に類似企業と合併。現在はオイシックス・ラ・大地株式会社となり、多くの子会社を持っています。その1つである株式会社フルーツバスケットに私が入社したのは2014年のこと。2015年から現職に就いています。
―御社の成り立ちについても教えてください。
戎谷 大地を守る会は、有機野菜を扱う企業の中でも特に歴史が深く、2025年で50周年です。発足からしばらくたつと、食の安全に対する世の中の関心が高まってきました。需要が増えるのに伴って、生産者さんとの契約を増やしたのですが、生産者さんとは年間で作付面積と価格を決めるのに対し、会員さんは家庭の事情に合わせて注文の量が変動するので、そのバランスを取るのに非常に苦労するようになりました。
ある年に、キウイフルーツ農家さんと契約をしました。まだ今のように流通量が多くなかった時代で、売るのにとても苦労したのです。大切なフルーツを腐らせるわけにはいかないと職員たちが工夫をして、ジャムを作ったんですね。それを機に、契約している他の農作物でも、無添加の加工品を開発していきたいというムーブメントが社内で起きました。果物をそのものとして販売するだけでなく、規格外のものやちょっと傷ついたものも、加工品として価値を高めて販売すれば、農家さんにも還元できる、農家の経営を支えることにつながるんじゃないかと……。そもそも果物自体が減農薬や有機栽培といったクオリティの物ですから、消費者にもメリットが大きい。大地を守る会の農産加工部門として1987年2月に設立されました。
―ジャムが代表商品なんですね。
戎谷 最初の商品はりんごジャムで、山形の契約農家さんが直接トラックで運んできてくれたりんごで作りました。それからはジュース、ゼリー、シャーベット、などを開発し、商品数としては、バリエーションも含めると100種類くらいになるでしょうか。
―そのうちの1つがかき氷シロップですね。
戎谷 一般的なかき氷シロップは、着色料や香料が使われていて、食べると舌が真っ赤になるとか、本物のフルーツとは違った香りがするなどのイメージがありませんか?私たちは、原料そのものの力で勝負する、添加物や香料に頼ることなく、氷に負けないバランスの良いシロップを目指しました。
例えば代表格であるいちごは、地元である静岡県で収穫されたものを使い、副材料は砂糖のみ。色も香りも味わいもすべて、いちご本来のものなんですよ。
フルーツのうまみが凝縮したものなので、ヨーグルトにかけたり、牛乳で割っていちごミルクにしたり、パンケーキのソースにもいいですし、フレーバーによっては炭酸で割ったりと、かき氷以外の用途が多いのも特長です。

いちご本来の甘みと香りが口に広がり、後味はスッキリ。
―製法に秘密がありますか?
戎谷 まずは素材ですね。主には国内の契約農家で安全や環境に配慮して作られたもの。マンゴーなど、国産で対応できないものは海外産も一部使いますが、オーガニックや環境に配慮した栽培方法を確認できるものを指定しています。パイナップルは沖縄から直送、桃は山梨まで取りに行ったりと、フルーツ原体を仕入れますが、そのまま販売したくなるほどのクオリティです。
その材料を、ジャムの製法を生かして煮詰めています。特注の真空二重釜を使い、低温で煮詰めることで、風味や栄養価をしっかり残すことができるのです。

高温で加熱すると果物の香りは飛び、食感も残りにくいが、
真空にすることにより、低温で煮詰めることができる。
―製造上、難しい点は?
田中 フレーバーはだいたい10種類前後ラインナップしていますが、素材ありきで毎年変わる上、少しずつ、原料確保が難しくなっているものも出てきています。例えば2024年の冬はみかんが少なくて製造数量が限られました。その逆に、たくさん採れた果物がある年はバリエーションを増やすなどしています。
戎谷 バリエーションや商品数の安定より重きを置いていることがあります。我々は「顔の見える」と言っていますが、誰がどこでどんな風に作ったかがわかる、トレーサビリティの確保された素材を、添加物を使わず、原料の味、栄養価、風味を損なわないで作るという部分ですね。それゆえに、今年は去年のような味は作れないということもあります(笑)。
北海道のトウモロコシを缶詰にしたりもしていますが、今年はちょっと味が薄いかなとか、今年は甘みが強いねとか、九州のみかん、今年は味が濃いなというようなことがあります。産地の風景なんかも想像しながら楽しんでいただけたらと思います。
―2025年現在はどのようなフレーバーがありますか?
田中 パイン、レモン、もも、ぶどう、みかん、マンゴー、そしていちごのほか、鹿児島県産粉末緑茶を使用した緑茶に、北海道産のビートグラニュー糖と国産純粋はちみつ、スペイン産レモン果汁を使用したみぞれなどがあります。
戎谷 一般的なかき氷シロップの代表的なものにメロンがあるでしょう?実はメロンそのものをシロップにすると、色は緑になりませんし、水っぽくなるなど、無添加で実現させるのが難しい素材なんですよ。
―新フレーバーの展開はどのように?
田中 先ほどお伝えしたように、原料ありきでフレーバーも製造方法も変わっていきます。例えば沖縄県石垣島のパイナップルは、現地の加工工場が閉鎖されてしまったので、カットなどの下処理されることなく原体で送ってもらいます。
戎谷 桃は非常にデリケートで、輸送中、ほんの少しでも衝撃があると変色したり傷んだりしますが、丁寧に取り除いて加工することで廃棄を回避。そのように、新商品の開発は、生産地支援からスタートすることがほとんどなのです。
田中 2024年から発売しているフレーバーに「黄金の果実ミックス」というのがあります。ネクタリンという種類の桃がたくさん採れてしまったという生産者さんの声を受けて開発に着手。原価や味わいのバランスを取るうちに、複数の果物を混ぜて作ることになり、社内公募でネーミングを決定しました。

ネクタリンをベースにりんご、みかん、レモンをミックスした最新作「黄金の果実ミックス」。
―今後の展望をお聞かせください。
戎谷 弊社は、フードロスの削減と生産者支援からスタートしています。設立から間もない1991年、「りんご台風」とも呼ばれている大きな台風が青森を襲いました。収穫近いりんごの実を軒並み落とし、木をなぎ倒し、りんご農家さんに甚大な被害をもたらしました。フルーツバスケットは、使えそうな落ちたりんごをすべて引き受け、ジュースやジャムにしました。とにかく大量なジャムを売ることにも苦労はしましたが、絶望的だったけど希望を持てたとすごく感謝されて、これが農家さんと並走するということだと実感したのです。こういう会社を作って本当によかったと、みんなが心から思いました。
今も、有機栽培や減農薬栽培といった、環境や安全性に配慮した農家を増やすべく、その受け皿を作りつつ経営安定のサポートを続けています。昨今、生産者側の高齢化や後継者問題が大きくなっていますから、一層の商品開発と販路の開拓で支援ができればと思っています。生産と消費を繋げることを地道に続ければ、地域経済の活性化にも貢献できるのではないでしょうか。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「かき氷シロップいちご」(180ml)
価格:¥665(税込)
店名:フルーツバスケット
電話:055-974-2236(08:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.fruitbasket.co.jp/SHOP/k0181.html
オンラインショップ:https://www.fruitbasket.co.jp/

「かき氷シロップ黄金の果実ミックス」(180ml)
価格:¥681(税込)
店名:フルーツバスケット
電話:055-974-2236(08:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.fruitbasket.co.jp/SHOP/k0169.html
オンラインショップ:https://www.fruitbasket.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
戎谷徹也(株式会社フルーツバスケット 代表取締役)
徳島県出身。早稲田大学社会科学部卒。1982年11月、株式会社大地を守る会(現オイシックス・ラ・大地株式会社)入社。共同購入の配送・営業から始まり、広報・編集・外販・全ジャンルの取扱い基準策定とトレーサビリティ体制の構築・農産物仕入・放射能対策等の業務を経て、2015年より株式会社フルーツバスケット代表取締役。
フルーツバスケットは、フードロスを出さないためのジャムづくりをきっかけに、1987年3月、大地を守る会の農産加工部門として、静岡県丹那盆地に設立。全国各地の提携農家がつくった農産物をベースに、ジャム・ジュース・シロップ等を自社製造する他、様々な加工品を開発して今日に至る。
<文/植松由紀子 MC/田中香花 画像協力/フルーツバスケット>