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「青いダイヤ」と呼ばれる貴重な梅のみを使用。海外でも注目を集める「萬歳楽(まんざいらく)加賀梅酒」

2024/04/12

アルコールが苦手な人でも飲みやすいお酒といえば、梅酒。今回編集長アッキーが気になったのは「萬歳楽 加賀梅酒」です。貴重な品種「紅映梅(べにさしうめ)」を使用したこの梅酒は、国内はもちろん海外でも絶賛され、数々の賞を受賞した逸品。製造元である株式会社小堀酒造店 代表取締役社長の小堀靖幸氏に、誕生のきっかけやおすすめの飲み方について伺いました。

株式会社小堀酒造店 代表取締役社長 小堀靖幸氏
株式会社小堀酒造店 代表取締役社長の小堀靖幸氏

―1716年(享保元年)創業と、非常に古い歴史をお持ちです。

小堀 元々の屋号は「小豆屋甚兵衛」といって、小豆など穀物中心の商売をしていました。酒造りは江戸時代後期から始め今日まで続いており、私は16代目となります。

小堀酒造店のある石川県白山市の地域は昔から酒蔵が多くありました。霊峰白山の伏流水という質の良い水があり、かつお米作りが盛んであったのが理由だと思います。さらに石川県は日照量が少なくて湿度が高く、菌類の繁殖に適した環境であるのも関係しているかもしれません。

―御社のブランド「萬歳楽(まんざいらく)」の日本酒はいつ頃から造り始めたのでしょうか。

小堀 日本酒造りを専業で始めたのは明治時代からで、それに合わせて「萬歳楽」のブランド化も始まりました。明治の頃は昔ながらの酒造りをしていましたが、昭和初期から吟醸造りを始め、先進的な酒蔵として1940年に全国清酒品評会の優等賞をいただいています。1980年代には生産量が非常に増え、現在では県内有数の酒造メーカーとして知られるようになりました。

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江戸後期から酒造りを続けてきた歴史ある老舗「小堀酒造店」。

―小堀社長が代表に就任された経緯を伺えますか?

小堀 私は高校卒業後、東京農業大学へ進学し、その後会社員を経て北海道で12年農業をしていました。そんなとき、弊社から声がかかり、家業を継ぐことになりました。農業と酒造りは畑違いであるものの、お米の調達に関して農家の方とお話するときには農業の経験が役立ちます。例えば酒米を作っていただきたい時など、肥料や農薬の使い方についてスムーズに情報共有ができます。

―今回紹介する「萬歳楽 加賀梅酒」について、誕生の経緯をお聞かせ下さい。

小堀 「萬歳楽 加賀梅酒」は1991年に試作を開始し1993年に商品化したので、誕生してから約30年になります。始まりは、石川県の百貨店から「地元の名産品を使ったお酒を造ってほしい」という依頼があり、百貨店専用販売品として生まれました。

使用している梅は金沢や福井県で栽培される「紅映梅(べにさしうめ)」という品種です。同じ箇所には3年に1回しか実をつけず、栽培地も小さい希少な梅で「青いダイヤ」と呼ぶ人もいます。南高梅などと比較すると、果肉が厚いという特徴もあります。

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「青いダイヤ」とも呼ばれる福井県産の貴重な品種「紅映梅(べにさしうめ)」。

―「紅映梅」を使用した「加賀梅酒」の味わいは?

小堀 フルーティーな香りと程よい甘さ、かつクリーンな飲み口で、バランスの取れた味わいが特徴です。ストレートはもちろん、ソーダ割りやロックでもおいしいとのお声をいただいています。

個人的にはソーダ割りで飲むのが好みです。暑いときに、キンキンに冷えた梅酒をキンキンに冷えたソーダで割ると、スイスイ飲めてとてもおいしいので、夏にはこの飲み方がおすすめです。

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梅酒とソーダを両方冷やして作る爽やかなソーダ割りは、夏の暑い日におすすめ。

―フランスの「KuraMaster 日本酒コンクール」受賞やノーベル賞のパーティでも使用されるなど、海外評価も非常に高いです。

小堀 「KuraMaster 日本酒コンクール 2023年度」では「アリアンス ガストロノミー賞」、「梅酒コンクール プラチナ賞」をいただきました。海外ではまだまだ梅酒が浸透していないのですが、「萬歳楽 加賀梅酒」は海外ファンの方もいらっしゃり、お土産にも使われています。カクテルベースとして使える点が面白いと思われるようです。

―さまざまな熟成度合いの「加賀梅酒」がありますが、年数による味わいの違いは?

小堀 「加賀梅酒」の新しいものは2年熟成から、古いものになると12年、最も古いのは25年熟成のものです。新しい梅酒はややアルコールが残る香りなのですが、25年ものを飲んだときはカラメルのような香りがあり、こんなにも違うのかと驚きました。熟成によって一体感が出るとともに、酸化によるメイラード効果が起き、それがカラメルのような香りを生み出すのだと思います。

2年熟成の「加賀梅酒」はフレッシュな風味があり、5年になるとかなり熟成した味わいとなり、12年になるとカラメルのような熟成が強くなるという印象です。熟成年の異なる梅酒をセットで販売していますので、飲み比べを楽しんでいただきたいです。

―梅酒と合わせる場合、どのような料理がおすすめですか?

小堀 簡単なものなら、ナッツやチーズがおすすめです。またフランスではソムリエの方から「フォアグラに絶対合う」と評価されました。梅の香りや酸味がフォアグラの脂っぽさを中和してくれるようです。

先ほど触れた「KuraMaster 日本酒コンクール」の「アリアンス ガストロノミー賞」は、食べ物とのペアリングが評価される賞で、2023年度は梅酒とスイーツとの相性が審査されました。「萬歳楽 加賀梅酒」はフルーツやクリーム系スイーツとのペアリングが高く評価されたので、ぜひ皆様にもお試しいただきたいと思います。

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シンプルにナッツやチーズと合わせても、クリーム・フルーツ系のデザートと合わせてもおいしい。

―国内外から高く評価されるおいしさは、独自の製法によるもの?

小堀 そこまで特別ではないですが、砂糖には全量氷砂糖のみを使っています。溶けるのが早い粉の砂糖は浸透圧が強く、梅の味が充分出ないのですが、氷砂糖はゆっくり溶けるため梅の味をお酒にしっかり引き出せるのです。それが、フルーティーな梅酒の風味と豊かな香りにつながっていると思います。

また、フランスではよく「ナッツの香りがする」と評価されました。氷砂糖を使うことにより、梅の実だけでなく種の香りまで引き出せているのかもしれません。

―その豊かな香りをより楽しめる飲み方はありますか?

小堀 やはりストレートで飲むのが最も香りの立つ飲み方だと思います。さらに器によっても変わってくるでしょう。やや口のすぼまったような、上側が狭く、下側が開いた形の器がおすすめです。

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飲み口に向けてすぼまる形の器なら、豊かな香りをいっそう楽しめる。

―「紅映梅」の使い方にもこだわりがあるとか?

小堀 収穫して2日以内の「紅映梅」しか仕込まない点もこだわりです。時間が経つと梅の実が追熟して過熟になってしまい、香りや梅酒の透明度が変わってしまいます。そのため「紅映梅」の収穫時期は、収穫して2日以内の梅のヘタを社員総出で取り、漬け込む作業が連日続きます。昨年は90tの梅を漬け込みました。20人ほどの人員で交代しながらライン作業を行う大仕事です。

6月に梅を漬け込み、半年から8か月過ぎたら梅を取り出し、そこから2年酒蔵のタンクに保存します。それを瓶詰めして、やっと2年熟成の「萬歳楽 加賀梅酒」ができます。

―とても手間暇がかかるのですね!今後の展望についてもお聞かせ下さい。

小堀 日本酒に関しては消費者の動向やニーズが変わってきているため、そういった変化に対応したお酒を造っていきたいと思います。最近は日本酒が苦手な人も多いと聞きますので、「飲みやすい」と親しみを持ってもらえる取り組みなど、日本酒の啓蒙活動に努めていきたいです。

また、農家の方と製法等について協議をしつつ、さらに良いお米を作っていくことも取り組みのひとつです。農家の数が減っている現状も危惧していますので、農業経営を勉強した身として、何か役に立てたらと考えています。

―日本のお酒のイメージを変える取り組みもあるとか?

小堀 日本のお酒には少し格式高いイメージがあるので、もっと華やかなイメージに変えていきたいと思っています。海外市場でも受け入れられやすい梅酒は、もっとリッチで華やかな商品を現在作っているところです。

海外で高い評価を得つつも、まだまだ日本のお酒は流通が少なく知られていない状況です。梅酒や日本酒が海外でも普通に楽しむお酒になるよう、知名度を上げる活動を行っていきます。

―素晴らしいお話をありがとうございました。

「萬歳楽 加賀梅酒」(720ml)

「萬歳楽 加賀梅酒」(720ml)
価格:¥1,868(税込)
店名:萬歳楽 公式オンラインショップ
電話:076-273-1171(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.shop-manzairaku.jp/products/?id=52
オンラインショップ:https://www.shop-manzairaku.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
小堀靖幸(株式会社小堀酒造店 代表取締役社長)

1981年生まれ。
2000年、東京農業大学生物産業学部に入学し、
国内の農業経営強化をテーマに研究を行う。
2004年株式会社サークルKサンクスに入社。
運営担当として東京・札幌・横浜で店舗運営及びFCオーナーサポートに従事。
2010年、北海道留萌郡小平町にて新規就農として起業。
主にミニトマトの栽培販売を行い、2014年度、2019年度は地域優秀賞を受賞。
農産物加工所を設け、加工品の製造を行う。
2021年、株式会社小堀酒造店の社長に就任。

<文・撮影/ふるとりあやめ MC/三好彩子 画像協力/小堀酒造店>

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