梅といえば名指しされるほど全国的にもブランド梅として認知されている「紀州南高梅」。今回編集長アッキーが気になったのは、その発祥の地である紀南地域で創業し、梅とお客様に愛を持って事業を展開している有限会社福梅本舗の「華結」。同社の代表取締役社長 小山嘉一氏に「華結」の魅力や梅干しに対する思いを伺いました。
選りすぐりの紀州南高梅を使用!甘くてふんわり柔らかな梅「華結」をギフトに
2024/03/07
有限会社福梅本舗 代表取締役社長の小山嘉一氏
―まずは、御社の沿革についてお聞かせください。
小山 弊社は1986年に私の両親が創業いたしました。父方の家業は材木屋だったのですが、母方が紀州南高梅というブランドを生み出した和歌山県みなべ町の晩稲(おしね)地区の出身ということで、途中から梅干し屋をはじめました。
温暖な気候と中性質の土壌がおいしい南高梅を育んでくれる。
土地的に親戚も梅干し業者ばかりなので、原料や梅干しを仕入れて味付けするのを親戚一同でやっていました。当時は親戚が仕上げた梅を買い取って、弊社は販売専門でした。
―当時は梅干しがとてもよく売れた時代だったのですか?
小山 そうですね。カツオ梅という商品が大ヒットしたのと、あとは通販が徐々に台頭してきた時代だったというのは大きかったと思います。ゆうパックなどの通販カタログに商品を掲載していただくことで販路が広がりました。
弊社は南紀白浜という観光地にあるのですが、ホテルやお土産で弊社の梅干しを召し上がった方が通販の顧客になってくださることも多かったそうです。
関西屈指の温泉地で日本三古湯にも数えられる白浜温泉地にあるオレンジ本店。
―80年代から90年代にブランド梅である南高梅の需要が高まったのですね。
小山 はい。ただ、私たちのいる紀南地域というのは、梅を生業としている人がとても多いんです。6月の梅の収穫時期には忙しくて人が駆り出されるので、飲み屋街から人が消えるくらい(笑)。少し大げさに言いましたが、そう例えられるほど梅に頼っているところはあります。
弊社としては同じ地域で競合してしまうため、他の業者さんとの差別化を図りたいと思っていました。2000年代の初めにeコマースが出始めて、私も独学でeコマースを勉強してネットショップを作りました。
―ご自身でネットショップを立ち上げるのは大変でしたか?
小山 当時はeコマースの教科書もあまりなくて、プログラミングの本はありましたけれど、こうやったら売れるというようなノウハウを知る方法が少なかったです。そのため、東京や大阪でやっていた勉強会に参加して情報交換していました。
ネットショップを立ち上げてみたらとても反響が大きくて、あの時は一番楽しかったです。多くのお客様に購入していただけたのと、全国のお客様の反応がダイレクトに分かるのは良かったです。
―チャレンジ精神が旺盛なのは子どもの頃からですか?
小山 チャレンジは好きです。それに梅干し業界は熟成された産業なので、新しい手を打っていかないと絶対的に体力のある会社でなければ継続するのは難しいと思います。それに、チャレンジするのはしんどいですが楽しいです。
子どもの頃もそうでした。私は中学2年生の頃からレーサーになりたくて、高校2年生の時にご縁があって元F1レーサーのホンダのカートスクールに入り、そこで良い成績を残せたので、次のステップとして新設されたフォーミュラカーの育成スクールに入りました。そこで1年戦って3位以内に入ればプロになれたのですが、残念ながら落ちてしまいました。
あの頃の経験は自分の中でとても大きくて、「諦めずに頑張ったらやれる!」という思いはスクール時代に培われました。
―そして、2018年に再入社して社長に就任。
小山 2011年以前にネットショップなどを立ち上げた影響で売上も上がっていたのですが、2011年にいろいろな経緯があり、一度退社して別事業に取り組みました。2018年に再建の声が掛かって再入社したのですが、下降した売上をもう一度上げていくというのは大変です。売上の上昇をキープしながら、1期目でやりたかったことを少しずつ実行していくために今頑張っているところです。
―創業当時から大切にしていることやポリシーを教えてください。
小山 弊社は創業から小売にこだわっていて、今まで卸売りを一切していません。お客様の反応を見ながら商品の開発や改善をしてきましたし、今後は新しいステージにも向かって取り組んでいきたいと考えています。
お客様には弊社で買い物をしていただき、温かさも感じていただけると嬉しいです。ネットショップだと感じにくいですが、商売は人と人との繋がりですから、そこがお客様に伝わるのが一番だと思っています。
お客様に人とのつながりや温かさを感じてもらえるような対応を心がけている。
―「華結(はなむすび)」の特徴やこだわりは?
小山 「華結」で最もこだわっているのは梅の品質です。南高梅にはAからFくらいのランクがあるのですが、「華結」をはじめ、弊社の商品はAランクの梅のみを使用しています。Aランクの梅は、傷一つなく見た目がきれいでふっくらと柔らかいことが条件です。
一粒で満足できるような大きめの梅。ふんわりと繊細で、甘味の後にほどよい酸味が広がる。
Aランクの梅をただ使うのではなく、弊社で味付けをした後にも梅一粒一粒を人の目でチェックして選別します。粒のサイズや質、漬かり具合などを確認するのですが、この段階で落とされてしまう梅も結構あります。梅が少し硬くても柔らか過ぎてもダメで、よく例えているのは羽二重餅のような柔らかさです。それくらいの柔らかさの梅を選んでいます。
―「華結」の2種類の味の違いを教えてください。
小山 両親から受け継いだのが「まろやか梅」で酸味とはちみつの甘味が絶妙な塩分10%の梅干しです。もう一方の「あまみつ梅」は私が開発しました。塩分5%の弊社で一番甘いはちみつ梅です。
私としては昔ながらの酸っぱい梅干しを食べていただくのが理想ですが、塩分は控えめが良いというお客様の声を大切にしています。
「まろやか梅」(右)と「あまみつ梅」(左)。個包装なのでお裾分けにもぴったり。
―おすすめの食べ方は?
小山 私のおすすめは、断然白米に梅干しです。「あまみつ梅」は甘味が強いので、ご飯のお供というよりもお茶請けにしていただくのがいいと思います。緑茶と「あまみつ梅」なんて最高ですね。弊社の梅干しには、12種類の味があるのでお好みでご飯と食べてほしいです。私の妻は料理が好きなので梅を使った料理をInstagramにも載せています。
Aランクの南高梅を使った「華結」は、ぜひ王道の食べ方で堪能してほしい。
―御社の梅干しをどのような方に食べていただきたいですか?
小山 梅好きの方に届けたいというのに尽きます。お子様からご高齢の方まで、年代を越えていろいろな方に食べていただきたいと思っています。
梅離れが叫ばれる昨今ですが、日本のソウルフードとして存在する「梅」業界を元気にしていきたいと考えています。
―梅好きの方に商品を届けるための工夫は?
小山 一つは、白浜本店の店舗を改装して梅を使った食事を提供できるような形にしていく予定です。提供するのは「華結」はもちろん、本店でしか味わえない商品や料理を考えています。
あとは、若年層の方にアプローチしたり、海外の方に梅を食べていただくチャンスを増やしたり、弊社の認知度を高める試みもいろいろとしていく予定です。
―最後に、御社の展望についてお聞かせください。
小山 梅好きの方を増やすというのも目標ですが、商売はいろいろとチャレンジすることが大切だと思うので、早いうちに海外へも進出したいと考えています。できれば3年くらいの内に実現できるように今いろいろと計画しています。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました!
「華結」(まろやか梅・あまみつ梅のいずれか15粒入、内容量330g)
価格:¥3,950(税込)
店名:紀州梅干専門店 福梅本舗
電話:0120-53-6870(平日9:00~17:00 土日祝13:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.fukuume.com/c/zoutou/me23
オンラインショップ:https://www.fukuume.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
小山嘉一(有限会社福梅本舗 代表取締役社長)
1978年和歌山県生まれ。2018年に再入社し、2019年代表取締役社長に就任。日本人のソウルフードである梅干を世界に広めるため画策している。また、梅を使った新しく魅力のある商品ラインナップも開発中。
<文/ウツギナオコ MC/高橋知 画像協力/福梅本舗>