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山梨土産で大人気の「生ワイン」。富士山の天然水を割り水に使用した「富士山ウイスキー」。

2024/03/05

今回、編集長のアッキ―こと坂口明子が注目したのは、流通が極めて難しいとされる熱処理なしの「生ワイン」。ここに果敢にチャレンジして成功を収め、販売実績を伸ばしている山梨県の酒類専門総合商社。株式会社マツムラ酒販の代表取締役 松村昌樹氏に、生ワインとオリジナルウイスキーの誕生秘話や経営に関するエピソードなどをうかがいました。

株式会社マツムラ酒販 代表取締役 松村昌樹氏
株式会社マツムラ酒販 代表取締役 松村昌樹氏

―はじめにご経歴をうかがえますか?

松村 私の経歴をコンパクトに申しますと、山梨県甲府市出身で現在61歳です。若い頃は遠くに行きたい気持ちが強かったので、日本の大学を出てアメリカの大学に留学しました。卒業後に当時、新宿歌舞伎町に本社があった大手お茶メーカーに就職したのですが、そこで経営者としての理念や礎を築いたと言っても過言ではありません。

そののち家業に入る前、30歳の時に世界のいろんな国を観たいと思い、お茶メーカーを退社してバックパッカーとして世界中を駆け巡り、1年ほどして山梨県に戻りました。その世界旅行がのちの組織づくりや商品戦略を練るコンセプトにもつながっています。

―貴社の歩みを教えてください。

松村 1927年の大正時代に私の祖父が町の酒店として操業を始めたのが弊社の発祥です。当時はビール以外を売る酒店で、みそやしょうゆも販売していました。父の世代になってビールも扱えるようになり、地元の飲食店にバイクや小さいトラックで年がら年中、大みそかも夜更けまで配達して回っていました。

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お土産店では「生ワイン」の旗を掲げ、観光客に大人気です。

―家業を継がれた当時の心境は?

松村 私で3代目になるのですが、休みなく働く日常を見ていたせいもあり、家を継ぐなら事業をもっと大きくし、会社として組織化をしたいと夢を持っていました。

小さい規模なら家族経営でもなんとかできますが、中規模以上を目指すとなれば同族経営では難しくなります。そこで規模が大きくなっても経営にヒビが入らないように、組織化を進めるための人材育成に着手しました。事業を継いだとき、いまも変わりませんが人を動かすということにはずいぶん苦労しました。

そして酒店から抜け出し業務用の酒類卸として確立しながら、さらにその先の風上に向かうという思いで組織改革に取り組みました。そうするうちに自社でオリジナル商品を開発する必要性を感じ、早い段階から具体的なアクションに動いてきました。

―そのことは株式会社ミレックスジャパンを設立したことと関係が?

松村 はい、大いにあります。多くの同業者が酒のディスカウントストアのような風下に向かう中、私たちは逆を目指しました。ただそうなると、「自社の開発商品を他社に卸してそれをまた弊社が買う」といういびつな構造になります。それを避けるために別会社を立ち上げようと、2000年にミレックスジャパンを設立しました。

ミレニアムのクリスマス時期だったことと、県外や海外に出荷することを意識して横文字の社名にしました。新会社はオリジナル商品を広く販売するための大きな足がかりとなったのです。

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注いだ瞬間にあふれる香り。口の中ではぶどうの自然な甘みと旨味がたっぷり感じられます。
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口当たり良くスッキリした味わい。飲みやすいのでどんどん進みます。

―生ワインができた背景をお聞かせください。

松村 誕生するまでの背景には、大手が扱っていないもので山梨県ならではのストーリーがあり、自社で開発できる酒類、という基本コンセプトがありました。ワイナリーは生産が主な仕事で流通機能を持っていませんから、弊社の物流機能を生かし飲食店にダイレクトに配達できるものを逆算してイメージしたところ、必然的に「生ワイン」の着想を得ることができました。

―周囲の反応はいかがでしたか?

松村 最初はあまりいい反応はありませんでした。まず製造するワイナリーを探すことから始まって、苦労の連続です。方々探しても「そんな危ない橋は渡れない」と相手にしてくれない中、1社だけ受けてもらえたので生産にこぎつけました。しかしそちらからは「生でも可能ですが、要冷蔵で消費期限は6ヵ月です」と厳しい条件を付けられ面喰らいました。

社員からも「要冷蔵などの面倒な商品をどうして扱うんですか?」と批判的な意見が多かったのですが、ハードルがどれだけ高くても他社が扱っていないからこそチャンスがあると信じて開発を進めました。

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クール便で届くためフレッシュなまま、ぶどう果実の旨味を感じることができます。

あとで振り返ってみると、6ヵ月の消費期限があったのは逆に良かったと思います。他社の例ですが、大手デパートで大人気のバウムクーヘンを販売、たったの2日間しか消費期限がないのがかえっていい反響を呼んでいたこともあります。弊社のワインも要冷蔵だからこそ期間限定のお値打ち感が出て、プラスに働いた面があったと感じています。

―内容量500mlは珍しいのでは?

松村 ありふれた720mlでは差別化できないと思ったこと、またビールで一番売れるのは500mlの中瓶ということを踏まえて500mlにしました。ちょうど飲みやすい量で、もう1本にも手が出しやすいです。
それに生ワインですから開封して1日か2日で飲み干すには720mlは少し多いし、360mlはインパクトに欠けると思ったからです。

また外装はコルクだと飛んでしまうのでキャップをつけたのですが、個性的なデザインに仕上がってこれもいい反応をいただいているのは幸いです。

ちなみにお土産向けに生ワインの旗をつくったのですが、今でこそポピュラーになっているこの旗も最初どこにもなかったものです。そうしたおかげもあって今では山梨県の観光名物にまで育ってくれました。

それにしても生ワインは「生のため冷やす必要あるが、そのほうがよりおいしい。そのぶん期限付きだが消費は進みプレミア感がある。コルクでないゆえの個性あり」など、必要から生じたことにも関わらず、期せずしていい方向に向かっていったのはひょうたんから駒でした。

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ワイナリーでしか味わえない生ワインを自宅で手軽に楽しむチャンスです。

―ご当地にちなんだウイスキーも販売されていますね。

松村 日本のウイスキーが海外でも人気があるため、独自で開発できないかと考えてつくったのが「富士山ウイスキー」です。山梨県の名山をモチーフにしたウイスキーが1つしかないのをみて「他にも名山は」と一瞬考えたら目の前に富士山があると気づきました。
富士山のふもとは花崗岩で60年以上も磨かれた名水が眠る、澄みきった水の宝庫です。このウイスキーは国立公園の手前、海抜1,000m その地下160mから汲み上げた清冽な天然水を使って造られています。

―今後の展望をお聞かせください

松村 山梨県は近隣に東京都という大都市が控えていますから地理的にも有利に運べますし、豊かな自然にも囲まれワインやウイスキーの生産拠点としてはこれ以上ないほど恵まれています。これからも山梨県で生産する強みを生かし県外や世界に発信していきたいと思います。

―貴重なお話をいただきありがとうございました。

「生ワイン 赤・白発泡カートンセット」(500ml×2)

「生ワイン 赤・白発泡カートンセット」(500ml×2)
価格:¥4,620(税込)
店名:生ワインと山梨県産ワインの専門店 マツムラ酒販
電話:055-241-7878(9:00~17:00 日曜・祝日及び店舗の定める定休日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/namawine-m/kiwain-set-02/#kiwain-set-02
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/namawine-m/

【限定】新2020「富士山ウイスキー40°」(700ml)

【限定】新2020「富士山ウイスキー40°」(700ml)
価格:¥2,750(税込)
店名:生ワインと山梨県産ワインの専門店 マツムラ酒販
電話:055-241-7878(9:00~17:00 日曜・祝日及び店舗の定める定休日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/namawine-m/8243/
オンラインショップ:https://www.rakuten.ne.jp/gold/namawine-m/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
松村昌樹(株式会社マツムラ酒販 代表取締役)

1963年山梨県生まれ。東海大学、米国大学留学卒業後、株式会社伊藤園本社勤務を経て、1994年に株式会社マツムラ酒販に入社。1999年に同社の代表取締役に就任。翌2000年に株式会社ミレックスジャパンを設立し、オリジナル商品を国内外へ拡販している。

<文・撮影/田中省二 MC/石井みなみ 画像協力/マツムラ酒販>

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