冷凍で届くお取り寄せ商品ながら、表面はカリっと、中はモチモチとした食感が見事なカヌレ。北海道土産の卸売り会社がこれほど本格的なカヌレを作るようになったいきさつを、ぜひ知りたい! 今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社丸市岡田商店 代表取締役社長の岡田隆志氏に、取材陣が伺いました。
北海道産食材とパティシエの苦労が結実した究極のカヌレ「北海道二段熟成カヌレ」「北海道もちカヌレ」
2023/02/09
株式会社丸市岡田商店 代表取締役社長の岡田隆志氏
―カヌレをはじめとする北海道スイーツを展開する「メルカードスイーツまる」ブランド運営会社の歩みをお聞かせください。
岡田 「メルカードスイーツまる」の母体は、株式会社丸市岡田商店といって、北海道土産を販売する卸売り会社です。1955年、札幌市二条市場に祖父が塩乾物商を創業。5年後の札幌市中央市場開設を機に場外へ移転し、当時は地元の方に広く食品を販売していました。
平成に入って市場が観光化されるのに伴って、観光客に向けた土産物の販売も始め、1968年に建てた自社ビルは、1階がキャッシュアンドキャリー(現金卸売倉庫)、2階が観光土産店でした。時代の移り変わりとともに、北海道の土産メーカー商品や、札幌中央卸売市場の旬の海産物や農産物の小売が主業務に。関西や関東にも営業所を開設し、老舗ギフトショップとして、「北海道のごちそう」を日本全国に販売しています。
―北海道土産専門のECサイトも充実していますね。
岡田 私が入社して最初に取りかかったのはECサイトの構築でした。当時、ギフトショップとしてECサイトはあって当然といった時代でしたから。とはいえ、私自身は大学を卒業後約10年、食品メーカーで営業職を経験した後の2017年に入社。システム系にもECサイトの仕組みにも疎くて、ゼロから、四苦八苦の果てに、ようやくECモールに出店が叶いました。
―「メルカードスイーツまる」誕生の背景は?
岡田 コロナ禍です。2021年1月のさっぽろ雪まつりがオンライン開催となり、にぎわっていた札幌市場からお客様が消えました。当時、1階はギフトショップ、2階は母が始めた食堂「メルカードキッチンまる」をスイーツカフェにリニューアルしていました。北海道産の材料にこだわった、アップルパイやシュークリームなどを製造し、少しずつ軌道に乗ってきた矢先。
収束の見通しも立たない中、待っていてもお客様は来ない、それでも従業員の生活は守らなくてはならない……窮策として、まだ大きな売り上げを上げていなかったECモールの発展に挑戦することにしました。カフェの商品をそのまま配送するのは難しく、新たに開発することに。ふと「カヌレだ」と思い立って、これまたゼロから作り始めたのが、「メルカードスイーツまる」への一歩でした。
スイーツショップ「メルカードスイーツまる」第1号となった北海道カヌレ。
―商品化までの道のりは?
岡田 担当スタッフは洋菓子製造の経験がほとんどなく、私と2人で文字通り試行錯誤。なんとか形になって販売を開始してもほとんど売れなくて……。私は、商品ページで見せ方の工夫を重ね、スタッフは試作を繰り返しました。朝から晩までずーっとカヌレを作り続ける日々が1年ほど続いたと思います。
材料の配合、混ぜ方、型の種類、焼き加減……あらゆることを試しました。ふくらんでしまったり、逆にペチャンコになったりと失敗を繰り返しましたが、1位を取るまではがんばろうと決めて粘り強く続けました。全国各地のカヌレを食べ、お客様の声に耳を傾け、ようやく完成したのが「北海道二段熟成カヌレ」です。
「メルカードスイーツまる」の「きたうさぎ」シリーズで展開中。
―ポイントをお聞かせください。
岡田 牛乳、卵、砂糖、小麦粉、バターの材料すべてが北海道産です。素材の良さを生かすため、余計なものは加えません。焦がしバターの芳醇な香りや余韻が楽しめると思います。そして、生地を作る段階で2度寝かせて熟成させます。そうすることで中がしっとりモッチリと焼き上がるのです。そのカヌレらしい食感が大事ですよね。ブヨブヨしているだけのカヌレでは残念過ぎますから。ECモールで洋菓子部門だったか焼き菓子部門だったか記憶があいまいですが、とにかく初めて1位になったときは達成感でいっぱいでした。
生地を十分に熟成させてからしっかり焼いているため、外はカリカリ、中はモッチリのカヌレらしい食感。
―フレーバー違いで3種類の詰合せになっていますね。
岡田 ほろ苦さが特徴の抹茶にはアクセントにゆであずきが入っています。ナッツは、焦がしバターと相性の良いアーモンド風味。同じカヌレですが風味や食感がまるで違うので、飽きずに楽しんでいただけるのではないでしょうか。
抹茶クリームと金箔がトッピングされた抹茶。
小麦粉不使用で独自の食感を楽しめるナッツ。
―カヌレ味の斬新な新商品も。
岡田 「北海道もちカヌレ」は、北海道の和菓子メーカーとのコラボ商品です。柔らかくモッチリとした食感で、口に入れた瞬間は「なんの味だろう?」と不思議に感じ、噛む中でカヌレの風味や味わいが感じられるのではないでしょうか。
1口サイズが個包装され、フランス菓子を思わせるおしゃれなパッケージ。
やわらかくモッチリした独特の食感。
―これからもカヌレを軸に展開を?
岡田 カヌレというより、乳製品など北海道食材を使った焼き菓子を軸に商品開発を続けていきたいと思っています。北海道銘菓の製造会社ともお付き合いが長いので、我々の知見を生かしたコラボ商品がこれからも作れたらいいですね。
―今後の展望をもう少しお聞かせください。
岡田 「メルカードスイーツまる」は、「世界中の子供のために作る大人のスイーツ」がコンセプトです。これまでは「きたうさぎ」というラインで、バウムクーヘンやチーズケーキなど、日本人になじみの深い洋菓子を展開してきました。
最近になって、新たに「kitakitsune(キタキツネ)」ラインを立ち上げました。そちらからは、少し流行を取り入れた、スタイリッシュな商品を送り出していきたいと思っています。日本だけでなく海外にも目を向けながら、良質な北海道素材を使った日本のおいしいスイーツを世界中に発信していけたらいいですね。
―素晴らしいお話をありがとうございました!
「北海道二段熟成カヌレ3種6個入」
価格: ¥3,980(税込)
店名:北海道お土産 ギフト 岡田商店
電話:011-611-1320 (営業時間:9:00~16:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://maruichi-okada.com/product/maru-canure-6p-mix
オンラインショップ:https://maruichi-okada.com/
「北海道もちカヌレ」(約90g×1箱)
価格: ¥1,580(税込)
店名:北海道お土産 ギフト 岡田商店
電話:011-611-1320 (営業時間:9:00~16:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://maruichi-okada.com/product/mochi-canure-tanpin
オンラインショップ:https://maruichi-okada.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
岡田隆志(株式会社丸市岡田商店 代表取締役社長)
1985年北海道札幌市生まれ。大学卒業後食品メーカーに入社し、約10年の勤務を経て丸市岡田商店へ入社。2022年に同社代表取締役社長に就任。
<取材・文・撮影/植松由紀子 MC/根井理紗子 画像協力/丸市岡田商店>