BBQやホームパーティーで人気の食材、ロースハム&ベーコン。日本各地の生産者のなかで、今回編集長アッキーこと坂口明子編集長が注目したのは、大阪府内で唯一の村、千早赤阪村にある株式会社ジェイフーズ。大阪の山奥で、金剛山の名水を使って作られる逸品について、代表の山田壽衛門氏に製造の背景やこだわりを伺いました。

株式会社ジェイフーズ代表の山田壽衛門氏

―大阪府唯一の村で製造されているそうですね。

山田　千早赤阪村といって、海抜500mほどのところにある村です。修験道の山として知られる約1200mの金剛山がそばにあり、歴史と自然が残る地域で、金剛山の名水ときれいな空気に恵まれています。ここで60年ほど前に創業しました。

高野豆腐の発祥の地ともいわれ、1945年頃までは高野豆腐(凍り豆腐)も作っていたのですが、温暖化の影響か豆腐が凍らなくなり、1955年以降、魚肉練り製品も始めました。

ある程度成功はしましたが、常温販売用に商品を作ると味が変わってしまったため、やはり自然の中で生まれた味をそのまま大阪など大消費地に届けようと、ハムを専門にするようになりました。日持ちするものよりも、おいしいものを冷蔵でという考えです。

―お父様が創業されて、社長は2代目に?

山田　はい。金剛山麓という環境と名水に恵まれていたので、父が畜産が良いのではないかと。じつは私は機械が専門で、工業高校、大学の工学部で学んだのですが、兄が亡くなったものですから、自然に父の後を継ぐことになりました。

不安やとまどいはありましたが、父からは「女性の口を狙え、そうすれば食いはぐれないから」と言われていました。ちょっと誤解されそうな言い方ですが、口から入って消化されるもの、それがおいしければ認められる。女性は良いものにお金を出すし、お財布も握っている。女性に喜ばれるものを作るよう努力しなさいということだったと思います。

金剛山の自然と名水に育まれた「金剛山麓ロースハム」。

脂の中まで香りが入って味わい深い「金剛山麓ベーコンブロック」。

―そうして50年近くハム一筋……。

山田　まじめに夢中でやってきました。まがいものを作らず、本物を味わってもらいたいという信念があるんです。今は息子の山田順彦がメインとなっており、私は現場の方と楽しく作業をしています。

うちのハムは「塩漬(えんせき)」といって、材料を塩を入れた液に漬け込んで熟成させるという、昔ながらの製法で今も作っています。塩漬には時間をかけます。基本を守り、肉のうまみを逃さないのが特徴なんです。

―塩はどんな塩ですか?

山田　通常の塩だけでなくにがりを含んだ岩塩も使用していて、それが金剛山の水とうまく調和して、旨みやコクが深くなります。

―「金剛山麓ロースハム」は、噛むと旨みがじわっと出てきます。

山田　昔ながらの塩漬で熟成させるのですが、通常は4日ほどのところ、倍の8日ほどおいてうまみを凝縮させています。強制的に味を付けるのではなくて、塩漬の液の中に漬けて、本来のおいしさを引き出します。

賞味期限というものがありますし、菌の問題もあるのでご家庭でおきすぎるのもよくないのですが、袋の中でも熟成しますから、じつは時間が経ったほうがよりおいしさが増すんです。

スモークは、湿式(しっしき)といってスモークと蒸気を合わせて燻す、ドイツ製のスモークハウスを使用して、肉の中まで香りを浸透させています。スモークには最も上質のサクラチップを使っているんですよ。

にがりを含んだ岩塩を使用、まろやかな旨みがしみ出るよう。

―おいしい食べ方は?

山田　炭火で、遠赤で焼き上げると中まで火が通って1番おいしいですね。炭火が難しい場合は、ボイルやフランパンで焼いてもおいしいですよ。

―キャンプにもぴったりですね。「金剛山麓ベーコンブロック」はどんなお品ですか?

山田　同じように、金剛山の名水と塩、質のよいサクラチップを使って、ドイツ製の湿式スモークハウスでスモークしているので、脂の中まで香りが入っています。やわらかくて味わい深いですよ。こちらも炭火で炙って食べると最高です。

炭火で焼くのが一番のおすすめ。フライパンでさっと焼いても。

厚くカットして軽くあぶり、大根おろしなど和風テイストにしてもおいしい。

―製造開始から50年以上の大阪を代表する土産物、「大阪産(もん)名品」の認証を2品とも受けておられます。

山田　大阪産(もん)の制度が始まった最初の年に認証をいただきました。道の駅等に並べていただいて、多くの方がこれを求めて来てくださるのですが、生産の数が足りない時は「幻のベーコン」とおっしゃる方もいました。

ベーコンはカリカリまで焼かずに炙るくらいがいい。
蛇腹きゅうりと一緒にフォカッチャにはさんで、子どもも喜ぶキッチンカー風の一品に。

―ますます食べたくなりますね。今後の展望をお聞かせください。

山田　コロナや為替、世界情勢など、会社を続けるなかでもいろいろな波がありますが、この自然環境を大切にしながら、常に基本に忠実に作っていきたいと思います。息子が中心となって、これからも長く続けてほしいですね。

最近はキッチンカーを始め、息子がインスタグラム(https://www.instagram.com/_hana____hana_/)で発信をするようになりましたので、そちらも見ていただけたらと思います。

―早速チェックいたします。本日はありがとうございました。

「金剛山麓 ロースハム」(600g）
価格：¥1,600（税込）
店名：味匠工房
電話：0721-74-0333（9:00～16:00、月・水・土日祝日除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://item.rakuten.co.jp/j-foods/580153/
オンラインショップ：https://www.rakuten.ne.jp/gold/j-foods/

「金剛山麓ベーコンブロック」(600g）
価格：¥1,700（税込）
店名：味匠工房
電話：0721-74-0333（9:00～16:00、月・水・土日祝日除く）
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://item.rakuten.co.jp/j-foods/bacon600/?s-id=pc_shop_recommend&rtg=1e46cd807a3c6f09e5d17069458cd31b
オンラインショップ：https://www.rakuten.ne.jp/gold/j-foods/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
山田壽衛門（株式会社ジェイフーズ 代表）

1943年生まれ。高校、大学と機械工学を学び、卒業後株式会社ジェイフーズに入社。創業者である父の後を継ぎ、大阪府の唯一の村・千早赤阪村にて、約半世紀にわたり味を守り続けている。
https://www.instagram.com/_hana____hana_/

＜文・撮影/大喜多明子　MC/升谷遥香  画像協力/ジェイフーズ＞