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避暑地で過ごしているようなリラックス感を、自宅でも。豆の鮮度にこだわり続ける「葉山珈琲」

2022/09/27

「最愛の人と、最愛のコーヒーを飲んでほしい」、そんな想いでコーヒーを提供し続けている会社があります。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、「葉山珈琲」のお店で知られる葉山コーヒー株式会社。いつ飲んでも「ホッとする」コーヒーを作り続けられる秘訣を、代表取締役社長の前野守杜氏に取材陣が伺いました。

葉山コーヒー株式会社 代表取締役社長の前野守杜氏
葉山コーヒー株式会社 代表取締役社長の前野守杜氏

―「葉山コーヒー」という社名の由来を教えてください。

前野 2000年に、創業社長がもともと葉山にあったお店のオーナーとの共同出資で始めた会社です。当時は別の社名だったのですが、2007年に「葉山珈琲」と社名変更しました。葉山は避暑地として有名ですし、「静養する場所」「ホッとできる場所」というイメージがありますよね。コーヒーを飲みながらリラックスした時間を楽しんでほしいという想いを込め、神奈川県葉山町に1号店をオープンし葉山珈琲のSTORYが始まりました。今では、経営自体は別ですが同じ場所で当時のオーナーさんが、「葉山パッパニーニョ」という名前で当時のまま経営されています。我々としては、現在も聖地という思いです。
お店を取り巻く全ての方々に「最愛のカフェ」と親しまれることを目指す、というのが創業当時からの基本理念で、今も変わっていません。

―10年前に入社されたそうですね。

前野 はい。もともとは、マクドナルドに11年以上勤めていたのですが、そこからカフェを経営する会社に移り、コーヒーと出会いました。葉山コーヒーには2011年に入社し、3年後にMBOを行いました。
正直言うと、それほどコーヒー好きというわけではなかったんですよ(笑)。でも、そんな私がおいしいと思えるコーヒーは、誰にとっても本当においしいはず、また微妙な味の変化や劣化も当然ながらすぐに気づくので、おいしい珈琲を安定してお客様にお届けできております。元々コーヒー好きじゃない人でもおいしく飲めるコーヒーを、提供していきたいと思っています。
お客様から、うちのコーヒーで、「初めてブラックが飲めるようになりました」というお声をいただくことがあるんですよ。そういう言葉がいちばんうれしいですね。実は、工場のパートさんにも入社当初は珈琲が飲めない方がいたのですが、当社で働いてから、葉山珈琲だけは飲めるようになったそうです。

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葉山珈琲に出会って、
「初めてブラックで飲めるようになった」というお客様も。

―同じ飲食業といっても、マクドナルドとはまったくスタイルが違う会社ですよね。

前野 最初は、それこそマクドナルドにいたときの販売方法、マーケティングで売っていけばいいと考えていたんです。それこそ、「2杯頼んでくれたら1杯タダにしますよ」とか、「ディズニーランドのチケットをプレゼントしますよ」といった戦略でいけばいいとか、安易なことを考えていました。
それが変わったのは、インドネシアのコーヒー豆の農園を視察に行ったことがきっかけです。
現地の方が手作業で、それも本当に安い給料で一生懸命作ってくださっているのを実際に目にして、「彼らがこんなに情熱込めて作っているものを、安易なマーケティングで売っていくというのは違うな」と気づいたのです。発展途上国で作っている「いいもの」を、先進国でも「いいもの」として売る。その利益が、ちゃんと彼らの元に戻っていくようにしなくちゃいけないと思いました。
とはいえ、間違いなく、マクドナルドでの経験がなかったら今の私はいないと思います。何よりお客様や従業員へのホスピタリティ精神は前職からの学びで役に立ち、経営のノウハウなども、前職で培ったことが大きいです。

―「ママブレンド」「パパブレンド」というネーミングがユニークですね。

前野 これも創業当初からのものです。「ママブレンド」は、甘い香り、優しい酸味、上品なコクを引き出したマイルドなブレンドです。「パパブレンド」は、豊かな香り、苦さ、まろやかな酸味、幅のあるコク、そして甘味を備えたバランスの良いブレンドで、「ママブレンド」より少し深煎りになります。「お母さんの優しさと、お父さんの強さ」というイメージでつけられた名前で、そういう分け方はもはや時代に合わなくなっているかもしれませんが、長い間皆さんに親しんでいただいている名前なので、お父さんお母さんの役割の変化は時代とともにあっても、想いは変わらないと考え名称変更は考えておりません。

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口の中で板チョコとコーヒーのハーモニーを愉しむのが、
前野社長のおすすめ。

―おすすめの飲み方はありますか。

前野 「ブラックで飲んでほしい」なんて言いません。いろんな飲み方があっていいと思います。私も、ミルクを入れて飲むのが好きです。
日本の珈琲文化は、西洋と比べるとまだ歴史がとても浅いですよね。西洋では聖書に出てくるほど古いけれど、日本では高度成長期に缶コーヒーが飲まれるようになって、コーヒーが日常に広がっていったといえますから、せいぜい50年です。国によって飲み方も違っていいと思うし、皆さんがおいしく感じる飲み方で飲んでいただければいいと思う。
私が好きなのは、板チョコを口に含んだ状態でコーヒーを飲むこと。抜群においしいですよ。あとは、和菓子と一緒に楽しんでもらうこと。あんことコーヒーの相性の良さを、ぜひ試していただきたいです。

―「カフェインレス珈琲マイルド・コロンビア」は、カフェインレスと思えないほどおいしかったです。

前野 そういうお声が多くて、本当に嬉しく思っております。
カフェインのカットは、化学薬品を一切使用しない、安全・安心・おいしい、カナダSWISS WATER社の「スイス・ウォーター方式」を採用しています。水で循環させて、ろ過して、カフェインを抜くというやり方です。日本では、99.9%以上カフェインカットと記載していますが、欧米ではカフェイン残留率0.01%未満と表記しており、各生豆に確認の証明書が添付されています。
大量生産でコストを安くするなら、「臨界抽出方法」といって、二酸化炭素でコーヒーに圧力をかけてカフェインを抜くというやり方や、薬液で抜くというやり方があります。昔は薬液で抜いたものが多かったので、体にもよくないし味も良くありませんでした。また、臨界抽出方法では、コーヒーの豆の細胞も壊れてしまうので、味が落ちます。
「スイス・ウォーター方式」なら、コーヒーの味は残したままで純粋にカフェインだけを抜くことができるので、よりレギュラーコーヒーに近い味になります。「安心・安全・美味しい」の証として、スイスウォーターのロゴを使わせていただいています。

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化学薬品を一切使用せずカフェインを99.9%カットした
「カフェインレス珈琲マイルド・コロンビア」。

―カフェインレスのコーヒーを開発したきっかけは。

前野 カフェインレスに力を入れ始めたのは4年前からです。妊娠中や授乳中の方、体調の悪い方など、カフェインの摂取を制限しなければいけない方は、たくさんいます。欧米では、「コーヒーは1日4杯まで」が常識になっていますし、WHOもそれを推奨しています。当たり前のようにどこでもカフェインレスコーヒーが売っていますし、国内便の飛行機でもカフェインレスを飲むことができます。しかし日本でまだまだ浸透していません。あまり厳しく言われていないのは、日本はお茶の国だからという事情もあるかと思います。お茶もカフェインを多く含んでいますので。
安全でおいしいコーヒーを毎日飲みたい、そう思っている人は多いと思うんです。でも、「カフェインレスコーヒーは高いのに、コーヒーの味がしない」という固定概念がありますよね。それを払拭するため、老若男女どんな人でもおいしく飲める安全なカフェインレスコーヒーを、毎日飲んでいただけるようにお求めやすい価格で提供することを目指しました。弊社のSWISS WATER方式のカフェインレスコーヒーをお試しいただくことで、カフェインレスコーヒーの概念が変わり、カフェイン過剰摂取にならないことを業界に先駆けて、次のステップを踏み出すことができたと自負しています。

―質のいい豆を入手できる理由は。

前野 毎年、採れる豆は違いますし、同じブラジル豆といっても農園によって様々です。日本のあらゆる商社が各生産地から取り寄せたサンプリングのなかから、弊社のベテランの焙煎師がベストのものを選んでいます。しかもグレードがAA以上のものしか取り扱わないというのが、弊社のルールです。ですから、毎年味が大きく違うことはあり得ません。
「カップオブエクセレンス」に選ばれた豆も、一部取り扱わせていただいています。
おかげさまで、毎年クリスマスイブに、リーガロイヤルホテル大阪にて、世界中の最高級食材を集結して催される「美食家たちの晩餐会」の仕上げの珈琲として、2004年より毎年連続で選んでいただいています(現在はコロナで開催中止)。

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職人の手で不良豆や異物を取り除いていく。

―品質を保つためには、どんな工夫をされているのでしょう。

前野 輸入された生豆には、不良豆(虫食い豆・発酵豆・カビ豆等)や木くずなどの異物が含まれていますが、それを「ハンドピック」といって、人の手を使って選別し、取り除いています。
機械を使えば簡単ですが、石や鉄くずなどは除去できても、木くずは取り除けない。そうすると、焙煎したときに木くずが焦げて味が落ちてしまうんです。また、実がぱちんとはじけて皮だけになったコーヒー豆も、混じったままだと焦げる原因になる。だから、職人が目で見て取り除く必要があるのです。焙煎後も同様に、不純物のハンドピックを行っています。
弊社では、コーヒー豆が新鮮であることを一番のテーマにしているので、注文していただいてから焙煎するという受注生産システムを構築しています。スーパーなどに並んでいるコーヒー豆は、焙煎して2か月くらい経過したものがほとんどです。コーヒー豆は生鮮なので、鮮度が命です。しかし、2週間経過すると劣化が始まります。コーヒー豆にはコーヒーオイルが含まれていて、それが旨味になるのですが、月日が経つと酸素に触れ酸化し味が劣化してくるのです。味や香りが落ちるだけでなく、悪い油分となるため胃もたれの原因にもなります。
葉山珈琲の各店舗では、焙煎後の豆は2週間以内に使うのがルールです。
とはいえ、焙煎したてのコーヒーはガスが抜けていない状態なので、ガス抜きの時間も必要です。弊社では、3日間工場でガスを自然に抜いてからブレンドしてお出ししています。その豆を2週間以内で消費していただくのが、おいしく飲んでいただける目安です。もし2週間で消費しきれない場合は、密封袋やタッパーに入れて冷蔵していただくといいですよ。決して冷凍庫には入れないで下さい。コーヒー豆に含まれている水分が凍ってしまい、コーヒー豆に結露ができ、おいしさは半減します。豆の新しさを知るためには、ご家庭でドリップするときに豆を観察してみてください。お湯を注いで蒸らしの際にコーヒー豆がぷくっとふくらむのが、新鮮な証拠です。

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焙煎した豆は、3日間蒸らしてからブレンドする。

―焙煎のこだわりは。

前野 焙煎歴35年の熟練職人が、その日の気温・湿度を見ながら細かくチェックして焼いています。コーヒー豆は野菜と同じで、水分を含んでいて、それをどれだけ飛ばすかで、浅煎り、中煎り、深煎りと変わってきます。深煎りで80%水分飛ばすところを、誤って70%しか飛ばせなければ、味がだいぶ変わってしまいます。同じ豆でも、夏と冬では焙煎時間や温度を調節しなければいけないのです。
機械ではなく、職人の目でないとできない仕事です。私も、ハンドピックまではなんとかできますが、焙煎となるととてもできないですね。
大手業者では生豆をブレンドしてから焙煎する方法をとっていますが、当社ではコーヒー豆の最大の美味しさを出すために、個別に焙煎し3~4種類のストレート豆をアフターミックスブレンドすることで、本来持っている個性を生かしたコーヒー豆に仕上げています。味の幅、コクを引き出すには、この方法が最良なのです。

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手軽なドリップバッグも揃っている。

―現在では社長業の傍ら、俳優業にも挑戦されているとか。

前野 最近はそちらのほうが忙しくなっています(笑)。俳優業は50歳から始めたので、まだ1年半くらいです。きっかけのひとつは、コロナの流行でした。
人に会えないし、旅行もできないし、刺激が少なくなって世の中の人々の元気がなくなってきました。私は、たまたま知り合いにアーティストの方がいたり、プロのスポーツ選手の方々と接する機会もあったので、彼らが直接お客様に元気を与えている姿を目にして、「自分も世の中の人に元気をあげたい」と思ったのです。「こんなおっさんができるんだから、自分も何かをやってみよう」というきっかけになればいいなと。
結果として、「この人、俳優だけど葉山コーヒーの経営もやってるんだ」と知ってもらって、相乗効果が生まれればという気持ちもあります。
撮影の現場では、私が社長だということは皆さん一切知らないので、無名の一役者として扱われますが、それがまた面白いところです。制作の方たちとコミュニケーションをとりながら、ひとつずつ作品を作りあげていくのが新鮮で、飲食業を始めたばかりのころの気持ちを思い出します。すごくいい経験をさせてもらっていると思います。

―社員の方の反応は。

前野 最初はみんな「は?何言ってるの?」という感じでしたが、実際テレビで観て、「よかったよ」など感想を言ってくれます。そもそも自由な社風で、社員にも「やることをやっていれば、何をしてもいい」と言っているんですよ。
コーヒーというのは、いろんなシチュエーションで飲まれるものです。仕事中や会議のときだけでなく、ゆっくりしたいときにも、そして人と合うときのコミュニケーションツールとしてもなくてはならないもの。だからこそ、社員たちにも色々なところに出て行って、色々な経験をしてほしいと思っています。

―今後の展望をお聞かせください。

前野 コロナ禍でもあり、不況でもあるこの状況下で、色々考えさせられました。
その結果、「いいものが、いいものであり続けられるように」努力を怠らないようにしなければいけないという結論にいきつきました。低コストだけれどおいしくないものを、「葉山珈琲」という名前のもとで提供するということは、全く考えていません。
もちろん数字が上がるのは経営者として嬉しいけれど、具体的に数字がどうのこうのというよりも、一杯のコーヒーに「葉山珈琲」を選んでくれる方がひとりでも多くなるように、「おいしいよね、ここのコーヒー」とおっしゃっていただける方を増やすことを目指していきます。
これまで、クラリネット奏者やラッパー、陶芸家などアーティストの方と焙煎職人のコラボレーションを企画してきましたが、そういう試みは今後もぜひやっていきたいです。
「最愛の人と最愛のコーヒーを」という理念のもと、つらいときにもコーヒーで癒される、コーヒーを飲むことでホッと落ち着く、そういう存在になれるものを作って、皆さんにお届けしていきます。

―本日は、素敵なお話をありがとうございました!

ママブレンド(200g)

「ママブレンド」(200g)
価格:¥1,015(税込)
店名:葉山珈琲
電話:045-277-3744(10:00~17:00 土日祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://coffeebeans.shop-pro.jp/?pid=65905987
オンラインショップ:https://coffeebeans.shop-pro.jp/

カフェインレス珈琲マイルド・コロンビア(200g)

「カフェインレス珈琲マイルド・コロンビア」(200g)
価格:¥1,166(税込)
店名:葉山珈琲
電話:045-277-3744(10:00~17:00 土日祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://coffeebeans.shop-pro.jp/?pid=76859917
オンラインショップ:https://coffeebeans.shop-pro.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
前野守杜(葉山コーヒー株式会社 代表取締役社長)

1970年12月生まれ。1991年日本マクドナルド入社。2002年三洋電気グループGod Mountain Cafe入社。2008年cafe開業と共に飲食コンサルティング会社設立。2011年葉山コーヒー株式会社代表取締役就任。2014年葉山コーヒー株式会社MBOにて全株式取得。2021年1月テアトルアカデミー入所、俳優活動開始。2021年11月OFFICE MINAMIKAZE 移籍。俳優としてテレビ、ドラマ、映画、舞台、CMに出演するとともに葉山コーヒー株式会社を経営。

<文・撮影/臼井美伸(ペンギン企画室) MC/石井みなみ 画像協力/葉山コーヒー、石井みなみ>

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