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新潟・十日町市で昔から愛されている 関口製菓「はっか糖」は清涼感と上品な甘みが魅力

2022/08/19

「はっか糖」というお菓子をご存じでしょうか? ハッカの入った素朴なお菓子ですが、口に入れるとほのかに甘く、スーッとする清涼感。サクサクとした歯応えも魅力です。今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、新潟県十日町市ではっか糖などのお菓子を作り続けている、株式会社関口製菓です。代表取締役社長の関口丈人氏に、はっか糖の魅力や、商品づくりへのこだわりについて、取材陣がうかがいました。

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株式会社関口製菓 代表取締役社長 関口丈人氏

―創業71年目だそうですね。

関口 もともとは、私の祖父が十日町で小さな菓子屋をやっていたのですが、何軒かの菓子屋と合併して「関口製菓」というお店になったのが、71年前のようです。当時の十日町は、織物産業が非常に盛んで景気が良かったので、お菓子もよく売れました。だから店を大きくして、対応できるようにしたのでしょう。昔は流通が今ほど発展していなかったので、地元のお菓子を食べるのがほとんどでしたが、祖父は、ほかの地域からお菓子を仕入れて卸すこともやっていました。まんじゅうや生菓子、らくがんなども扱っていたのです。新潟県といっても十日町は海から遠く、山のほうなので、海産物が届きづらいんですね。だからお祝いがあると、本物の鯛の代わりに、大きな鯛の形の砂糖菓子を作らせていただいたりしていたそうです。ようやく砂糖が手に入るようになったころでしたから、そういうお菓子は喜ばれました。

―はっか糖というのは、昔からあるお菓子なのでしょうか。

関口 はっか糖は、砂糖と水飴、そして「ハッカ脳」という薄荷草からとったハッカ成分を結晶化させた物を使った、シンプルなお菓子です。とくに魚沼地方では、ハッカがごくありふれた植物として身近に自生しているので、昔から親しまれてきました。一説には、上杉謙信がはっか草の栽培を奨励したと言われています。織物の工場などでは、狭いところでたくさんの人たちが働いていたんですね。まだ冷房のなかった時代ですから、涼をとるために、はっか糖が役立っていました。はっか糖を食べて水を飲むと、体がヒヤッとするのです。夏のためのお菓子でした。さらに、ハッカはメントールが主体なので、疲れが取れるともいわれています。漢字で「薄荷」と書くのは、きつい荷運びの際に食べると荷が軽くなるように感じるからです。糖分の補給で元気が出て、疲れを癒す食べ物として、農作業や機織りの合間の茶菓子としても親しまれてきました。大掛かりな道具も必要なくシンプルな原料で作れるので、魚沼地方では、小さいお菓子屋さんにも必ず置いてありましたし、まんじゅうなどと同じように馴染みのあるお菓子でした。

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製造は一部機械にも頼るが、熟練職人の手作業による部分も大きい。

―製造は、手作業の工程も大きいのでしょうか。

関口 はい、職人の技術に支えられている商品です。季節やその日の温度によって配合を変えないと、きれいな白いはっか糖ができなかったり、キャンディのようになってはっか糖ではない物ができてしまったりするので、毎日気を抜けません。でもそれが、やりがいを感じるところでもあります。職人の世界なので、「見て覚えろ」ということで技術が受け継がれていきます。そのおかげで、似たような商品がほかにあまりないということもいえると思います。製品づくりには、職人の技術の高さも大切ですが、チームワークも大切だと思っています。うちの会社はみんな仲が良いせいか、職人の定着率が高く、ほとんどの方が定年まで勤めてくれるのです。一時期は、65歳で定年になった人が一斉に抜けて困ったこともありましたが、何とかやってきました。皆に気持ちよく仕事をしてもらえるように、雑用はなるべく私が引き受けています。用務員さんのようなものですね(笑)。社長が余計な口出しをしないほうが、しっかり仕事してもらえるのかなと思っています。

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関口製菓で人気No.1の「はっか糖 味ごのみ」。
2色のはっか糖のほかに、抹茶糖、ニッキ糖も入っている。

―いちばん人気があるのはどの商品ですか?

関口 1袋で定番の3つの味を楽しめる、「はっか糖 味ごのみ」です。

最初は、スタンダードな白いはっか糖と、抹茶糖、ニッキ糖の3種類だったのですが、この3色だと色味が暗くなってしまうので、ピンク色のはっか糖もプラスしました。

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ウエハースの食感が楽しい「きぬ巻はっか糖」。

―「きぬ巻はっか糖」というのは珍しいですね。

関口 もち米のウエハースではっか糖を巻きあげています。サクサクしたウエハースの食感が楽しい商品です。最中の皮と同じような作り方ですが、最中のように茶色にしないために、焦がさないように火加減の調節が大切なんです。もち米を使うので、はっか糖のサクッとしたなかにもトロッとした風味や食感があり、ファンが多い商品です。

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柔らかい歯ごたえで、きな粉の風味豊かな「きなこねじり」。

―「きなこねじり」というのも昔からある商品だそうですね。

関口 きなこを水飴と砂糖で固めた昔ながらの駄菓子で、江戸時代から親しまれてきたと言われています。周りを砂糖でコーティングしているのがポイントです。きなこだけだと粉っぽくなりますが、砂糖で覆うことで、口当たりがよくなるのです。手につきにくくてボロボロしないという食べやすさもあるし、味わいとしても、最初口に入れたときの砂糖の甘さから、きなこの風味に変わるという変化を楽しめます。うちの「きなこねじり」は昔から緑色なのですが、どうして緑になったのか、理由は定かではありません。「緑じゃない方がいい」という意見があって、一時期はきなこの茶色のままで出してみたのですが、それだとやっぱり売れないんです。最初に緑色にした人は、先見の明があったと思いますね。

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ひと口サイズのリングドーナツにあんが入っている「みゆきドーナツ」。

―「みゆきドーナツ」は、リングドーナツなのにあんが入っているというのが楽しいですね。

関口 これも、昔からつくっている商品なんですよ。十日町では、関口製菓といえば「ドーナツをつくってる会社だよね」と言ってくださる方の方が多いくらいで、はっか糖と並ぶ看板商品です。昔は流通が発展していなくて、ドーナツが外から入ってきませんでしたので、この辺りでは「ドーナツといえば関口製菓」、ということでご愛顧いただいてきました。丸いドーナツであんが入っているものはよくありますが、リングドーナツであんが入っているものは珍しいと思います。この小さいドーナツに、あんを入れるのは難しいんですよ。手作業になるので、職人の腕に頼っています。このような商品が一般的に出回っていないのは、昔はそういう細かい作業ができるような機械がなかったからでしょう。私もうちの商品の中でこれがいちばん好きですね。お茶にももちろん合いますが、ホットミルクに合うとよく言われます。

―「みゆき」という名前の由来は?

関口 それが、昔過ぎてわからないのです。美しい雪なのか深い雪なのか……。「社長の恋人の名前ですか?」と言われたこともありましたが(笑)。

―社長に就任されてから、どんなご苦労がありましたか。

関口 まさに苦労の連続でした(笑)。私は8代目の社長として3年前に就任したのですが、それがちょうど、会社として方向転換をするタイミングだったのです。卸業をやめて製造業に専念することになり、会社の組織も大きく変更しました。1年間くらいは、バタバタしていましたね。そうこうしているうちに、コロナ禍が始まったのです。はっか糖は、ここ20年くらいの間に、スーパーや小売店産よりも、全国のお土産屋さんで扱ってもらう割合がかなり高くなっていました。スーパーでは、価格的な面で交渉が厳しいのが理由です。ところがコロナ禍で、観光売り上げがガクンと減ってしまいました。売り場自体の存続も難しい状態になったのです。コロナ禍では、単純に商売を維持していくのが精いっぱいで、新商品を作って営業するといったこともできないし、ただただ、身を縮めるように生き延びてきた2、3年でしたね。そんななかでも、新潟県のスーパーが「地元のお菓子」ということで特設コーナーをつくって紹介してくれたり、十日町の地域地場産業振興センターが通販に力を入れてくれたりしたおかげで、大変助かりました。自社のインターネットのサイトで販売するというのも、以前やってみたことはあるのですが、なかなか売り上げが上がっていかず、難しさを感じていました。なので、「クロステン十日町」のような通販サイトで扱っていただけるのは、大変助かります。

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長い間地元の人たちに愛されてきた、親しみのある商品の数々。

―課題はありますか。

関口 はっか糖はシンプルなお菓子なので、「もっと柔らかい方がいい」とか、「硬い方がいい」とかいろいろな意見があるんですね。ハッカの強さも、長く食べていただいている方は慣れているので、「もっと強い方がいい」と言われますが、あまり食べ慣れていない方からは「強すぎる」と言われることもあります。試行錯誤しながら調節しています。でもそんなふうに意見をくださる方は、大事なお客様です。たいていの人は、思っていてもわざわざ言ってくれないですよね。意見をくださるというのは、それだけこの商品に想いがあるのだと感じますし、本当に感謝しています。お客様の声を聞くことは大切なので、時代に合わせてちょっとずつ変えていかなくてはいけないところもあります。でも、変えすぎないことも大切だと思っています。どれも長いこと守ってきた商品なので、できるだけ伝統を守りながら、昔からご愛顧いただいているお客様に満足していただけるようにしていきたいですね。

―今後の展望をお聞かせください。

関口 70年以上作り続けてきて、「地元の味」として根付いたお菓子を、このまま残すことがいちばん大切だと思っています。地元以外の方たちにも、「新潟の魚沼地方にはこんなお菓子があるんだ」ということを、少しでも多く知っていただきたいですね。昔は、この辺にはたくさんはっか糖を作るお菓子屋さんがあったんですが、今は減ってしまいました。弊社がはっか糖の魅力を伝え続けていくことで、再び「どこのお菓子屋さんでも作っている」というくらいの商品になればいいなと思っています。これからも、町に住んでいる人やここを訪れた人が、もっともっと十日町を好きになってくれたらという想いで、地域に根差したお菓子作りを続けていきます。

―本日は楽しいお話をありがとうございました!

関口製菓_商品1

「はっか糖 味ごのみ」(120g)
価格:¥300(税込、送料別)
店名:関口製菓
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://cross10-shop.net/?pid=77348499
オンラインショップ:https://cross10-shop.net/?mode=cate&cbid=1786539&csid=0

I関口製菓_商品2

「きぬ巻はっか糖」(80g)
価格:¥300(税込、送料別)
店名:関口製菓
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://cross10-shop.net/?pid=77348864
オンラインショップ:https://cross10-shop.net/?mode=cate&cbid=1786539&csid=0

関口製菓_商品3

「きなこねじり」(180g)
価格:¥300(税込、送料別)
店名:関口製菓
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://cross10-shop.net/?pid=84082140
オンラインショップ:https://cross10-shop.net/?mode=cate&cbid=1786539&csid=0

関口製菓_商品4

「みゆきドーナツ」(180g)
価格:¥320(税込、送料別)
店名:関口製菓
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://cross10-shop.net/?pid=150155543
オンラインショップ:https://cross10-shop.net/?mode=cate&cbid=1786539&csid=0

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
関口丈人(株式会社関口製菓 代表取締役社長)

1973年生まれ。2003年に新潟県十日町に帰郷し会社の製造部門へ入る。その後工場長を経て2019年に社長へ就任。製造部門と仕入れ商品の卸売部門で営業していたが、先代社長が退任時に卸売部門を整理し、製造1本となって再出発している最中。

<文・撮影/臼井美伸(ペンギン企画室) MC/吉田茉代 画像協力/関口製菓>

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