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ファッション通は知っている。50年以上愛される日本のロングセラー「久米繊維謹製 セイヤングTシャツ」

2025/07/02

今回、アッキーこと坂口明子編集長が注目したのは、ファッション系メディアやSNSでも常に話題の「セイヤングTシャツ」。今年で創業90周年になる東京都墨田区のメーカーが、50年以上作り続けているTシャツです。ファストファッション全盛の今も選ばれ続ける理由について、久米繊維工業株式会社 代表取締役社長の久米博康氏に取材陣がお話をお伺いしました。

久米繊維工業株式会社 初代 久米才市氏と妻 とよさん(1950年代終わりごろ)。

―御社の歩みについて、教えてください。

久米 創業は1935年で、東京都墨田区に本社があります。1909年生まれの初代はメリヤス産地の墨田区本所で、十数年の斯業の修業を終え独立し、町工場である久米莫大小製造所を創業しました。その後、二代目となる父と叔父が入社し、1963年に裁断・縫製・仕上げ・梱包までの一貫生産を行うべく工場を千葉へ移転しました。現在も墨田区に本社とファクトリーショップがあり、製造は千葉の工場で行っています。

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90年の歩みの中で熟練と経験を重ねたスペシャリストが集まり、
切磋琢磨しながらも力を合わせることで
「永くご愛用いただけるTシャツ」をつくりあげている。

久米社長ご自身について、教えてください。

久米 私は大学時代から家業を手伝い始めました。当時、繊維業界も難しい時代で、早くから「家業を学び継がなければ」という気持ちがあったのです。

当初から感じていたのは、「もし他社の製品との差別化ができないならメーカーとしての存在価値はない」ということ。また、「国内でものづくりを行っているのだから、国産ならではのTシャツをつくり続けたい」とも考えました。ただし、日本製ならいいというわけではなく、そこに「久米繊維らしさ」もなければなりません。「日本ならでは」「久米繊維ならでは」のものづくりを、ずっと心がけています。

―Tシャツという商品は、どうしてもファストファッションと比べられますね。

久米 おっしゃる通りTシャツは世界中さまざまな国や多くのブランドで作られ、価格差も大きな商品です。ファストファッションとも違うと認めてもらうにはどうすればよいか。試行錯誤しながら、例え100人の内お1人でも「久米繊維のTシャツが欲しい」と感じていただけるような製品を生み出せるかにチャレンジし、ファクトリーブランドとしての取り組みを続けています。

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絶妙なサイズ感、ニュアンスのある色、そして着心地。
ファストファッションとは一線を画す雰囲気を感じる。

ファクトリーブランドというと?

久米 工場が自らブランドを立ち上げて、技術やノウハウを最大限に活かした企画の商品を製造し、直販ベースで販売を行っていくかたちです。お客様にとってお手に取っていただきやすいリーズナブルな価格設定でありながら、工場にとっても持続可能な生産量や掛けたコストとマージンを確保できるようなビジネスモデル。それを目指して、ファクトリーブランドとしての取り組みに力を入れてきました。

―タグには、「久米繊維謹製」とありますね。

久米 ネーミングについては、横文字にすることも含めてかなり悩みました。ただ、業界的にはそれなりの知名度があったとしても、一般的には知名度は高くなかったため、つくり手として堂々と名乗った方が潔いのでは、と感じました。

そして漢字にすることで、日本のファクトリーブランドであることを端的にお伝えすることに加えて、「謹製」という日本の職人としての姿勢を示したいとも思いました。

当初は、「えっ?」と言われることもありましたが、覚えてもらいやすいブランド名になったかなと思います。

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パッケージにも「久米繊維謹製」と刻印がある。
「ファクトリーブランドとして自社ブランドの製品を発売するにあたって、
暖簾を守る決意と責任感を込めて決めました」。

ご紹介いただく、「セイヤングTシャツ」について、教えてください。

久米 1960年代前半から販売を開始した、半世紀以上のロングセラーです。ポリウレタンなどのストレッチ糸を使わずに、通称ゴム編みと呼ばれる編み方により横方向に伸縮性を持たせた綿100%の生地になっています。とても肌触りが良くフィット感があるTシャツですが、着る前に伸ばしたいところを伸ばしてから着るなど、自分好みのピッタリ感を作ることもできます。

シルエットも独特で丈が長くなっています。当時は、Tシャツというのはそれ一枚で着るものではなく、ボトムスにインするのが当たり前でしたから。袖もだらしないと言われてしまわないように、少し細く長めになっています。衿が太いバインダーネックになっているのも、型崩れしにくいものにしているためです。

タイトめなシルエットで重ね着コーデもしやすく、豊富な色展開からフェイバリットカラーやアクセントカラーを利かせた着こなしができることも人気の一因です。そして細身でなかなか似合うTシャツがないというロードバイクに乗るサイクリストやアスリートの方々も好んで買ってくださいます。また、女性の方からは、フィット感があり長めの袖で二の腕が隠れる、緩くしたいところは少し伸ばしてちょうど良く着られるといったお声をいただきます。

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「セイヤングTシャツ」のカリブブルー、Sサイズを試着。
フィット感があるのにピチピチした印象はなく、二の腕など気になるところが隠れるのが嬉しい。
発色が良くニュアンスのある色なので、1枚でおしゃれな印象に。

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レトロで可愛いタグも、あえて昔から変えていないそう。
「ジェントル」とあるように、非常に肌触りが優しく、
縫い目があたるような違和感もなし。薄手のニットを着ているような感覚。

―「久米繊維謹製 楽Tシャツ」についても教えてください。

久米 こちらは弊社のベストセラーと言えるもので、いわゆる天竺編みのスタンダードなTシャツです。日本の気候にも合った、ほどよい厚みのところで肌触り良く仕上げた生地を使用し、着心地の良いゆったりとしたカッティングになっています。サイズバリエーションから、さらにオーバーサイズを選んでリラックス感のある着こなしを楽しまれる方も多くいらっしゃいます。

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シンプルで完成されたTシャツを日本の実直な仕事と細やかな感性で再構築。
「私たちの考えるジャパンスタンダードTシャツです」。
やや太めの糸を丁寧に紡ぎ編み立てる事で、カジュアルさと質の良い着心地を両立している。

どちらのTシャツも、色に特徴がありますね。

久米 はい。気分やトレンド感で着てみたい色も変わっていきますし、Tシャツというアイテムだからこそ色選びを楽しんでいただきたいという思いも込めています。

「楽Tシャツ」の色合いは基本的には和の色ですが、ありそうでなかなかないニュアンスのある色も含まれていて人気となっています。このような豊富な色展開ができますのも、国内でも有数の技術を持つ染色工場との協業によるものです。

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「灰桃色」を試着。年齢的にピンクは苦手なのだが、和の色だからかしっくりきた。
真珠と合わせても良さそう。洗濯後には風合いが出てまた違った表情に。
ジーンズのように、育てていくのが楽しみなTシャツ。

シンプルなTシャツですが、人気の理由は?

久米 シンプルなディテールの決定には、オリジンであるメリヤス製造時代から培ってきたノウハウや職人の心配りも活かされています。また定評がある生地の風合いは、長年にわたって信頼関係を築いてきた国内の紡績会社、編立工場、染色工場とのチームワークの賜物です。

―たかがTシャツ、されどTシャツですね。

久米 はい。Tシャツづくりも本当に奥が深く、シンプルがゆえにかえって難しい面もあると感じています。普段使いで心地よいもの、私どもならではのものを創り出せないだろうか、といつも考えています。

―ショップにも行ってみたいです。

久米 ありがとうございます。直販ベースということで、オンラインショップのオープンが先にあり、リアル店舗はありませんでした。でも、「実際に試したい」というお声が多かったので、本社1Fにファクトリーショップをオープンしました。各モデルで異なる生地の風合いやサイズ感、カラーバリエーション等をみていただける場所になっています。ぜひ普段着たことのない色やサイズもお試しいただければ、つくり手として嬉しく思います。

最近は、光栄にもブランドやアーティストの方々とのコラボも多く、そのタグや洗濯表示を見てインターネットで検索してご来店くださる方も増えました。また、SNSやメディアに取り上げていただくことも増えていて、皆さんに支えられていると感じています。

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ファクトリーショップでは、定番品を試着できる。
ギャラリースペースの展示会開催時には、
アーティストによるコラボTシャツに出会えることも。

―これからは、Tシャツのタグにも注目してしまいそうです。貴重なお話をありがとうございました!

セイヤングTシャツ

「セイヤングTシャツ」
価格:¥2,530(税込)
店名:久米繊維工業株式会社
電話:03-3625-4188 (9:00~18:00 土日祝日及び年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kume.jp/?mode=cate&cbid=2544510&csid=0
オンラインショップ:https://shop.kume.jp/

久米繊維謹製"楽"Tシャツ 半袖

「久米繊維謹製”楽”Tシャツ半袖」
価格:¥3,080〜(税込)
※サイズにより価格が異なります。
店名:久米繊維工業株式会社
電話:03-3625-4188 (9:00~18:00 土日祝日及び年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kume.jp/?mode=cate&cbid=2529062&csid=0
オンラインショップ:https://shop.kume.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

久米博康(久米繊維工業株式会社 代表取締役社長)
1967年東京都墨田区生まれ。1935年にメリヤス産地である東京下町の本所区(現在の墨田区)石原町で創業した久米繊維工業の四代目代表取締役社長。メリヤス製造で培った技術を活かし、1950年代の半ばに国産Tシャツの先駆けとなる「色丸首」を開発した二代目の矜持を継承しつつ、Tシャツ並びにトレーナー(スウェットシャツ)の専門メーカーとして「日本そして久米繊維ならではのものづくり」を守破離の精神で続けている。

<文/尾崎真佐子 MC/藤井ちあき 画像協力/久米繊維工業>

 

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