毎日食べるものこそ“いいもの”を。おいしくて安心安全な味噌「銘醸」

2023/07/20

毎日の食卓に味噌汁があると、ホッとしませんか? いつも使う味噌こそ、おいしくて、原料にこだわったものを選びたくなります。今回、編集長のアッキーが気になったのは、こだわりの味噌を作っていると評判の長野県にある武田味噌醸造株式会社です。取締役経営企画部部長の武田晴太郎氏に、スタッフがお話を伺いました。

武田味噌醸造株式会社 取締役経営企画部部長 武田晴太郎氏

―創業は昭和5年(1930年)。90年以上ずっと大切にされてきたものは?

武田 初代は「美味しい味噌は常にお客様とある」という思いを大切にしていました。それを、そのまま引き継いでいます。常に、お客様に美味しいと思ってもらえるような味噌を作りたいですね。時代とともに、美味しさの定義は変わりますが、どんな材料でどのように作るか、いつもこの原点に戻るようにしています。

発売してから30年以上経つ、ロングセラーの味噌「銘醸」。

―味噌の仕込み体験など、イベントを積極的に開催されていますね。

武田 体験会をやり始めたのは、実は味噌汁離れの危機感からでした。私たちにとっては、味噌汁は毎日飲むのが当たり前。でも、小中高の子ども達に「給食以外で、味噌汁をどのくらい飲みますか?」というアンケートをとったら、半分ぐらいが「週1日以下」、もしくは「飲まない」という回答だったのです。このままでは、味噌の文化がなくなってしまうのではと思いました。

味噌の文化を伝えていくために、どんな味なのか、どんなふうに作っているのかを発信していく必要があると考えました。味噌の仕込み体験は人気で、募集をするとすぐにいっぱいになります。参加者さんからは、「作ってみて楽しかった」「自分で作ると美味しい」「また作ってみたい」など、うれしい反応が返ってきます。
参加者さんに「どの味噌が好きですか?」と聞いて、私がその場で味噌の配合を調整して味噌汁を作って飲んでもらうという、イベントもしたこともあります。味噌の味の違いに驚かれた参加者さんもいました。
また、農業まで戻っても面白いかなと思って、高校生と味噌の原料である、大豆の種まきの体験イベントも行っています。

毎日飲む味噌汁は、安心安全にこだわった味噌「銘醸」で。飽きがこない味が美味しさの秘密です。

―今回ご紹介する味噌は、ロングセラーの「銘醸」です。開発のきっかけは?

武田 「銘醸」の発売は1990年です。この商品は、大豆と米の生産者の方と栽培契約を結び、パッケージに生産者さんの名前を明記するという業界初の試みをしたものです。今でこそ、そのような商品はありますが、当時は珍しいものでした。1980〜1990年代、社会はバブル経済に沸き、大量生産大量消費の時代。原料にこだわるというよりもどんどん商品を作って売ろうという雰囲気でした。
そんな中で新商品を考えたとき、「美味しいお味噌は常にお客様とある」という経営理念に立ち返り、お客様が喜ぶ「安心安全な商品」を作ろうと考え、商品開発をしました。

「銘醸」のロゴは社員が書いたもの。毎日見ても飽きない、シンプルなパッケージです。
ふたの部分に、大豆と米の生産者、醸造責任者のフルネームが入っています。

もちろん、おいしさにもこだわりました。当時は、麹の割合が6~8割の信州味噌が多い中、麹の割合を12割にしました。麹が20割と多くなると、西京味噌などのように甘味が強くなります。甘味とコクのバランスがちょうどいい麹の割合を生み出しました。

―米と大豆の生産者さんを選んだ理由は?

武田 現在の生産者さんは、大豆は藤田匡(たすく)さん、原田和夫さん、お米は阿部伸也さんです。皆さん、同じ考えなのですが、作物に無理をさせてないんです。
藤田さんに聞いた話ですが、大豆の葉の色は緑が深いもの、淡いものがあるそうです。緑の深い葉は、肥料のやりすぎで栄養過多になっている。藤田さんが目指しているのは、畔に生えている雑草と同じ葉の色。畔には、肥料をまいていないから自然に近い色なのだそう。
藤田さんはアメリカの専門機関に土を送り、分析をしてもらい、必要最小限の肥料や農薬を使っています。最先端の技術を活用して作物に負担をかけないように栽培し、きちんと美味しいものを収穫しています。作物と人間が共存共栄しながら、大豆作りをしている藤田さんのやり方に共感し、取引をさせてもらっています。

―「銘醸」は約30年間、変わっていないもの、変わったものはありますか?

武田 味噌汁は毎日飲むものなので、味噌は飽きのこない、やさしい味にしています。外食ですごくおいしいなと印象に残っているものは、毎日食べるものではありません。そのような味は、毎日食べると飽きてしまうからです。日常的に食べるものは、インパクトはないかもしれないけれど、食べ飽きません。私たちは、そんな味噌を目指しています。だから、ずっと味は変えていません。長年「銘醸」を買ってくれているお客様もいますので、その信頼は大切にしています。

長野・北国街道沿いにある、武田味噌醸造のお店「菱屋」。他にも、酒蔵、パン屋、そば屋など美味しい店が並びます。

原料の生産者さんは変わっています。その理由は、高齢などを理由に引退される生産者さんがいるからからです。今の生産者の方々は、10年前から探し始めて5〜6年前に見つけ、2年ほど前から生産をお願いしています。原料は変わっていますが、味はなるべく変わらないように調整しています。
生産者の方々には、実際に会ってよく話をします。お互いにいい関係でもの作りをしたいと思っています。弊社のホームページの新着情報に、私が訪ねた生産者さんを紹介していますので、ぜひ、ご覧ください。

―今後の展望は?

武田 新しい味噌の開発をしたいと思っています。新しい蔵を建て麹菌を自ら育てたり、乳酸菌を使ってみたりと挑戦をしています。新商品として発売していきたいですね。

ホームページに紹介された、「銘醸」を隠し味にした「カレーMisoの夏野菜丼」。

それから、味噌は味噌汁だけでなく、いろいろなものに使えることを提案したいです。例えば、味噌を餃子のたねの中に、チョコレートのお菓子の生地の中にほんの少し入れると、コクがでます。主張はしないから言われないと気がつかないけれど、味噌を隠し味に使うことで美味しくなります。
私の姉が味噌ソムリエ、ナチュラルフードコーディネーターをしているので、メニュー開発を担当しています。イベントに出席する時は2人で出席すると、私は技術面で、姉は使い方を話すことができるのでちょうどいいんです。これからも、味噌のことをもっと発信していきます。

―本日は、貴重なお話をありがとうございました。

「銘醸」(500g)
価格:¥850(税込)
店名:武田味噌醸造
電話:0268-22-2280(9:00~16:30 土、日、祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://takedamiso.jp/html/products/detail/3
お店のURL: https://takedamiso.jp/html/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
武田晴太郎(武田味噌醸造株式会社 取締役経営企画部部長)

1986年長野県生まれ。2010年に入社し味噌やみそ加工品の研究・開発、醸造、販売に携わる。技術を研鑽し、長野県の品評会で数々の賞を受賞するとともに、2019年に一級みそ製造技能士を取得。2022年同社取締役経営企画部部長に就任。現在はより高品質な味噌造りに取り組むとともに、味噌文化の発展のため、様々な場所で講義や体験等も行っている。

<文・撮影/大橋史子(ペンギン企画室) MC/津田菜波 画像協力/武田味噌醸造>

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