今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、めんつゆとしてはもちろん、煮物に蒸し物と、様々な料理に活躍する和風調味料「風味たっぷりだし醤油」です。だしの旨みにやさしい甘みと醤油の風味で、日本人なら誰しもホッとする味わい。天真株式会社 代表取締役社長の真鍋和三郎氏に、取材陣がお話を伺いました。

―創業からの歩みをお聞かせください。

真鍋　1923年、祖父が醤油の製造を始めました。天真（てんしん）醤油株式会社としたのが1949年。その後1959年に、みりんや料理酒などの酒類を製造する天真株式会社を設立。2つの会社が合併して天真株式会社となったのが2021年です。醤油から始まってみりん、料理酒、そしてソース、食酢、ポン酢、たれなど調味料を中心に商品の幅を広げてきました。

―真鍋社長のご入社は？

真鍋　幼いころから会社を継ぐのだと言われていましたから、中学生の時点で、東京農業大学に進学して醸造を学ぶことを決めていました。大学を卒業後家業に入り、2001年、社長に就任。入社後、品質管理を皮切りに、製造課、工場長、営業部長など幅広い業務に携わり、お客様の困りごとやニーズなどを聞いたり、解決方法を探ったりという経験ができ、今につながっていると感じます。

先代である父も、のびのびと仕事をさせてくれました。時には、失敗を見越してある程度任せるというようなことも、今振り返ればあったように思います。私の発案で、1985年ごろ、当時はまだ珍しかった、フィルムの小袋入りつゆを始めました。生活様式が変わって、カップラーメンなど新しいスタイルの食品がどんどん出てきた時代。土産物にしても惣菜にしても、調味料が添付されるようになったので、醤油やつゆの小袋も必要とされるようになると思ったのです。高価な機械でしたが購入を許され、うどんのつゆなどを詰めて商品にしていました。また、その珍しい機械を、時には人に貸したりなんかもする、とんでもない息子でした（笑）。しかし、多くの経験を積んだからこそ、今、様々な商品開発に携わることができているのだと思います。

「風味たっぷりだし醤油」など新商品開発にも積極的。

―「風味たっぷりだし醤油」について教えてください。

真鍋　その名の通り、風味豊かなだしです。かつお節や煮干しなどから美味しいだしを取り、そこに弊社自慢の醤油を合わせて仕上げます。どんな料理にでも合う、深い味わいのだし醤油です。

鰹節、煮干し、いわし削り節と3種のだしの旨みたっぷりで、めんのつゆに間違いのないおいしさ。
うどんのかけつゆには10倍、そばのつけつゆには5～6倍に希釈。

―おすすめの使い方は？

真鍋　めんつゆ煮物用つゆにはもちろん、かけ醤油として使っていただけますし、寿司酢やドレッシングを作るときに入れていただくと、一気に旨味が加わります。

お浸しも、手軽ながら家庭ではなかなか出せない本格的な味わいに。野菜の煮物やおでん、汁物、茶碗蒸しなどにも重宝。

―消費者への想いをお聞かせください。

真鍋　私たちは、お客様の喜んでいただけるお声が一番の力になります。笑顔が彩る食卓を作りたい。安心安全でうまい！ 調味料をお届けしたいと思っています。地方の味を楽しみたい皆様には、徳島県の醤油として味わっていただきたいと思います。

―新商品のご予定は？

真鍋　実は今、ビーガン商品の認定取得に向けて動いています。だし醤油にも鰹や煮干しを使いませんから、なかなか面白い商品ができそうです。海外に比べると日本はビーガンやオーガニックなどの認識が遅れている印象があります。今後は海外にも視野を広げ、日本の伝統的な調味料を新しい視点で展開することにも注力したいと思っています。現在、店舗販売は地元スーパーを拠点に中四国が中心ですが、10年ほど前からオンラインショップも整えていますから、広く手に取っていただけたらうれしいです。

―素晴らしいお話をありがとうございました！

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞

真鍋和三郎（天真株式会社 代表取締役社長）
1952年徳島県生まれ。東京農業大学を卒業後、1974年に天真株式会社入社。研究室、製造課、工場長、営業部長を経て、2001年同社代表取締役社長に就任。徳島県醤油醸造協同組合で2025年代表理事を務める。

＜文・撮影／植松由紀子　MC／藤井ちあき　画像協力／天真＞