ふわふわパンにたっぷりクリーム。冷やして食べるクリームパン「パンコッペ」

2025/05/23

今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、瀬戸内のハワイとも呼ばれる山口県は周防大島から届くクリームパン。開発の背景にある故郷への熱い思いを、有限会社千鳥 代表取締役の山崎浩一氏に、取材陣が伺いました。

―山崎社長の経歴からお聞かせください。

山崎 山口県東部の周防大島で、祖母が開業した民宿を継いだ母と、公務員の父のもとに生まれ育ちました。高校3年生で大学受験に失敗。父は浪人を勧めてくれましたが、逆に父親孝行をしたくて息子への期待を聞くと、「職人になってほしい」と……。そこから料理の道に入りました。広島県の有名フレンチで3年修業した後フランスに渡り、帰国後は東京のフランス料理店に勤め、横浜や大阪でパンやケーキを学びました。

26歳で、故郷である周防大島に戻ることに。折しも島内の竜崎温泉という温泉施設の食堂運営の公募が行われ、応募したところ選ばれ、「竜崎温泉レストラン千鳥」を開業したのが1995年でした。当時、日帰り温泉ブームで、瞬く間に地域で最も売り上げる飲食店となりました。そこで2店舗目となるイタリアンレストランを、同じ山口県でも本土にある光市に出すと、これまた売り上げの良い店となり、多店舗展開するようになったのです。

それからは、パン屋にイタリアン、和食などさまざまな店を出す一方で、2012年に周防大島観光協会の会長に就任し、特産品を使ったみかん鍋や太刀魚の鏡盛りといった名物料理を開発し、周防大島の観光産業の盛り上げにも注力してきました。

―自身のビジネスだけでなく地元の活性化にも尽力されるようになったのは?

山崎 小さな島なので、「竜崎温泉レストラン千鳥」が成功したとき、周囲の嫉妬を感じました。ですから2店舗目を本土に出したのですが、それも成功したことで、光市でも妬みを買ってしまったのです。どうせひがまれるなら地元がいいと、周防大島に根付いた会社となり、周防大島の町おこしをしながら自分の持つ技術で店を広げていこうと決意しました。

―多店舗展開成功の秘密は?

山崎 影響を受けた方が2人います。1人目は、「レストラン千鳥」を出すときにお世話になった器屋さん。フォンドボーを取り、デミグラスソースを一から炊こうとする自分に「この温泉施設で何をしようとしてるんだ?」と、地元料亭で和食を覚える算段を整えてくれました。ほんの少し、和食の基本を知った自分の料理を、「レストラン千鳥」のお客さんは喜んでくれました。そこで学んだのは、なんでもかんでも一から手作りするのではなく、客層や店構え、価格帯などに応じた料理が求められるということでした。

2人目は、とあるたい焼きのFCを作った人です。ユニークなネーミングセンスで、1年間で100店舗展開を達成したビジネス手腕から、多くを学びました。その方との出会いは、ほかの経営者と交流するようになったきっかけでもあります。

順調に成長を続けていましたが、コロナ禍で大打撃を受け、まだ頑張り時が続いています。せっかく作ってきた観光の流れが、想定以上に崩れ、お客様の戻りがなかなか悪い。物価高や人手不足など、飲食業ならではの困難も多々ありますが、ここまできたからには進むしかないと踏ん張っています。

―お取り寄せ商品を次々に出されていますね。

山崎 好評なところでは、「瀬戸内花嫁たい焼き」があります。ワッフル生地のたい焼きに、角隠しに見立てたクリームを挟んで、季節のフルーツをかんざしのように盛り込んだユニークなスイーツ。非常に人気ですが、手作業で、凝った工程なので、一時注文をストップせざるを得ないこともあります。

斬新な見た目とアイデアで話題の商品に。

その点、作りやすくてご好評いただいているのが「パンコッペ」です。

花嫁たい焼きとパンコッペは、なんというか、自戒ともいう気持ちから生まれたものです。ある時期、町と対立するようなことがあったんですね。ネットでもいろいろ言われました。そのときに、自分が少し粋がっていたように感じたのです。周防大島だけを見るのではなく、瀬戸内全体が幸せになるような広い視野を持とうと、気持ちを新たにしました。

花嫁たい焼きはバリエーションの1つとして、周防大島のみかんと岡山の桃の結婚というコンセプトで、フルーツコラボレーションしました。同じように、パンコッペもご当地クリームやコラボクリームなどを作っています。

クリームがとろりとあふれる冷たいクリームパン。

―パンコッペのご紹介をお願いします。

山崎 冷やして食べるクリームパンです。生地は、スイーツのように限りなく柔らかいのではなく、フワフワのコッペパンで、冷やしても固くなりません。中にはくち溶けの良いクリームがたっぷり詰まっています。カスタード風味のプレーン、いちご、黒ゴマ、抹茶、チョコの5種類からスタートして、今では10種類ほどのラインナップです。

プレーン、いちご、黒ゴマ、抹茶、チョコの5種が定番。

―他にはどのようなフレーバーがありますか?

山崎 全国展開する中華料理チェーンとのコラボメニュー「杏仁」や春限定の「桜クリーム」、「マロン」や「さつまいも」などもあります。バレンタインや母の日などの贈り物には「ハッピーショコラ」が人気です。

いちご風味のクッキー生地がハート形。フィリングのミルクチョコクリームとの相性も◎。

―今後の展開はどのように?

山崎 会社としては、ベースとなる店づくりに改めて力を入れるとか、フランチャイズの仕組みを構築するとかがあります。しかしそれらは、周防大島が大観光地になるための準備。

山口の観光地といえば、やっぱり下関が有名です。フグだって、こちらの方、瀬戸内でもたくさん獲れるのですが、下関の方が知られてる。つまり、下関に嫉妬している山口東部の観光地というわけです。
それを逆手に取って、「西の鉄砲 東の刀」というキャッチコピーのもと、太刀魚をてっさのように盛り付けた「太刀魚の鏡盛り」を考えてキャンペーンをしてもらったことがあります。「結局刀は鉄砲にはかないません」というおちゃめなオチもついています(笑)。

しかし、瀬戸内のハワイ、周防大島のさらなる発展を願う気持ちはだれよりも強いと自負しています!

―素晴らしいお話をありがとうございました!

「パンコッペ6個詰め合わせ」
(杏仁・カスタード・いちご・抹茶・チョコレート・黒ゴマ)

価格:¥1,900(税込)
店名:周防大島 うまいもの広場
電話:0820-73-0009(9:00~19:00 土日祝・GW・夏季休業・年末年始休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://umaimono.easy-myshop.jp/c-item-detail?ic=pa-003
オンラインショップ: https://umaimono.easy-myshop.jp/

「パンコッペ6個詰め合わせ」
(ハート・桜・カスタード・抹茶・いちご・黒ゴマ)

価格:¥2,100(税込)
店名:周防大島 うまいもの広場
電話:0820-73-0009(9:00~19:00 土日祝・GW・夏季休業・年末年始休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://umaimono.easy-myshop.jp/c-item-detail?ic=A000000053
オンラインショップ: https://umaimono.easy-myshop.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

山崎浩一(有限会社千鳥 代表取締役)
1971年山口県周防大島町生まれ。フランス・東京・大阪と6年の修行期間を経て1995年に故郷周防大島にてレストラン千鳥を開業。翌年有限会社千鳥を創立。現在は和食・洋食・パン・旅館業と幅広く分野を広げ11店舗経営している。

<文/植松由紀子 MC/藤井ちあき 画像協力/千鳥>

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