国産野菜と伊豆産「乾しいたけ」の旨味が腸活や健康的な食習慣をサポート。丸晶の「食べる!ベジスープ」

2025/05/22

今回、アッキーこと坂口明子編集長が注目したのは、椎茸の旨味が効いている濃厚な野菜スープです。電子レンジで2分で作れる手軽さや、グルテンフリー、食物繊維が豊富といった点が口コミで話題に。椎茸の会社が野菜スープを開発した理由や開発秘話などを、株式会社丸晶 代表取締役社長の鈴木雅雄氏と取締役の鈴木晶博氏に伺いました。

株式会社丸晶 左:代表取締役社長 鈴木 雅雄 氏 右:取締役 鈴木 晶博 氏

―御社の成り立ちを教えてください。

鈴木(雅) 先祖は大井川の上流にある伊久美川あたりの出身のようで、祖母によると、江戸末期の頃までは造り酒屋だったそうです。私たちの祖先は長男ではなかったため、自分で作った酒を静岡の宿場町として知られる藤枝で売っていて、その後、酒屋から茶屋になり、戦前までは茶屋を営んでいたようです。父は、その家の八男なのですが、戦争で3人の兄を亡くし、戦後まもなくは、三菱ドックや岩崎弥太郎が経営する千葉の農場などで働き、静岡に戻ってきた時に、椎茸の商いを始めました。

―もともと輸出もされていたとか?

鈴木(雅) 二代目で祖父の常次郎は、初めてアメリカに日本のお茶を輸出した人物です。横浜からロサンゼルスへ、船で静岡みかんとお茶を売りに行っています。しかし、嵐によってお茶は水をかぶり、みかんにはカビが生えて、残念ながら何も売ることができませんでした。それでも現地ではとても歓迎されたそうで、「大損したけど楽しかった」と言っていたらしいです。その後は、静岡みかんをカナダなどに輸出していました。

―その後、椎茸を輸出するように?

鈴木(雅) 父もそんな話を先代から聞いていたので、世界中に輸出の仕事で出かけていました。直接、香港やシンガポールに椎茸を輸出していました。今ではもう国内の椎茸の輸出業者は非常に少なくなってしまいましたが、その1社ということになります。

―鈴木社長が入社された経緯は?

鈴木(雅) 私は東京の大学を出て、東京の大手企業に就職しましたので、実は家業を継ぐつもりはなかったんです。ところが就職して2年ほど経った頃、父から戻ってこいと言われ、私も悩みましたし、当時の会社にもご迷惑をおかけしましたが、戻ることになりました。

―家業を継いでみて、いかがでしたか?

鈴木(雅) 私が一番興味を持ったのは、日本の椎茸を世界に輸出することです。父の代では、東南アジアへの輸出が多かったのですが、それ以外の地域にも輸出できるのではないかと考えました。取り組んでみると、意外とたくさんの国に需要があり、アメリカ、フランス、ベルギー、イギリス、カナダといった国で、日本の椎茸が輸出されています。当時、商社での取引はありましたが、専門業社が直接売りに来るということはなかったようです。でも、直接行ってみたらすぐに歓迎され、商売に繋がりました。うちの椎茸をわざわざ香港から買っていたという会社もあって、どちらかというと、会社を選んで売る、というくらいに需要がありました。

工場での様子。椎茸のプロが直接、椎茸産地へ行き、品質のよいものを選んで入札。
仕入れた良質な椎茸を選別し、さらに厳しい品質チェックを通ったものだけを袋詰めしてお届けしている。

―世界中で日本の椎茸は人気があるのですね?

鈴木(雅) それが、30年ほど前から、だんだんと韓国、そして中国での生産が盛んになり、価格も日本産の1/10ですし、もともと華僑の方との取引が中心だったこともあって、取って代わられるという事態になっています。弊社も、25年ほど前に中国にも工場を持つことにしました。
というのも、日本の椎茸の生産量は、ピーク時には1万4,000tあったのに、昨年は1,250tと激減しているのです。理由はいろいろありますが、中国より安価な乾しいたけが大量に輸入されていること、また、福島の原発事故の影響があると思います。そして、特に乾しいたけは需要が伸びていないということがあります。

―どうして需要が伸びていないのでしょう?

鈴木(雅) 乾しいたけは、まずおいしいですし、ビタミンDが豊富で栄養価が高く、血圧を下げる、免疫力を上げる、コレステロールを下げるといった効能も証明されている食品です。ですから、スローフードを理解されている方はお使いになるのですが、どうしても水で戻す工程が必要ですし、大きなものだと2日がかりで戻す必要があったりして、使い勝手が悪いのが欠点なのです。

乾燥椎茸は、「摂氏5度くらいの水で戻すと最もおいしくなる」とのこと。冷蔵庫に5〜10時間ほど入れておくのがおすすめ。

―今回ご紹介いただく「ベジスープ」はそういった背景もあって開発された?

鈴木(晶) 若い人にも食べてもらえるように、すぐに食べられて手軽なもの、それでいて添加物を使わない新しいものを開発しなければならないと思いました。それで、まずは椎茸を使った商品を集めてみたのですが、「椎茸マドレーヌ」とか「椎茸ラーメン」とかではなく、もう少し慣れ親しんだものにしたいと思いました。例えば、静岡だと、お茶屋さんが抹茶を使った甘いものを開発していますが、そういった感じで、椎茸の商品を開発したいと思ったのです。色々と探している中で、青森の十和田湖にOEMの良い会社があったので、一緒にスタートしました。でも、最初の試作品は、正直、おいしくなかったんです。

―椎茸スープは、おいしくなかったのですか?

鈴木(晶) それで試食を繰り返して、椎茸は旨味として使い、相性の良い野菜を引き立てるために使用することにしました。試食販売をしてみると、野菜が苦手なお子さんも「おいしい」と言ってくれるほどのものができました。とにかく野菜をたっぷり使っていて、小麦粉などは一切使わずにとろみを出しています。また、ジュースやスープに使う野菜は抽出液にするため、規格外のものを使ったりするのですが、これはすべて農家から仕入れた野菜そのものを使用しています。そのせいで、どうしてもコストが高くなってはしまうのですが。かなりこだわったものになりました。

パッケージもかわいい「食べる!ベジスープ」。
あえてイラストにすることで他の商品と差別化し、中身は上の蓋から見えるようにしている。

レンチンまたは湯煎で温めるか、常温、冷やして牛乳・豆乳を混ぜてビシソワーズ風にしてもおいしい。
すべてに伊豆産の椎茸を使用し、椎茸の豊かな旨味と風味がしっかり感じられる滋味深いスープ。

―どんな人におすすめですか?

鈴木(晶) ダイエットや腸活など、健康な食習慣におすすめです。また、コップとスプーン付きなので器などを用意する必要もなく、忙しい人にも手軽です。レトルトパック以外は紙か木で出来ているので、なるべく環境に配慮したい方にもぴったりです。

―今後の展望などもお聞かせください。

鈴木(雅) 先ほども触れましたが、椎茸栽培をしている農家が激減しています。生産者も高齢化しており、平均年齢が70歳くらいになっています。というのも、椎茸は新規参入がとても難しい作物なのです。椎茸は、原木に種菌を回して育成するのに2年かかります。新規に都会から山に来たとすると、2年間は無収入になります。その間の無利子・無担保投資など、支援をしなくては業界全体の元気がなくなってしまいます。

私は、全国椎茸商業協同組合連合会理事長として、林野庁にも働きかけ、「椎茸をやる人を増やす」活動もしています。椎茸は生えてくれば必ず売れるものですし、5年くらいで収入も安定するはずです。生産減に歯止めをかけて増やしていかないといけないと思います。

伊豆は原木しいたけの発祥地とされる。クヌギ・コナラなどの原木に種菌を植え付け、
マイナスイオンたっぷりの森林の中で、2年間じっくりと育て上げて収穫する。

鈴木(雅) 最近は、海苔や昆布といった乾物も高価になってきています。椎茸も2倍くらいの値段になっていて、特に日本の椎茸は高級品だと海外の人はよく知っています。中国では20万t以上生産され、10万tが輸出されていると言われています。一方、日本への中国産椎茸の輸入量は約4,300t、日本の輸出量は今年約40tです。

ただ、中国では菌床栽培が主です。日本では原木栽培が行われています。自然の環境に近い森の中で育つおいしい椎茸を失くさないようにしたいと考えています。静岡は特に1000年以上の古くから栽培の歴史がありますので、ぜひ守っていきたいですね。

同社のマスコットキャラクター「しいぽん」と「どんこわん」。椎茸への愛に溢れる同社の姿勢を感じる。

―椎茸のおいしさの秘密から栽培の現状まで、とても興味深かったです。貴重なお話をありがとうございました!

「食べる!ベジスープ 3種の味詰め合わせ」(150g×3個)
価格:¥2,980(税込)※送料込
店名:どんこわんのしいたけSHOP
電話:054-641-1388(9:00~16:00 土・日・祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://item.rakuten.co.jp/siitakeshop/vegesoup-set/
オンラインショップ: https://item.rakuten.co.jp/siitakeshop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

鈴木雅雄(株式会社丸晶 代表取締役社長)
1956年静岡県生まれ。早稲田大学卒、サントリーフーズ(現サントリーホールディングス)に入社し、2年半の修業期間を経て1982年に家業である丸晶へ入社。2004年に同社代表取締役社長に就任。藤枝市椎茸振興協議会 会長、静岡県椎茸振興協議会 副会長、静岡県椎茸商業協同組合 理事長、全国椎茸商業協同組合連合会 理事長を兼任し、椎茸業界で幅広く活躍している。

<文/尾崎真佐子 MC/藤井ちあき 画像協力/丸晶>

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