日本で数少ない「平飼い」にこだわって卵を生産することで健康的な卵を提供
江戸時代から食べられるようになったといわれる鶏卵。特に日本の鶏卵は、生でも食べられるほど品質・衛生管理が行き届いています。茨城県の倉持産業株式会社が手がける「鳥羽田農場の平飼いたまご」は、ケージで育てるのではなく、昔ながらのニワトリの飼い方を模索して生まれた商品。中でも、アニマルウェルフェアを取り入れた平飼いということで注目されています。
江戸時代から食べられるようになったといわれる鶏卵。特に日本の鶏卵は、生でも食べられるほど品質・衛生管理が行き届いています。茨城県の倉持産業株式会社が手がける「鳥羽田農場の平飼いたまご」は、ケージで育てるのではなく、昔ながらのニワトリの飼い方を模索して生まれた商品。中でも、アニマルウェルフェアを取り入れた平飼いということで注目されています。
アニマルウェルフェアという言葉はまだなじみが薄いかもしれません。直訳すると動物の福祉というような意味ですが、農林水産省によると、動物がその生活している環境にうまく対応している態様と定義されているそうです。
そもそもは1960年代にイギリスで委員会が立ち上がり、家畜の劣悪な飼育環境を改善させ、ウェルフェア(満たされて生きる状態)を確立するために、次の「5つの自由」が定められたということです(一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会より)
そして、ウェルフェアを確立するために、1.空腹と渇きからの自由、2.不快からの自由、3.痛みや傷、病気からの自由、4.正常な行動を発現する自由、5.恐怖や苦悩からの自由という5つの自由が定められています。
代表取締役の倉持一彦さんがアニマルウェルフェアに着目したのは、8年ほど前。「アニマルウェルフェアに則したケージをヨーロッパに行って見てみようと話がありまして。実は、美味しい卵を作るためにさまざまなことをやってきた中でそろそろやりつくしてきた感があり、本格的にほかの卵と差別化するためには飼い方から考え直すべきじゃないかと思っていたんです。そこで、前々から放し飼いでやってみたいとは思っていたんですが、日本には合わないのではないかと冷やかし半分でヨーロッパ視察に行ってみたら、想像以上に卵がキレイで驚いたんです。ストレスフリーの利点を生かして、とりあえずやってみようと始めました」(倉持さん)
単に放し飼いでは鳥インフルエンザなどの問題もあるため、徹底的に自社管理した鶏舎内で放し飼いに。試行錯誤しながら、鶏舎はいつも快適な温度をキープできるようにしたり、止まり木を作ったりと、アニマルウェルフェアを取り入れた平飼いを軌道にのせました。
また、ヨーロッパスタイルではニワトリが糞をする床を、鶏と卵が排泄物と分別されるよう網目に改良してより清潔な状態を開発。倉持さんが考案したクラモチスタイルと呼ばれる、この独自の飼い方は世界から注目されるようになりました。
「鳥羽田農場の平飼いたまご」は、そんなストレスフリーな状態で得られる卵。飼い方はもちろんですが、卵そのもののチェックも怠りません。厳しい基準で品質チェックされて出荷されます。
「何が違うって、やはり黄味がしっかりしていますし、卵が濃い。味わいは人それぞれかもしれませんが、満足いただけると思っています」(倉持さん)
リピーターも多く、より進化したアニマルウェルフェアを取り入れいているという情報も、買い手にとっては安心要素のひとつ。また、昔から飼料を扱っていることもあり、鶏の健康を考えたものを日々考案。リサイクル飼料なども研究しています。
「今後は、平飼いたまごを使ったマヨネーズやプリンといった特化商品も手がけていきたいと思っています。ストレスのない状態でのびのび飼育されたニワトリの卵の素晴らしさを、いろいろな形で楽しんでいただければ嬉しいですね」(倉持さん)