誕生から40年のベストセラーも!合言葉は、「笑う門には七福タオル」

2022/11/30

さまざまな色が折り重なり、美しい模様を生み出すタオル。今見ても、新しさを感じるこちら、実は、愛媛県今治市に本社を置く七福タオル株式会社が、今から40年前に生み出した「リバイブ」シリーズのタオルです。「タオルを介して、家族にコミュニケーションが生まれれば」と語る、同社代表取締役の河北泰三氏にお話を伺いました。

七福タオル株式会社 代表取締役の河北泰三氏

―社長は2代目とのこと。創業のきっかけなど、聞かれておられますか?

河北 私の曽祖父は吉田松陰の門下生で、明治維新の際、伊藤博文と東京へ向かい、外交官となりました。その息子である祖父が文部省に努め、大正の終わりに教員として派遣されたのが今治でした。ところが1944年、祖父は事故で亡くなってしまいます。私の父は14歳だったのですが、その後はひと回り上の兄が親代わりとなり、父を育ててくれました。その叔父が、1948年頃に「河北タオル工場」というものを立ち上げたのです。ただ叔父も、父が28歳くらいの時に病気で亡くなり、その息子たちは別の道へ。そこで叔母が、「河北タオルは一旦廃業とするから、新しいタオル屋を立ち上げてみては」と提案してくれ、父は「七福タオル工場」を作りました。「七福」という社名は、神社で引いたおみくじからいただいたとか。1959年のことです。

―昭和のタオル業界とは、どのような感じだったのでしょうか。

河北 円が1ドル360円の時代、とりわけ1960年代は、輸出をメインにやってきたと聞いています。私も15年ほど前からN.Y.やパリでの展開に力を入れていますが、世界にアピールしたいという気持ちは父譲りかもしれませんね。今も、今治タオルブランドは海外、特にアジア圏で好評です。

―社長は2002年に代表取締役に就任されましたが、先代から託されたことなど、ありましたか?

河北 「従業員を守れ」ということですね。父は寡黙で口下手。いつもニコニコしながら周りを見守っていましたが、1人では生きていけないということを誰よりも体感した人として、「チームワークを大切にしなきゃダメだ」ということを常に話していました。そこで私は、社長に就任し、まずは制服を作りました。チームであることを意識しながら仕事をしよう!と。

検品ルームにて。皆が着用しているのが、「七福タオル」の制服。

―そうして今回のコロナ禍も乗り越えてこられたのですね。

河北 そうですね。タオルは人が動いてこそ動くものなので、ここ数年は非常に苦労しました。お客さまが楽しみにしてくださっていた年に1度のファミリーセールを、デリバリーファミリーセールにするなど、さまざまな工夫も行いました。ただそんな中、若手が中心となってオンラインショップを盛り上げてくれたり、新しいことにもたくさん取り組めた時期でもありました。

―そんな御社が手がけていらっしゃる、今治タオルの特徴について教えていただけますか?

河北 国内の大きなタオル産地といえば、今治のほか、大阪の泉州があります。それぞれの個性を語れば、今治タオルは糸を先に染めてから織る、大阪はタオルにしてから後で色を染めるのがおおまかな特徴でしょうか。

「七福タオル株式会社」の工場内。カラフルな糸がたくさん。

―今治で製造された全てのタオルが「今治タオル」と呼ばれるのですか?

河北 そうですね。今治で製造されたタオルは、全て今治タオルです。ただし、今治タオルブランドというものがあり、佐藤可士和さんが作ってくださったタグがついたタオルで、吸収性や脱毛率など、独自の品質基準をクリアしたものがそれに当たります。

タオルに付けられた白いタグに「今治タオルブランド」のロゴが。

―そもそも、なぜ今治ではタオルの製造が盛んになったのでしょうか。

河北 それは3つの要素が重なったからと言われています。1つは水。松山市と今治市の間には高縄山という山があり、その伏流水には鉄分が少なく、染色に適しています。ミネラル分が多いとちょっと黒ずんだり、赤色・青色を染色する際の再現性が難しくなるのですが、この辺りではそのような影響がありません。次に雨が少ないこと。タオルには天日干しが必要でしたので、それが叶ったのですね。そして最後に港町であること。かつて、今治の沖合には村上水軍という海賊がいたため海運が発達し、タオルや糸や織物の輸送に役立ったのです。その後、明治時代に綿布織物がタオル織物に進化し、3つの要素が土壌となり、タオル製造が盛んになっていきました。

―それでは、御社のタオル作りのこだわりについて教えてください。

河北 先染めのジャガード織にこだわっています。できるだけ多色の糸を使って柄を出し、家族の絆になるようなタオル作りを目指しています。

―「家族の絆」ですか。

河北 タオルは、ほぼ毎日使うものです。その中で、個性豊かなデザインのタオルは、記憶や思い出と結びつきやすいと考えているのです。4年くらい前でしょうか、松山で開催されたイベントでタオルを販売することになったのですが、ある女性の方が、うちのタオルを手に取って、「このタオル、持っているわ」と。聞けば、お子さんが修学旅行で買ってきてくれたとおっしゃるのです。さらに、「今度は私がお土産にしよう」と購入していただいて。その時、特徴のあるデザインタオルを作っていてよかったなと思いました。そんな弊社の思いをまとめた「TOWEL STORY(父と娘篇)」という動画も作りましたので、ぜひ観ていただけたらと思います。

YouTube 「TOWEL STORY(父と娘篇) – 七福タオル株式会社」
https://www.youtube.com/watch?v=7645gFxSnIw

―その、柄物タオルの代表と言えるのが、「リバイブ」シリーズですね。

河北 今から40年前、1981年に発売を開始したシリーズです。うちのタオルは先に糸を染めてタオルにすると申しましたが、そうすると色糸がちょっとずつ余ってしまいます。ひと昔前はそれらを処分していたのですが、勿体無いと。もともと、高級で吸水性のいい綿糸なので、1枚のタオルにして販売したら、糸も世間も喜んでくださるのではないかと考えました。通常のタオルの2倍の糸を使うので、吸水性はさらに上がり、先月はテレビ番組内のタオルの吸水性比較でも1位になったのですよ。それから、「リバイブ」シリーズは、同じ配色のものが二度と生まれないところも魅力です。残糸により、柄もどんどん変わっていく、一期一会のタオルです。

「リバイブ」シリーズは、バスタオルのほか、フェイスタオル、バスマットなど種類も豊富。
約60種類の色糸が、個性的な柄を生み出している。

―今回、もう1つご紹介いただいた「ヴィン」は、どのような個性を持ったタオルですか?

河北 これまで弊社は、ボディケアのタオルを中心に製造してきたのですが、こちらはキッチンクロス、ディッシュクロスです。僕自身、お皿やグラスを洗った後、きっちり拭き上げて片付けるのが大好きで(笑)、そういう時に使い心地の良い布があったらいいなと。綿と麻の糸を使い、織りにこだわりました。キッチン周りの布は、リトアニアで作られるリネン100%のタオルが有名ですが、今治でも作れるんだぞ、と。麻糸は吸水性、速乾性に優れており、さらに荒い織りを施しているので乾きやすく、軽い。収納もしやすいといいことづくしです。販売場所も、これまでのタオルはトイレタリー売り場が中心だったのが、こちらができたことで、キッチンや雑貨売り場などに広がりました。

「ヴィン」シリーズは、4色展開。使うほどしなやかな風合いに。
速乾性、吸水性を意識して、織り方にもひと工夫。
新生活や結婚、出産のギフトとしてもおすすめ。

―今後の展望について聞かせてください。

河北 これからも、ものづくりを丁寧に行い、丁寧に出荷していきたいです。何万枚というタオルを作っていても、お客さまが出会うのは、その中の1枚であり、もしかしたら生まれたての赤ちゃんを最初に包むタオルになるかもしれません。工業製品ではありますが、1枚のタオルにも100名の人が関わり、想いを込めて製造している、ということをお伝えできたら嬉しいですね。そのためにも、創造的なデザイン、それを実現しうる素材の選定、技術の向上と、どんどん挑戦していきたいと思います。そしていつも、匠の心、振る舞いの心、もてなしの心を忘れずに、「笑う門には七福タオル」を合言葉に、楽しい会社づくりを目指していきたいと思っています。

―「従業員は家族。その家族が幸せな気持ちでタオルを作り、そのタオルを手にしたご家族にも新しい幸せをお届けできる。そうした循環を生み出していくことが、私の夢です」と、笑顔で語ってくださった河北社長。お話、ありがとうございました!

「リバイブ」
価格:¥330(税込)〜¥2,200(税込)
会社名:七福タオル株式会社
電話:0898-36-6020(8:00〜17:00 土日祝日除く)
定休日:土曜・日曜・祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shichifuku-towel.com/products/detail/2
オンラインショップ:https://shichifuku-towel.com

「ヴィン」
価格:¥1,430(税込)
会社名:七福タオル株式会社
電話:0898-36-6020(8:00〜17:00 土日祝日除く)
定休日:土曜・日曜・祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shichifuku-towel.com/products/detail/223
オンラインショップ:https://shichifuku-towel.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
河北泰三(七福タオル株式会社 代表取締役)
1962年、愛媛県今治市生まれ。1985年に七福タオル株式会社に入社。2002年に同社代表取締役就任。2009年に創業50周年、2019年に創業60周年の記念事業として「立川志の輔・春風亭昇太二人会」を開催。「楽しい会社」を目指して、コミュニケーション力の高い経営を目指している。

<文・撮影/鹿田吏子 MC/根井理紗子 画像協力/七福タオル>

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