今回アッキーが注目したのは、茶畑からおいしいお茶を届けてくれる鹿児島堀口製茶有限会社。遊び心満載の独創的なアイデアでお茶の魅力を発信するとともに、農薬や除草剤に頼らないサステナブルなお茶づくりに取り組んでいる会社です。
お話を伺ったのは、2018年に代表取締役に就任した堀口大輔氏。販売部門である株式会社和香園の代表も務める3代目社長に、お茶にかける想いを語っていただきました。
2023/01/16
今回アッキーが注目したのは、茶畑からおいしいお茶を届けてくれる鹿児島堀口製茶有限会社。遊び心満載の独創的なアイデアでお茶の魅力を発信するとともに、農薬や除草剤に頼らないサステナブルなお茶づくりに取り組んでいる会社です。
お話を伺ったのは、2018年に代表取締役に就任した堀口大輔氏。販売部門である株式会社和香園の代表も務める3代目社長に、お茶にかける想いを語っていただきました。
―創業以来、どんなお茶をつくって来られたのでしょうか?
堀口 創業は今から75年前。戦後間もない頃に祖父が紅茶の栽培をはじめたのが原点です。その後、緑茶品種にシフトした時代を経て、今では深蒸し茶や煎茶、抹茶、ほうじ茶、和紅茶など、玉露以外すべてのお茶をつくっています。
―「ウーロン紅茶」は、数十年の時を経て復刻した商品だそうですね。
堀口 もともとは30年ほど前に、祖父と父が開発した商品なんです。非常においしかったのですが、少し時代が早すぎたようで製造中止になってしまって。そのパッケージが古い資材倉庫で発見されたことをきっかけに、復刻させたのが今の「ウーロン紅茶」です。
紅茶やウーロン茶は発酵茶に分類され、100%発酵させたら「紅茶」、10~50%くらいなら「ウーロン茶」というように、発酵度合いによってそれぞれ定義されています。ウーロン紅茶は、その間の“75%発酵”でつくった弊社オリジナルの発酵茶です。
―当時の味を再現するには、ご苦労も多かったのでは?
堀口 昔の味の記憶は残っていたのですが、それを再現するのはやっぱり難しかったですね。でも「お茶仙人」の異名を持つ開発部長がこのプロジェクトに加わってくれたおかげで、この絶妙な味わいを復刻することができました。ウーロン茶のようにさっぱりとしたキレのある味わいと、紅茶やウーロン茶、ほうじ茶などを思わせるやさしい香りを感じていただけると思います。
―茶畑から製茶工場、販売店まで、すべて自社で経営されているとか。
堀口 もともと祖父や父は個人でお茶農家をやっていたのですが、1989年に「鹿児島堀口製茶有限会社」として法人化。あわせて小売販売部門の「株式会社和香園」も立ち上げて、茶畑から製造、販売まで、すべて自分たちでやってきました。
そのおかげで、お客様の声を商品に反映させる場合にも、栽培段階からアレンジしたり、できた生葉を分析したり、どの部門からでもアプローチできるんです。茶畑・生葉・荒茶・製茶・商品・販売、すべての工程にこだわりを持てるというのが僕らの強みだと思っています。
―消費者と双方向のコミュニケーションが取れるのも御社の強みですね。
堀口 そうですね。販売店のほかにも、お茶の創作料理の店や新しいお茶の楽しみ方を提案する施設も運営しているのでお客様と接する機会は多いと思います。
東京の百貨店にお店を持たれているような大手メーカーさんにもお茶を卸しているので、私たちだけでは拾いきれない都会の方々の声も聞かせてもらっています。あとは、弊社のお茶を出してくださる飲食店さんもあるので、実際にお店に伺って味わってみたりもしますね。
やっぱり五感で感じないと、自分たちのつくりたい商品には繋がらないので。
―ユニークな取り組みもたくさんされていますね。
堀口 いま、食料安全保障問題とか、農薬の話とか、有機がどうこうとか、堅い話が多いじゃないですか。そういうことはあとからついてくると思うので、まずは和香園のコンセプトでもある「お茶の裾野は広く、柔らかく」ということを意識して、遊び心のある取り組みを一生懸命やっていきたいと思っています。
「茶畑戦隊茶レンジャー」もそうですし、弊社スタッフ扮する「鋼のメンタル晃」というキャラクターもその一貫です。相棒のゆるキャラ「お茶わんこはがねちゃん」とともに、日本の農業界を切り拓くことを使命に“鋼のメンタル”で日々活動しています。
—「茶畑戦隊茶レンジャー」とは?
堀口 農薬や除草剤に頼らないお茶づくりのために運用している5台のマシンのことです。
台風が通りすぎたあと、畑を見に行くと虫がいなくなっていたという経験から自社で開発したのが第1号の「ハリケーンキング」。疑似台風を起こし、風で害虫を吹き飛ばすマシンです。そのほか、蒸気で草の種を枯らす「スチームバスター.SL」、枯葉や病原菌を掃除機のように吸い込む「サイクロン」、米ぬかを使って茶の幹につく虫を退治する「ブランジェット」も活躍しています。“人”に焦点をあてた「ブラックシャドウ」というのもあって、これは茶畑に寒冷紗を掛ける作業を省力化するマシンです。
寒冷紗で遮光して育てることで、鮮やかな色味と独特の芳香、まろやかな旨みのあるお茶になるのですが、これを人の手でかけるのはかなりの重労働なんですよ。
―製茶工場にも独自の設備を導入されているそうですね。
堀口 発酵茶用の茶葉を大量に保冷・保管できる生葉冷蔵庫のことですね。お茶の葉は摘採すると呼吸しはじめて熱を持つので、鮮度を保持するため一時的にこの冷蔵庫で保管しているんです。
「ウーロン紅茶」や「カクホリ 紅茶べにふうき」の製造工程では、少し発想を転換して別の用途でも使っていて、この冷蔵庫内で茶葉を萎凋(茶葉を広げ、水分を飛ばして萎れさせること)してから発酵させています。
なぜそんなつくり方をしているかというと、弊社が理想とするインドのダージリンのような香りと味わいに仕上げるためです。ダージリンは高い山の中腹にある産地なので、萎凋も標高の高い寒冷地で行われます。その環境を冷蔵庫を使って再現しているというわけです。
―「カクホリ 紅茶べにふうき」をはじめとする、「カクホリ」シリーズは数々の賞を受賞されているそうですね。
堀口 ありがたいことに、国内外の品評会で高く評価していただいています。もともと弊社のお茶づくりはブレンド茶が主体でしたが、「カクホリ」は単一農場・単一品種の“シングルオリジン”を中心としたシリーズです。
お茶以外の飲み物でシングルオリジンがすごく流行り出してきましたし、お客様のニーズもあって開発をはじめました。「普通煎茶 さえみどり」、「深蒸し煎茶 さえみどり」というように、品種と製法の組み合わせによってさまざまな味わいをお楽しみいただけます。
―「ウーロン紅茶」と「カクホリ 紅茶べにふうき」、それぞれおすすめの飲み方を教えてください。
堀口 ウーロン紅茶に関しては夏場は水出しでもいいですし、熱湯で濃いめに抽出して氷を入れたグラスに注ぐのもおすすめです。手間はかかりますけど、さらに香りが立つのでおいしいですよ。
「カクホリ 紅茶べにふうき」は熱湯で3分から5分。香りは変わらないので、後味の渋みを出したいかどうか、好みで調整して召し上がってください。渋みを強く出して牛乳を入れるとロイヤルミルクティーの味がしますよ。
―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。
堀口 近年、日本のお茶は世界中でかなり評価が上がってきていますので、国内外に向けてその魅力を伝え続けていきたいですね。伝えて終わりではなくて、“続ける”ということが大切だと思っています。
そして、リテール商品の海外輸出の足がかりとして5年以内にドイツに拠点を構えたいという構想もあって。ダージリンの紅茶はインドのほかドイツでよく飲まれていて、世界各国への輸出も盛んなようなので。そんな土地で、我々つくり手の想いを伝えながら販売していければと考えています。
「ウーロン紅茶」(50g)
価格:¥1,080(税込)
店名:お茶の和香園 公式オンラインショップ
電話:0120-263-090(9:00~17:00 日曜・祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.wakohen.co.jp/collections/%E7%B4%85%E8%8C%B6/products/%E3%82%A6%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3%E7%B4%85%E8%8C%B6-50g
オンラインショップ:https://shop.wakohen.co.jp/
「カクホリ 紅茶べにふうき」(20g)
価格:¥1,404(税込)
店名:お茶の和香園 公式オンラインショップ
電話:0120-263-090(9:00~17:00 日曜・祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.wakohen.co.jp/products/%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AA-%E7%B4%85%E8%8C%B6%E3%81%B9%E3%81%AB%E3%81%B5%E3%81%86%E3%81%8D
オンラインショップ:https://shop.wakohen.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
堀口大輔(鹿児島堀口製茶有限会社/株式会社和香園 代表取締役社長)
1982年鹿児島県志布志市生まれ。株式会社伊藤園に入社し、4年の修業期間を経て2010年に鹿児島堀口製茶/和香園に入社。2018年に同両社代表取締役に就任。日本茶のおもしろさを伝えるためのお茶のエンタメ性のある活動にも注力している。
<文・撮影/野村枝里奈 MC/橋本小波 画像協力/鹿児島堀口製茶、和香園>