産地や農園に注目してコーヒーを楽しむ時代。東南アジアのラオスに出かけ、ポテンシャルの高い豆を見つけたのが、大阪にある藤田珈琲株式会社です。ブレンドの際の親和性が高く、マイルドで優しい味わいと、あとからくる苦味や甘みは、編集長アッキーも気になるところ。人生に彩りを添える珈琲を届けたいと話す代表取締役社長の藤田悟氏に、会社の歩みや商品の魅力を語っていただきました。
リピートしたくなる高い香味と絶妙な苦味。人生に寄り添う1杯、藤田珈琲の「ラオス産コーヒー」
2022/11/14
藤田珈琲株式会社代表取締役社長の藤田悟氏
―喫茶店からスタートされたそうですね。
藤田 1963年に創業者である父が、「イーグル150」という純喫茶を開いたのが始まりです。すぐに繁盛店になったのですが、コーヒーブームが訪れて老舗チェーンが乱立する時代になり、自家焙煎を行なっていたうちの店には「コーヒーを卸してほしい」という声が集まるようになりました。
―そこから卸しのほうに?
藤田 はい。その後、第2次コーヒーブームで、今度は低価格、セルフサービスのカフェが増え、個人店が廃業するのを目の当たりにしました。このまま進めば、価値観が変わり、自分たちのお客様を維持できなくなると父は考えたそうです。また、当時は欧米への憧れの象徴であり、フルサービス、優雅、高価で、限られた人しか飲めなかったコーヒーが、セルフスタイルが進みたくさんの人に行き渡るようになった。父はさらにその先を見て、やがてスーパーや量販店で販売をし、お客様はそれを自宅で楽しまれるだろうと、ライフスタイルの変化に着眼しました。2005年に私が入社した頃には、家庭用というのか、スーパーや量販店に販売するコーヒーづくりの試行錯誤が始まっていましたね。
会社の原点は大阪・四ツ橋に開いた純喫茶。
創業者のサービス精神とコーヒーへの情熱ですぐに繁盛店に。
―会社を継ぐお話はいつごろから?
藤田 父から継いでほしいという話はなかったのですが、兄弟がいないので、選択肢の1つだとは漠然と考えていました。いったん異業種の企業に入り修業をしてから入社しました。その頃は大阪府内に賃貸の工場など4、5か所の拠点がありましたが、社員が拠点間を忙しく動き回るのは、事故や健康被害に繋がるという心配もあり、分散しているものを1つにまとめようと、2010年に奈良に工場を開くことになりました。
―その後、社長にご就任……。
藤田 2019年に就任し、翌年には東大阪市にカフェ(「藤田珈琲-the ROASTERY Lab.」)を新規オープンしました。この店は父が社長在任中に、ご縁のある土地を取得し準備していたもので、父にとって「喫茶店への恩返し」の思いをこめた店なんです。交通の便がよく、「高井田1丁目」の1という数字も父は気に入ったようです。
年間1,400トン以上の生豆を使用。
卸売業ならではの大量仕入れのため、リーズナブルな価格が実現。
―原点を大切にされているのですね。藤田社長の代で大切にされていることは?
藤田 経営理念でもあるのですが、まずは時代や価値観が変わっても、人々の生活に寄り添うコーヒーを提供し続けること。最近はコンビニにもコーヒーがあり、ライフスタイルが変わってきていますが、人々の生活が主役であり、その人生に寄り添う脇役としてのコーヒーを届けていきたいんです。また、コーヒーは原産地から長い月日と多くの人の努力を経て手にすることができるものですから、源流である産地や両親、先輩がたに思いを馳せ感謝すること。みなさんの努力が結実して今があることに日々感謝しなければいけません。そして、コーヒーを通じて笑顔の循環やコミュニティを作り、広げること。これはカフェのオープンや未来に関連します。コーヒーは人と会話をする時の媒体になるものですから、コミュニティや繋がりを広げ続けることを大切にしたいと考えています。
飲み方のスタイルは自由。
時にはお気に入りのぐい呑みで風味と香りを楽しんでも。
本や画集を見ながらコーヒータイム。
やすらぎの時間にコーヒーの香りを添えて。
―おすすめの1つ、「よくばりラオスブレンドセット」について教えてください。
藤田 時代や価値観が変わっても人に寄り添うコーヒーということで、新しい産地やコーヒーを探し続けるなかで、アジア諸国に目を向け、出会ったのがラオスのコーヒーです。一般に南米系のコーヒーがフォーカスされることが多く、ラオス産は有名ではないのですが、豊かな香味特性があり、ポテンシャルが高く、力のある豆です。もっと知られてもいい産地です。
―販売の際のご苦労はなかったのですか?
藤田 産出量が多くないので、大手企業は供給不安を感じていたかもしれません。私たちは、まずはインターネットで販売してみようということになり、当初メイン商品は南米系の予定だったのですが、ラオス産のリピートが増えてベストセラーになりました。
ラオス産のブレンドとアイスコーヒーが2袋ずつ。
たっぷり楽しめる「よくばりラオスブレンドセット」。
香味特性が豊かで、マイルドで優しい味わい。
1日に何度も飲みたくなるラオスブレンド。
―ヒットの理由は何でしょう。
藤田 日本のお客様はブレンドがお好きです。ラオス産コーヒーは香味特性はあるのにとがりすぎず、親和性が高いので、どんなコーヒーともうまく調和します。そして本来のボディ感や苦味が上手に出るように、焙煎のぎりぎりのライン、いわゆる「煎りどまり」を職人と議論を重ねて決めているので、持ち味を十分引き出せていると思います。
―セットにはアイスコーヒーブレンドも。
藤田 中深煎りのラオスブレンドが好評だったので、深煎りのアイス用を作りました。冷たいコーヒーはホットに比べて味を感じにくいため、苦味を強く打ち出すために焙煎を強くしています。これ以上焙煎が進むと炭化するという、その直前で「煎りどめ」して、香味豊かで苦味が前面に出てくるコーヒーに仕上げています。このぎりぎりの調整が難しく、今も苦労しているところです。
キリッとした苦味が特徴のアイスコーヒーは、
「プレミアムラオスブレンド」の姉妹品。
クラフト袋や卸売販売用のダンボールを使うことで
梱包材を安く抑え、販売価格に還元するそう。
―セットのおすすめの飲み方、合わせるものは?
藤田 まずは単品でコーヒーそのものを味わっていただいて、その後組み合わせるものは無限にあります。うちのカフェではトースト、クロックムッシュ、フレンチトーストも人気です。アイスは苦味のあるホットコーヒーとして楽しんでいただくこともできますし、アイスで飲む場合はブラックがおすすめですが、濃いめに入れてミルクと合わせても。
―どんな方に飲んでいただきたいですか?
藤田 中高年の方によく売れていますが、若い方にも楽しんでいただきたいですね。高齢の方は、抗酸化作用やポリフェノールなど、健康や美容に対する効果を意識されていますし、若い方はカフェに来られインスタにアップされています。それぞれの生活、人生にコーヒーで彩りを添えてもらえたらと思いますね。コロナ禍ではカフェに法人の方がよく来られていました。コーヒーはお酒に代わるコミュニケーションツールにもなります。うちでも社員と「さし飲み」ならぬ「さしコーヒー」で話を深めています。
―今後のビジョンをお聞かせください。
藤田 時代の変遷のなかで、高級品だったコーヒーが身近になりました。リーズナブルであることは大切にしながら、今後どのようなコーヒーが求められてゆくのか、現在のマーケットや販路が適切なのか見極めながら、人生に彩りを添えるコーヒーとは何かを探っていきたい。その上でコーヒーの可能性を最大化していきたいですね。
―コーヒーのある豊かさが伝わってきました。本日はありがとうございました。
「よくばりラオスブレンドセット」(500g×4袋)
価格:¥2,981(税込、送料込)
店名:藤田珈琲株式会社 インターネット本店
電話:0120-422-407(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://fujitacoffee.com/?pid=102919522
オンラインショップ:https://fujitacoffee.com
「ビターブレンド」(500g×4袋)
価格:¥3,802(税込、送料込)
店名:藤田珈琲株式会社 インターネット本店
電話:0120-422-407(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://fujitacoffee.com/?pid=166308178
オンラインショップ:https://fujitacoffee.com
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
藤田悟(藤田珈琲株式会社 代表取締役社長)
1976年大阪府生まれ。市川甚商事株式会社に入社し、株式会社ベンチャー・リンク(後のC&I Holdings)へ。通算3.5年の修業期間を経て2005年に藤田珈琲入社。2019年に同社代表取締役社長に就任。珈琲の循環型事業、地域活性化活動にも注力している。
<文・撮影/大喜多明子 MC/鯨井綾乃 画像協力/藤田珈琲>