大江戸松崎_top

定番にして遊び心満載の「大江戸松崎 三味胴」、「大江戸松崎 黒格子」。大切にしたいのは 伝統より創業から続くチャレンジ精神。

2022/04/21

今回、編集長アッキーのアンテナがピピッと反応したのは、文化元(1804)年より東京に店を構える老舗煎餅屋 松崎商店。昨年7月に本店を移転、それを機に屋号を「銀座 松崎煎餅」から「MATSUZAKI SHOTEN」へと変更し、オフィス併設型の新店舗をオープンしました。むずかしい状況が続くなか、あえて「攻め」に出た理由は何なのか、その原動力は……? 老舗の暖簾を守る8代目当主松崎宗平氏に取材陣がお話をうかがいました。

大江戸松崎_社長_1
株式会社松崎商店 代表取締役社長 松崎宗平氏。
デザイナー、ミュージシャンとしての顔も持つ。

―コロナ禍が長引くなか、本店の場所と屋号、この重要な2つを変更するというのは大きな決断だったと思います。その理由をお聞かせください。

松崎 コロナ禍は世界に大きなダメージを与えました。弊社としても売り上げは大幅にダウン。老舗だからとあぐらをかいていたつもりはないものの、このままではいられないことを痛感しました。そこで、事業内容を見直し、いま一度店舗強化を図るために心機一転、スペースの広い新店舗への移転を決めたのです。もちろん不安がなかったわけではありませんが、私としては、その決断は正解だったと思っています。数字を見てみてもコロナ禍前より状況が良い部分もありますが、この状況に陥っていなければ、事業の立て直しは行われなかったと思います。

大江戸松崎_2
MATSUZAKI SHOTEN本店(東京・東銀座)。
テーマカラーである紫色の暖簾が美しい。
店内には物販スペースのほかポップアップスペースも。

―屋号変更も、店舗ブランディングの再構築のために?

松崎 弊社はもともと個人商店で、株式会社化をしたのが6代目である祖父です。社名を「松崎商店」にしたのは、煎餅だけでなくて良い、煎餅じゃなくなっても継続できるという意味があったと聞いています。そのフィロソフィーが僕はすごく好きなんです。今回の事業見直しに際しても、祖父が「何を扱っても良い」と言ってくれているような気がして、屋号を「松崎煎餅」から「MATSUZAKI SHOTEN」に変更したというわけです。

―商品の見直しをされたとのことですが、従来の商品を刷新されたのでしょうか。

松崎 刷新というより、弊社のアイデンティティでもある瓦せんべいを「フロント商品にする」という、ここ10年の流れをより強く、より前に出せるようにしました。もちろん米の煎餅も扱っていますが、もともとは小麦粉と砂糖、卵を材料とする瓦せんべいから商いを始めたわけですから。

大江戸松崎_3
看板商品「大江戸松崎 三味胴」。
「三味胴」の名は、文字通り三味線の胴から。
大江戸松崎_4
封を開けると、ふんわり甘く、香ばしい香り。

―看板商品の「大江戸松崎 三味胴」には美しい絵が描かれていて、雅ですね。

松崎 ありがとうございます。煎餅をとおして季節を感じていただきたいという思いから、季節ごとに絵柄を変えているんです。絵は、シルクスクリーンのように、煎餅に絵柄の版をあてて色を塗り込んでいます。ほかに、キャラクター柄もあるんですよ。その最初がキティちゃんで、今でも大人気です。こうしたコラボなどによって、今までなじみのなかった方にも瓦せんべいを召し上がっていただけるのがうれしいです。

大江戸松崎_5
「ハローキティ三味胴」は反則のかわいさ!
ほかに、リトルツインスターズやマイメロディなどサンリオキャラクター勢揃いの
「サンリオキャラクターズ 三味胴」(本店のみで不定期販売)も人気。
大江戸松崎_6
定番の組み合わせ、三味胴&ミルク。童心に帰ります。
大江戸松崎_7
往年のファンには、温かいお茶や紅茶の入ったカップに乗せ、
湯気でちょっとやわらかくなったところを
いただくという人もいるとか。たしかに、なかなか乙な味。

―「大江戸松崎 黒格子」にはカカオニブが入っているんですね。意外な組み合わせです。

松崎 カカオニブはカカオ豆をローストして、細かく砕いたものです。5年以上前、チョコレートを作っている知人から「こういう素材があるよ」と教えてもらいました。チョコレートの原料だから甘いと思いきやとてもフルーティで、これはおもしろそうだと。その後、サンフランシスコ発のクラフトチョコレートメーカー「ダンデライオン・チョコレート」とのご縁をいただいたことで生まれたのが、「大江戸松崎 黒格子」です。

大江戸松崎_8
一見、チョコレートクッキーのような
「大江戸松崎 黒格子」。
大江戸松崎_9
サンフランシスコ発のクラフトチョコレートメーカー
「ダンデライオン」のチョコレートとカカオニブを使用。
サクサクの生地に、プツプツしたカカオニブの食感が楽しい。

―袋を開けたとたん、ふわっとカカオの香りが立ち上がりますね。チョコレートも濃厚で、ふくよかな味わいです。

松崎 ありがとうございます。その味わいの秘訣は、チョコレートとカカオニブの絶妙なバランスです。ベストなバランスを見つけるまで何度も試作を重ね、商品になるまで時間がかかりました。でも、それは苦労ではなく、むしろ楽しい経験でした。

大江戸松崎_10
カカオの香りと上品な甘さ。
ダークローストのコーヒーに合います。
大江戸松崎_11
ひょっとして……と
フルボディの赤ワインに合わせたら、バッチリ。

―パッケージのデザインもモダンで、瓦せんべいの新たな可能性を感じます。伝統を大切にしながら、新しいことにもチャレンジする。お祖父様のフィロソフィーですね。

松崎 僕はどちらかといえば伝統を重要視していないと思っています。もちろん、弊社の今があるのは伝統のおかげですが、人々の味覚は時の流れとともに変わっていくものなので、過去のものをずっと守り続けることが大切なのではないと思っているんです。その時、その時に求められるもの、時代に合ったものを作り出していかないと。ですから、僕が大切だと考えるのはベンチャー精神。それは、創業当時にもあったはずです。弊社の場合、受け継いでいくものは味でもなければ商売形態でもなくて、フィロソフィーだと思っています。弊社に代々受け継がれてきた言葉があります。それは、「一枚一枚 心をこめて 手を抜くな」。この、煎餅作りに対する考え方や姿勢は変わりません。もの作りの基本ですから。

大江戸松崎_12
包みの裏に、松崎商店のフィロソフィーが。
職人さんたちの心が伝わってきます。

―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

松崎 コロナ禍を乗り越えるため、銀座の人たちとさまざまな取り組みを行なってきた中で感じたのは、人々が集まり、未来について語り合える場所の必要性です。弊社としては、多くの人が繋がり、新たな発想や価値観が生まれるような、銀座のサードプレイスを目指したい。それが、本店を東銀座に移した目的です。そのために、「煎餅だけじゃない」松崎商店としては、さまざまなポップアップ・イベントを開催していくつもりです。事業としては、今後ブランディング自体を向上させるということに対してエネルギーを使っていきたい。たとえば、値段のことを言うと小麦の煎餅は菓子業界の中でもトップクラスに低い。しかし今、経済はインフレ方向に動いていて、材料費にしても輸送費にしても上がり続けています。弊社としても、商品の値段を上げても通用するもの、お客様に求められるものを作っていくということが目下の課題だと考えています。

―どんなに新しい、ユニークな瓦せんべいに出会えるのか、楽しみにしています!

大江戸松崎_商品1

「大江戸松崎 三味胴」(5枚入り)
▶価格 ¥702(税込)
▶会社名 MATSUZAKI SHOTEN
▶電話 03-6264-6703(10:00〜19:00)
▶定休日 無休。インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品ページ https://shop.matsuzaki-senbei.com/?pid=139552802
▶オンラインショップ https://shop.matsuzaki-senbei.com

大江戸松崎_商品2

「大江戸松崎 黒格子」(6枚入り)
▶価格 ¥540(税込)
▶会社名 MATSUZAKI SHOTEN
▶電話 03-6264-6703(10:00〜19:00)
▶定休日 無休。インターネットでのご注文は24時間365日受付
▶商品ページ https://shop.matsuzaki-senbei.com/?pid=139556400
▶オンラインショップ https://shop.matsuzaki-senbei.com

<Guest’s profile>
松崎宗平氏(株式会社松崎商店 代表取締役社長)

1978年銀座生まれ銀座育ち。学習院大学卒業後、IT業界にてデザイナーを務める。2018年に同社代表取締役社長に就任。伝統にとらわれず、今の時代にあった商品開発・店舗開発をモットーに、豊かなせんべいワールド創生を目指している。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/和田英利 画像協力/松崎商店>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter