創業60年以上続く専門店の「からし蓮根」と、親子3代の技術が詰まった「れんこんチップス」

2024/04/24

今回、編集長のアッキーが注目したのは、熊本名物のからし蓮根。創業60年を超えて代々その味が受け継ぎながら、もっと多くの方に食べてもらえる商品を作りたいという思いから「れんこんチップス」も開発した、有限会社髙見商店 専務の髙見聡一郎氏にお話を伺ってきました。

有限会社髙見商店 社長の髙見治氏(右)と専務の髙見聡一郎氏(左)
有限会社髙見商店 社長の髙見治氏(右)と専務の髙見聡一郎氏(左)

―会社を継ぐ思いは子供の頃からあったのでしょうか。

髙見 会社と家が近くて子どもの頃から両親の背中を見て育ってきたこともあり、将来継ぐだろうという思いはありました。ただ、大学まで進学して就職活動をする際は、継ぐ話をすることがないまま食品関係の会社でエスビー食品に就職。7、8年営業していたところ、30歳になったときに初めて父から電話があり、継ぐなら今しかないと言われたことがきっかけで家業に戻りました。

―いつか継ぐだろうという気持ちはありつつ、声に出すことはなかったのですね。

髙見 両親とも好きなことをしてよいという姿勢ということもあり、会社の話をすることはあまりありませんでした。

―エスビー食品での7年間、そして家業、どんな違いがありましたか?

髙見 食品関係の営業は体育会系で、目標を持ちそれに向かって仕事をしていくということは自分の肌には合っていました。当時はエスビー食品で扱っているスパイスなどをスーパーの棚に置いてもらう営業をしており、それによってスーパーや百貨店などの商品事情を知ることができたため、家業に入ってからもその経験はとても活きています。

エスビー食品では面接や試験などによって似たような人が集まっている職場でしたが、家業の方ではもっと色々なタイプの方がいるので、それは苦労しました。家業に戻ってから最初の1年半は現場を知るための工場で働いていたのですが、ベテランの方のやり方と自分が思った効率が良いやり方が合わず、衝突してしまいました。急に入ってきた社長の息子ということで受け入れられない部分があったのだと思います。

―職場の環境が最初に苦労されたことなんですね。

髙見 衝突の結果やめてしまった従業員もいて、それは今でも反省の経験として持ち続けています。当時の自分は目の前のことでいっぱいで気づけなかったのですが、ベテランのやり方の方がほかの工程も考えると最終的には効率が良いやり方でした。その経験があり、まずは従業員さんの話を聞くという反省に繋がっています。

自分だけの人生だったら自分の好きなようにしたら良いが、従業員のみなさんがいてこそ会社が成り立っているため自分の考えを変えました。

―今年で創業68年目ですが会社の沿革についてお聞かせください。

髙見 会社がある八代市は海に近いため、最初は海産物の味噌漬けや粕漬などの珍味を販売していました。それから珍味つながりで「からし蓮根」も扱うようになったのが始まりです。しばらくして他のメーカーでからし蓮根の食中毒事件が起こってしまい、当時、原因を特定するまでの半年間は製造がストップしてしまったのです。多くの従業員へのお給料や蓮根の在庫のこともあり、社長である父がほかの事業を模索してカット野菜を始めました。それが評判になって売上も回復しました。

―新事業を開拓されたお父様の大きな決断でしたね。

髙見 当時新しくカット野菜を初めていなかったら今の会社は残れなかったと思います。今ではからし蓮根だけでやっている会社も少なくなってきているため、事業の転換という点で父親の偉大な決断でした。

―創業当時から引き継いでいる思いはありますか。

髙見 「利は元にあり」という言葉は祖父が常々言っていました。会社は利益がないと存続していけないが、利益を生み出しているのは従業員の方や取引相手なので近しい関係の人は大切にしなさいということです。

―その思いは事業にどのように反映されているのでしょうか。

髙見 例えばカット野菜に関して、ごぼうを仕入れるとしてももっと安く仕入れることはできますが、今付き合いがある会社を変えずにいます。そういったご縁を大切にすることで、ごぼうが品薄になっているときでも分けてもらうなど、相手も弊社を大切にしてくれます。目先の利益だけで動かないことが会社のスタイルです。

―からし蓮根で有名な熊本、レンコンの栽培が盛んなのですか?

髙見 栽培面積でいうと熊本県は5,6番目で茨城県が一番多く、佐賀や徳島が次いで生産が多いです。熊本は生産量が多いわけではないので、祖父の代では蓮根が足りずに農家にお願いして作ってもらっていました。また、蓮根は収穫時期が限定されていたり台風などの影響によって収穫できないこともあったりと、祖父は中国に渡ってレンコンの栽培方法を伝えて、そこで栽培してもらっていたそうです。今でも祖父が栽培方法を伝えた地方では蓮根を作っており、通年で安定して蓮根を仕入れて製造できているのも祖父のおかげです。

―からし蓮根は熊本では日常的に食べているのでしょうか。

髙見 熊本の名物で昔は日常的に食べていたそうですが、今はお正月やお盆のときなどに食べるものになってきています。

―髙見商店はデパートやスーパー、サービスエリアでもからし蓮根の販売がメインですか?

髙見 「からし蓮根」を販売していますが、「れんこんチップス」もあります。サービスエリアでは揚げたてを提供しています。生産現場では包装する都合上、どうしても揚げてから一度冷やさなければならないため、揚げたてを食べられるのはサービスエリアだけです。

―揚げたての「からし蓮根」の反響は?

髙見 からし蓮根屋のなかでも知名度のあるメーカーや価格が安いメーカーさんもあるなかで、弊社の商品がおいしいといって買ってくれるお客様が多いことは嬉しいです。また、そういった声をお客様から直接お声を聞ける場として、実店舗は役立っています。

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揚げたてのからし蓮根はいつもと違うおいしさが楽しめます。

―御社の「からし蓮根」について教えてください。

髙見 蓮根を湯がいた後に冷やしてから、からしが持続するようにしっかり練り合わせたからし味噌を詰めています。それから冷蔵庫で1日保管しますが、こうすることで、浸透圧により蓮根から水分がでてきて揚げてもころもがサクサクになります。最後に香辛料をいれて味をつけた衣を薄くつけて、揚げます。

こだわりのからし味噌は、辛みが長く続くやみつきになる味わい。

―同じからし蓮根でもメーカーによってこだわりは様々ですね。

髙見 蓮根の中につめる辛子味噌や、衣の味や薄さなどがメーカーによってこだわりが違うポイントです。食べ比べてみると好みが分かれると思います。

―おすすめの食べ方はありますか。

髙見 カットする薄さは7mmの厚みがベストで、温めて食べると味噌の香りがしておいしいです。炙ってもおいしいですしマヨネーズも相性抜群です。最近の食べ方だと、バケットに乗せてクリームチーズと一緒に食べると辛味も控えめになってとてもおいしいです。

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からし蓮根をご飯の上にのせてお茶漬けとして食べるのもさっぱりしておすすめ。

―「れんこんチップス」はどのような商品でしょうか。

髙見 蓮根をスライスして米油で揚げて、香辛料で味付けをしたいわゆる野菜チップスで、すべて国産のものを使うようにしています。

からし蓮根は冷蔵品のため保冷バッグが必要だったり、賞味期限が短かったり、カラシの辛さが苦手な人も多かったりと万人うけしないネックがありました。

それらを打破する商品を作り出そうとしたことが、商品開発のきっかけです。「れんこんチップス」には、祖父がからし蓮根をはじめたことによる揚げる技術、父が始めたカット野菜による野菜を薄く切る技術、そして自分の前職で培った香辛料の知識が詰まっています。親子3代を繋げて、からし蓮根の3つのネックが解消された、そういった商品です。

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薄くカットし焦げないように揚げたチップスはスパイスが効いていて絶品。

―開発するにあたって試行錯誤したことは?

髙見 今の販売形態になるまでには1年かかりました。どの油を使うかや、どれくらいの厚みが良いかなど試行錯誤は多くありました。最初はカップに入れて販売したり、コンソメ味や薄塩あじなどの味をだしたり、様々な施策品を重ねて、今の完成があります。

―「れんこんチップス」のお客様からの反応はどうでしょうか。

髙見 ありがたいことに食べやすくておいしいという声が多く嬉しいです。辛いものが苦手な女性をターゲットにしていたため、売り場をみて若い方に手に取ってもらっていると嬉しいです。

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―今後の展望は?

髙見 購買層が高齢化していたり世の中においしいものが増えたりしているため、年々からし蓮根を食べる人は減ってきています。からし蓮根のマーケットが縮小していると感じていますが、それを時代の流れだと諦めるのではなく、熊本の文化も70年近く続いてきた会社も守っていきたいと思います。

そのため、熊本の文化や歴史の体験などを若い子どもたちに伝えていくことに力を入れています。今後も熊本文化の良さを様々な形で伝えていきたいです。

―自社のことだけでなく、文化を守っていきたいということですね。

髙見 熊本の食文化や歴史のことを知ってもらい、そうやって育った子どもたちが将来お土産として東京に持っていき、熊本の食文化が広まっていく。そのような啓蒙活動ということを今後とも取り組んでいきたいと思います。

―貴重なお話をありがとうございました。

「からし蓮根」(丸大2本入)

「からし蓮根」(丸大2本入)
価格:¥1,728(税込)
店名:有限会社髙見商店
電話:0120-324-753(平日9:00~20:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.karasirenkon.com/products/detail/5
オンラインショップ:https://www.karasirenkon.com/products/list

「れんこんチップス(からし明太子味)」(20g)

「れんこんチップス(からし明太子味)」(20g)
価格:¥324(税込)
店名:有限会社髙見商店
電話:0120-324-753(平日9:00~20:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.karasirenkon.com/products/detail/16
オンラインショップ:https://www.karasirenkon.com/products/list

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
髙見聡一郎(有限会社髙見商店 専務)

1984年八代市生まれ。立命館大学経営学部卒後、エスビー食品株式会社に入社。2015年有限会社髙見商店に入社。2019年同専務。2023年には地元経済団体の青年部長に就任し、八代市のまちづくり活動にも注力している。

<文・撮影/masa1018 MC/伊藤マヤ 画像協力/髙見商店>

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