贈りたい!贈られたい!創業400年の老舗・福砂屋で見つけた「キューブカステラ」ギフトセット

2025/05/29

訪問時の手土産や季節のご挨拶に重宝する、カステラ。 細長いさお物が定番ですが、ずっしりと重たく、残ったものを保存するのも少し手間がかかるため、贈り先によっては躊躇してしまうことも。そこでアッキーこと坂口明子編集長が注目したのは、手のひらサイズの立方体型パッケージに個包装された、キュートな「フクサヤキューブ」です。フクサヤとは、長崎に本店をおく老舗カステラ屋・福砂屋のこと。江戸時代から続く長い歴史をもつ企業にあって、福岡支店を拠点に革新的なアイデアを提案し、ヒット商品を生み出し続ける株式会社カステラ本家福砂屋 取締役副社長の殿村禎三氏に、取材スタッフが話をうかがいました。

株式会社カステラ本家福砂屋 取締役副社長の殿村禎三(とのむらていぞう)氏

福砂屋さん、まずは御社の沿革からお願いします。

殿村 1624年(寛永元年)創業の、株式会社 カステラ本家 福砂屋でございます。創業当時、日本は鎖国へと向かう激動の時代の真っ只中でした。来日したポルトガル人によってカステラづくりの技術を伝授された当家は、鎖国政策が始まっても、他国との商いが唯一許された長崎の出島で材料を調達しながら、南蛮菓子屋として繁栄しました。

当初は今と違って食感が硬かったカステラですが、時代の変遷とともに少しずつ工夫を重ね、日本人の味覚に合うよう製法にも改良を加えてきました。現在のようなしっとりとやわらかい長崎カステラが完成したのは、明治時代に入ってからだと聞いております。

永きにわたりカステラ本家としてその製法を家伝継承してきましたが、昨年がちょうど創業400年の節目の年でした。今年は次の100年に向けた1年目ということで、新たな心もちでスタートをきったところでもあります。

長崎市船大工町にある本店は、明治初期の建築となる趣深い店舗。

誰もが知る老舗中の老舗ですね!

殿村 ありがとうございます。昨年、長崎・東京・福岡で創業400周年記念イベントを行いましたが、国内外問わず多くのお客様にお越しいただき、やはりカステラといえば福砂屋ですね等、うれしい言葉をたくさんいただきました。これからもお客様の期待に応え続けることができる企業でありたいと思っています。

福砂屋という屋号の由来は?

殿村 もともと創業前は長崎で大店(おおだな)と呼ばれる貿易商を営んでおり、砂糖や米など様々な品目を扱っていました。その頃、砂糖は主に中国の福州という産地から福州船を使って長崎に運ばれてきたため、福州の「福」と砂糖の「砂」を組み合わせて屋号としたのではないかと考えられています。

「福」の字には長寿やおめでたいという意味も。卵や砂糖を使った滋養食でもあるカステラにぴったり。

―カステラづくりのこだわりを教えてください。

殿村 創業以来変わらない手づくりによる製法を続けています。職人たちが鍛え抜いて会得した手わざの技術により、卵の手割りから泡立て、攪拌、焼き上げまで一人の職人が一貫して責任をもつのが大きな特徴です。ミキサーを使わず、白身と黄身に分けて泡立て・攪拌する別立法と呼ばれる製法を用いるなど、昔ながらの手間をかけることへのこだわりが、福砂屋のカステラ独特の食感や風味を生み出すと思っています。その一方で、これからは時代の流れにあった進化も追求していかなければならず、老舗だからこその改革を行えるよう日々研究を重ねています。

伝統の手わざによって、生地のふっくら&しっとりとした食感が生まれる。

―原材料は5つだけと、とてもシンプル!

殿村 卵、小麦粉、砂糖、ザラメ糖、水飴、それだけですが、だからこそそれぞれにこだわりをもち、添加物を一切使わない厳選した材料を使っています。とくに卵には格別のこだわりがあり、生産から保管管理、季節ごとの色、白身の状態にあった職人の技術など、細部にわたって英知をそそいでいます。また、蜂蜜、水、ミルクは一切使用せずオリジナルの水飴を使うことで独特のコクを生み出し、小さなお子様でも安心して召し上がっていただけるようにしています。

底の方にシャリッとしたザラメの甘い口当たりを感じるのが、長崎カステラの特長。

―殿村副社長のご経歴について教えてください。

殿村 長崎で生まれ、大学卒業後26歳の時に入社いたしました。しばらく長崎にある弊社の工場でカステラを焼く修行をし、福岡に支店を開設するタイミングで支店長に就任したのが、福岡との出会いです。それから3年ほどのちに福岡工場を設立することとなり、常務を経て現在に至っています。

―家業を継がれるということに抵抗などはなかったのでしょうか。

殿村 他の仕事をしようという考えはありませんでした。昔は実家のある長崎本店の裏に工場があったものですから、幼い頃からカステラづくりを見て育ったんです。どちらかと言えばそういう物づくりというものに非常に興味があったので、自然と入ることができました。

―今回ご紹介する「フクサヤキューブ」の開発者だとうかがいました。

殿村 開発前、カステラといえば切れてない一本の大きなさお物が主流でした。カステラは結婚式の引き出物に使われることも多く、縁起物だから切れていてはまずいとされていたのです。でも私自身、食べる度にナイフで切る必要があるのがとても面倒で(笑)。いつでもどこでも気軽にカステラを食べたい、などと思ってちょうどいいサイズのものを考案したのが「フクサヤキューブ」です。

幅50×高さ55×厚さ25㎜くらいのつまみやすいサイズにカットされたカステラが2切れ、キュートな小箱に包まれている。

―パッケージもいろいろあってかわいいですね!

殿村 それまでの弊社は黄色の包装紙ばっかりだったんです。夏はちょっとビビットにしたり、冬はクリスマスっぽい色にしたり、もっとカラフルで季節感があれば、お客様もシーズンごとに目に留めてくださるのではないかと考えました。

―開発時に苦労されたエピソードなどはありますか?

殿村 最初は社内で厳しい意見もたくさんありました(笑)。持ち運びやすいサイズ感、季節ごとにチェンジするカラフルなパッケージということで企画提案した「フクサヤキューブ」ですが、福砂屋っぽくないのではないか、お菓子のパッケージにふさわしい色ではない、そもそもコストがかかりすぎる、などといった批判や心配の声もあったのです。でも私としては、核家族化・細分化の時代なのだから、定番にとらわれず、小分けにしたり季節感やイベント感を演出することがお客様のニーズだと確信していましたので、まず支店長を務める福岡エリア限定でテスト販売を始めました。それが2007年のことです。

―反響はいかがでしたか?

殿村 思った以上でした。弊社には、長崎本店、東京、福岡にある直営店の他、全国の百貨店などにも店舗がいくつもあるのですが、お客様やお取引先様のご要望に応える形で「フクサヤキューブ」の取り扱い店舗が増え、今ではもう主力商品のひとつになっています。

2個入り、3個入りのギフトボックスも人気。

―「フクサヤキューブ」に関して工夫されていることを教えてください。

殿村 中に入っているカステラへのこだわりは、さお物のカステラも「フクサヤキューブ」も同じですが、パッケージは、見た瞬間だれもが楽しくなるような親しみのあるデザインや色を心掛けております。年末年始にはその年の干支を、桜の季節にはやさしい桜のモチーフを、バレンタインやホワイトデー、母の日、父の日…と、「フクサヤキューブ」で季節を感じたり、贈ったり贈られたりすることのワクワク感や楽しさを感じていただけることが大事だと思っています。

―どれも常時オンラインでお取り寄せ可能なのでしょうか?

殿村 いいえ。季節や地域によってパッケージデザインが異なり、各店舗でも特色のある様々なデザインを見つけられるのが、キューブカステラの面白いところです。もちろん福岡エリア限定のものも多々ありますが、ご旅行の機会などにその土地でしか買えない「フクサヤキューブ」を探してみてください。ウェディング用パッケージや包装紙柄のデザインは、オンラインでもお選びいただけます。地域ごとの詳しい情報は、福砂屋オフィシャルサイトでご確認いただければと思います。

多人数の職場や会合のお土産として配るのに便利な15個入りのキューブギフトセット。
2025年4月にリニューアルしたコウモリ柄のパッケージは、福岡エリア現定品。

―他に福岡オリジナルの商品はありますか?

殿村 檸檬カステラと抹茶カステラの「フクサヤキューブ」は、福岡工場発のエリア限定商品です。九州産レモンの果汁とピールをふんだんに使った爽やかな檸檬味と、八女(やめ)の一番茶を贅沢に使用した濃厚な抹茶味は、どちらも新しい味として大変ご好評をいただいています。また、カステラにぴったりの煎茶やほうじ茶のオリジナルティーパックとセットになった商品は、ティータイムにおすすめの商品です。

上から「フクサヤキューブ檸檬カステラ」、「フクサヤキューブ抹茶カステラ」、
「フクサヤキューブ 健祥煎茶とほうじ茶詰め合わせ」。

―福岡工場がヒット商品の発信源なのですね!

殿村 以前は長い1本もののカステラが主流でしたが、10切れの小切れにして店頭に並べたのも福岡工場です。オフィスにナイフが置いてないだとか、自宅で切ろうと思っても底の敷紙がきれいに切れないだとか、そういったお客様のお悩みに応えたい、その一心でした。いまは、カットしてあるカステラが主流になりましたね。

―お取り寄せ品としておすすめいただいた、最中とのセットについて教えてください。

殿村 手づくり最中と「フクサヤキューブ」の詰め合わせになるのですが、もともと最中はカステラやオランダケーキとの詰め合わせしかなく、「フクサヤキューブ」と詰め合わせてほしいという非常にたくさんのお客様の声に応えるかたちで販売するようになった商品です。価格も弊社のなかで売れ筋の2,000円から3,000円台で、キューブカステラは6個入りと8個入りが選べ、各店舗にて季節ごとに異なる様々なデザインのものに変更できますので、それも人気の理由のひとつとなっています。

「フクサヤキューブ・最中詰め合わせ(フクサヤキューブ6個/最中8ヶ入)」。
季節限定デザインの「フクサヤキューブ」との詰め合わせも可能だそう。

―手づくり最中とは、どのようなものですか?

殿村 皮と餡が別々になっているので、ご自身で皮2枚に餡を挟んで召し上がっていただくタイプの最中になります。こうすることで皮はパリッと餡は好みの量でと、いつでもつくり立てのような最中が楽しめるので、たいへん人気の高いアイテムです。皮も餡も国産の材料にこだわってつくっていまして、指定のもち米を使った香ばしくて食感のいい種(皮)と、北海道産の粒よりの小豆をちゃんと残すよう炊き上げた餡とのハーモニーが絶妙なんです。

餡の量はかなりしっかりめ。贅沢にたっぷりと挟んだり、皮多めに配分したり、手づくりを楽しみながらいただける。

―アイデア満載ですね。今後の新商品へのご構想は?

殿村 カステラって形をきれいに整えるために、どうしても切れ端が出てしまうんですね。そんな廃棄せざるをえなかった切れ端にひと手間もふた手間も加え、もう一度こんがり焼いてフードロスを削減するコンセプト商品「ビスコチョ」を販売し始めました。その収益の一部をフードバンクに寄付するという取り組みが、福岡県知事賞や環境大臣賞をいただくなどたいへん高い評価をいただいており、今後は「ビスコチョ」をさらに進化させていきたいと考えています。

最初に、創業当時ポルトガルから伝わったカステラは硬いものだったとお話しましたが、そのルーツはじつはスペインのビスコチョという食べ物にあるんです。ビスは二度、コチョは料理するという意味でして、二度料理する、つまりカステラをこんがりと二度焼きするこの「ビスコチョ」という商品は、伝来当時のルーツに戻るということかなと思っています。400年の時を経てまた新しい100年に向かう年に原点回帰するような、そんな新商品の開発にワクワクしています。

―それは楽しみですね! では最後に、今後の展望をお聞かせください。

殿村 まずは、海外戦略の強化です。福砂屋の歴史やこだわりを、世界中もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。ジャポニズムイメージのパッケージデザインなどもいいですね。

また、カステラを原材料に使いカステラとは全く違うスイーツの開発も進めており、セカンドラインのパンデロー(ポルトガルの伝統菓子)ブランドとして展開し始めています。福岡支店では、福砂屋初の直営カフェ「カフェパンデロー」の運営も行っていて、カステラを使ったオリジナルスイーツや、その他こだわりのランチメニューの提供など、今後ますます充実させていきたいと考えています。

カステラは、おやつやお土産のイメージが強いと思いますが、じつは多くの有名アスリートがエネルギー補給やリカバリーを目的とした補食として摂り入れています。そこで、県内の高校のラグビー部をカステラでサポートするなど、カステラの新しい可能性を広げるための取り組みにも積極的に関わっています。

多様なお客様にカステラがもつ魅力をもっと知っていただけるよう、固定観念にとらわれず、お客様のご期待に添えるような商品開発に今後も力を入れていく所存です。

―カステラのポテンシャルの高さに感服いたしました! 本日は、たいへん貴重なお話をありがとうございました。

「フクサヤキューブ・最中詰め合わせ(フクサヤキューブ6個 / 最中8ヶ入)」(外箱サイズ161×261×72㎜)
価格:¥3,186(税込)
店名:福砂屋オンラインストア
電話:095-821-2938(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://www.fukusaya.jp/view/item/000000000038?category_page_id=ct8
オンラインショップ:https://www.fukusaya.co.jp/

「フクサヤキューブ ギフトセット10個入)」(外箱サイズ 276×127×72㎜)
価格:¥3,456(税込)
店名:福砂屋オンラインストア
電話:095-821-2938(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL: https://www.fukusaya.jp/view/item/000000000035?category_page_id=ct6
オンラインショップ:https://www.fukusaya.co.jp/

※「フクサヤキューブ」は販売地域・店舗により 取扱商品・包装形態が異なります。
※商品は生菓子ですので季節によって賞味期限が異なります。
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

殿村禎三(株式会社カステラ本家福砂屋 取締役副社長)
1954年長崎県生まれ。大学卒業後、同社へ入社。1989年福岡支店設立と同時に福岡支店長、福岡工場併設に伴い常務に。その後、取締役副社長に就任。

<文/亀田由美子 MC/田中香花 画像協力/福砂屋>

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