今回、編集長アッキーが気になったのは、紀州南高梅を使用した「幸梅漬」。株式会社池本商店が製造・販売している商品です。同社は、和歌山県で南高梅が誕生した頃から梅の栽培・実の加工を行っており、60年ほどの歴史があります。
今回は、同社で代表取締役社長を務める池本希代子氏に、創業の経緯や梅の加工工程、「幸梅漬」の特徴について、取材陣がお話を伺いました。
こだわりの有機肥料で安心・安全な梅干し作りを。和歌山県を代表する南高梅を使った「幸梅漬」
2024/09/05
株式会社池本商店 代表取締役社長の池本希代子氏
―1965年に創業。経緯を教えてください。
池本 弊社を創業したのは義父で、私が事業に携わるようになったのは池本家にお嫁に来てからでした。創業のきっかけになったのは、義父が高校生のときに学校で南高梅の開発に携わったことです。今では和歌山県ブランド「南高梅」として有名ですが、その高校で開発されたのが誕生のきっかけだそうです。義父からは、「私が南高梅の名付け親なんだ」と聞いています。
その開発経験を活かして、もともと持っていた山に梅の木を植えて栽培を始めたことから、弊社の事業が始まりました。
―当時から、梅の実の栽培も加工も?
池本 そうです。収穫した梅の実をお塩で漬けて、漬け上がったものを天日干しする。その作業も全て行っていました。
梅を選別する様子。
池本 今も弊社の製品に使う梅の実の一部は、自社農園で作っています。ただ、自社農園だけでは量が足りないので、近くの契約農家さんに農薬管理なども全て同じ基準でお願いして、できた梅の実を買い取っているものもあります。
―池本様が代表取締役社長に就任されたのは?
池本 2012年に法人化したのを機に就任しました。入社当初は梅干しを詰めたり、通販事業で使う送り状を書いて発送したりする業務を担いました。
当時は従業員も3~4人程度でしたが、とれとれ市場やアドベンチャーワールドなど、和歌山県内のいろいろな施設で販売するようになったのをきっかけに、従業員数も生産量も増えていきました。
枝が実に当たると傷ができる原因に。
実が大きくなる前から剪定することで、きれいな梅の実を育てている。
―梅作りでのこだわりを教えてください。
池本 農薬や無登録農薬は、一切使用していません。使用している肥料は、天かすや鰹節などを自家配合比率で混ぜている有機肥料です。先代の兄弟がお蕎麦屋さんをしてるので、そこで使った材料をいただいて弊社で再利用しています。
また、漢方薬である陳皮(ミカンの皮)や太棗(ナツメ)を主成分とし、26種類の生薬で構成した漢方土壌活性剤も使用しています。期待できる作用としては、病気になりにくい土壌作りや虫の予防などです。
一般的には農薬を撒くときにマスクが欠かせませんが、弊社が使用している漢方土壌活性剤は、マスクがなくても大丈夫なほど体に優しい成分で構成されています
―御社で販売している梅干しの特徴は?
池本 昔ながらの塩辛いものから、お子様でも食べやすい優しい味のものまで、いろいろな梅干しを作っています。
最近は、はちみつ梅が量販店でもたくさん売られているので、甘い梅がスタンダードだと思われている方もいらっしゃいます。そのため、お電話でご注文を受ける際には、塩辛いものをご希望かどうか必ず確認しているんです。インターネットではご注文時に一つひとつ確認するのが難しいので、各商品ページに「甘い・酸っぱい」が分かりやすいように表記をしました。
池本商店で一番人気の「幸梅漬(こうばいづけ)」。
使用している梅のサイズは2Lと大きい。
―梅干し作りの工程を教えてください。
池本 収穫した梅の実は、始めに濃度20%で塩漬けします。これは、どの商品でも同じです。6月頃からおよそ3ヶ月塩に漬け、その後梅干しを手作業で裏返しながら三日三晩かけて天日干しします。
梅の量が多いと、漬けたもの全てが一度に干し上がりません。そのため、天日干しの作業は翌年まで続くこともあります。できるだけ効率的に進められるよう、日差しが強い時期には実が大きめのを先に干すなど、いろいろ工夫しています。
―今回ご紹介くださるのは、「幸梅漬(こうばいづけ)」。
池本 「幸梅漬」は弊社で一番人気のある商品で、はちみつが入っているタイプの梅干しです。はちみつが入っていますが、「特に甘い」わけではなく、梅の酸味もきちんと味わえます。梅干しが苦手な方でも、梅の味わいを楽しめるような商品です。
実は、私も梅干しがあまり好きではなかったのですが、弊社の「幸梅漬」を食べたときに初めて「おいしい!」と思って。そこから梅干しが食べられるようになりました。
―塩分は約10%とのこと。塩辛い梅干しとの、製造工程の違いは?
池本 20%の塩漬けを行った後、水に浸けて塩分を抜く作業を行っています。調味液に漬けるのは、塩分が10%になってからです。
「幸梅漬」の調味液には、主にはちみつと本みりんを使っています。砂糖よりも自然の甘さのほうが合うと思ったので、本みりんを選びました。調味液に3~4週間ほど漬け込んだら、「幸梅漬」の完成です。
皮が柔らかく、果肉もたっぷりで、大満足の一粒。
―おすすめの食べ方は?
池本 おかゆで食べるのが一番おすすめです。夏は疲れて食欲が落ちることもあると思うのですが、そんなときでもサラサラと食べられます。和歌山では番茶でお米を炊いて作る「茶がゆ」が有名で、そこに梅干しを入れて食べています。本当に最高の食べ方です。
また、以前お客様に好評だった食べ方には、「幸梅漬」の天ぷらもあります。お中元やお歳暮の時期にパンフレットで紹介していたアレンジ方法なのですが、それはいろいろな方が真似してくださいました。ぜひ試してみてください。
―御社の今後の展望を教えてください。
池本 皆さんが安心・安全に食べられるような商品作りを、これからもずっと続けていきたいと思っています。梅の栽培も、梅干しの加工も、全ての工程を大切にしていきます。
―梅干し好きな方々に、御社の商品が届くといいですね。本日はありがとうございました!
「幸梅漬」(200g)
価格:¥1,814(税込)
店名:幸梅漬本舗
電話:0120-23-3925(9:00~12:00/13:00~17:00)※土・日・祝休み
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.koubaiduke.com/?pid=177938842
オンラインショップ:https://www.koubaiduke.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
池本希代子(株式会社池本商店 代表取締役社長)
1961年生まれ。2012年2月14日に法人化したことを機に、代表取締役社長に就任。
<文・撮影/奥山りか MC/三好彩 画像協力/池本商店>