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匠の中の匠、日本茶鑑定士がセレクト! 標高800mの天空の茶園で育まれた力強い味わい

2024/03/27

急須でお茶をいれることが少なくなったといわれる昨今、高校生など若い世代が集まる茶葉のお店があると聞けば、編集長アッキーも興味津々。静岡市にある製茶問屋、株式会社マルモ森商店が営むセレクトショップ「chagama」です。問屋が展開するという、日本茶業界でも稀有な挑戦について、同社代表取締役社長の森宣樹氏に取材陣がお話をうかがいました。

株式会社マルモ森商店 代表取締役社長 森宣樹氏
株式会社マルモ森商店 代表取締役社長の森宣樹氏

―明治10年(1877年)創業の老舗問屋の6代目。子どもの頃から後を継ごうと?

 実はその意志はまったくなくて、東京の大学を出てサラリーマンをしていたんです。会社勤めをするうちに、毎朝電車通勤して定刻だけ働く生活に違和感を持つようになりました。うちは製茶問屋で、お茶は農家、問屋、小売店と分業になっています。問屋ではお茶を焙煎したりブレンドしたりするのですが、新茶の時期などは朝3時頃に起きて買い付けをし、夜は10時、11時まで働くというのが当たり前。そういうふうに働くものだというのがありましたから、サラリーマン生活は何か違うなという思いになりました。しかも当時サラリーマンの世界は縦社会で、何かに挑戦するにしても上司にお伺いを立ててと、やはり難しかった。そんなこともあり、もともと日常にあったお茶の世界で踏み出してみようと、家業を継ぐことにしたのです。

―そのお茶の世界で名誉ある「日本茶鑑定士」に。全国で36名だけだそうですね。

 全国の茶師・茶匠が集まる「全国茶審査技術競技大会」の上位入賞者から、2年の研修を経て選ばれ与えられる称号です。難関ですが、お茶の見極めというのはワインのソムリエと一緒で、どれだけたくさん飲んだか、どれだけ接したかが大きいと思います。

―素質や勉強よりも経験が大切?

 素質も必要かもしれませんが、お茶であればどれだけ鑑定したか。見ただけで何県のものかがわかる、ソムリエなら飲んだだけで産地がわかるというのは、記憶の引き出しの数だと思うんですよ。あの時かいだ匂いと思い出せば、何県の品種で何年前なのかというのが脳でつながってきます。覚えるというよりも、記憶の引き出しの数を増やすことでわかることがある。私は実家に戻ってから、1日に1000点以上のお茶を見ていました。最初の1、2年はまったくわからず、ひたすら匂いをかいで飲んで。2、3年経って大会に出ると予選を通ることができて、あ、わかっていたんだと気づきました。

―ところで、6代続く歴史のなかで変わらない信念やテーマは?

 変わらない味を作るということでしょうか。我々問屋は農家から仕入れたそのままを卸すのではなく、焙煎、ブレンドし、それぞれのお茶のお店の味を作って販売します。何年も変わらず作れるのは、このお茶屋さんはこの産地、この火入れが好みだというデータの蓄積があるから。飛び抜けておいしいお茶を作ることはできますが、それをすれば「味が変わったね」ということになる。100年変わらない味、変わったねと言われない味を作るのがマルモ森商店なんです。

お茶は嗜好品ですから、お酒の甘口辛口のように、この味が好きというのがあります。その味を守り続けるのが弊社の使命でもあるわけです。100人のうち100人に好かれるのは難しいことですが、誰にも嫌われない商品、普遍的なものを作る。志が低いように聞こえるかもしれませんが、まんべんなく好まれるものは世の中に必要だと考えます。マニアックなものを作っても、限られた人にしか飲まれません。
我々問屋は農家を守っていかなければいけませんから、消費量を減らさないことが大事。これが2014年に始めた直営店舗「chagama」のコンセプトにつながっています。ライトなお客様層にも好まれるお茶を販売し、お茶の裾野を広げていければと思っています。

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チョコレートや紅茶のブティックのような店舗。若い世代も気軽に訪れる。
森社長も気楽な雰囲気のなかでお茶の説明を。

―そこから直営店舗の立ち上げに?

 問屋として各地のお茶屋さんに販売してきましたが、近頃はお茶屋さんのお客様が減り消費量が減っています。ペットボトルのお茶を飲むことも理由の一つですが、お茶屋さんに入りにくいという意見もあります。それなら、どうすればお店に来ていただけるのか、「こんなことをしてみれば?」と提案するだけでは説得力がありませんから、一度自分でお店を開いてみようということで、実験的に始めたのがセレクトショップ「chagama」です。

―高校生や大学生も訪れるそうですね。

 街中ではなく近隣に高校や大学、専門学校がある場所に店を出しました。高校生が入れるお茶屋さんであれば、ご新規の方、30~40代の方も来てくださるだろうと。お茶のリーフを販売していて高校生が入れるお茶屋さんなんて全国にありませんでしたし、それをやろうと思ったんです。

―高校生が…。確かに見たことないです。

 お茶が売れない、店に入れない、その理由の逆になるように全てを変えていけば売れるのではないか、それを実験するためのお店です。立地もそうですし、チョコレートショップのような雰囲気のお店にするとか、実験をして得た知識やノウハウを問屋のお客様であるお茶屋さんに伝えて、お茶屋さんが元気になって販売を増やしてもらえたらと。小売をやりたかったのではなく、お茶屋さんにノウハウを伝えたかったんです。

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10代の若者にも買いやすくておしゃれな50g。手のひらにのるかわいいサイズ、プチギフトに。

―-商品が多彩で驚きます。なぜここまで?

 既存のお店では100グラム単位でランク別の販売をするのが基本です。それが古くからのやり方ですが、我々が参考にしたのは、紅茶のルピシアさんやシンガポールのTWGさん。そういう若い人が来るお店は商品がたくさんあって、そこから自分でチョイスするわけです。では、日本茶でどれだけ増やせるかといえば、もともと我々は100種ぐらいをブレンドしているので、近年よく言われるようになったシングルオリジンということで、ブレンド前のお茶を提供してはどうかというのが始まりでした。

色はいいけれど味が薄い、味はいいが色が薄い産地があって、本来はそれをブレンドして相乗効果を出しますが、長所も短所もあるけれど、どの産地のどの品種という形で出すことにしました。それでけっこうな数に。若い人に来てもらうために、キャッチーなミントやクローブの匂いがするお茶も出してみると、それがお茶を買われる一つのきっかけになっていきました。フレーバーも天然素材だけ、香料は使用しないというのが私なりのルールです。

―何種類くらいあるのでしょうか。

 いまは100種以上ですね。一般のお茶屋さんの場合、1回買ったら消費するまでお客様は来られないし、常に同じものしかないのですが、お店を訪ねる度に新商品があると来店の楽しみにもつながり、何度来ても発見があるということになります。スターバックスさんも参考にしました。ドリンクの提供もしていますし良い目標です。また、透明なパッケージもこだわった点です。どこのお店でも温度、酸素、日光による劣化防止のために、アルミ袋に入っていますが、今中身が見えない食べ物はあまりないですし、見えないものになかなか手は出せません。うちではお茶屋では珍しい透明袋にしようと、お茶が傷まないようにUVカット加工をしたオリジナルの袋も開発しました。

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種類は100種以上。50グラムの商品は茶葉の個性がデザインに。
かわいいキューブは、一つでも組み合わせても気の利いたプレゼントになる。

―色や茶葉の形も見えます。

 安心して買ってもらうだけでなく、色やお茶の形、いわば顔が違うのをわかっていただけます。なおかつ50グラムという少量。今は使い切れるものが好まれます。2点、3点買っても手頃ですし、高校生でもお小遣いで買えるわけです。

―注目の商品、「静岡県静岡市葵区梅ケ島+やぶきた☆☆☆」について教えてください。

 標高800メートル、静岡県の一番山奥の畑で育ったお茶で、ある意味今お茶業界では売れないお茶です。現代の人はペットボトルのお茶に慣れているので、ちょっと味が薄くてさっと出せて、色がきれいに出るお茶を好む方が多いんです。だから、手軽に飲める深蒸し茶が主流。でも、これは、色は黄色いし、急須で1分以上かかり手間のかかるお茶です。ただ、初めてお茶を飲む人は余分な知識がないから、すっと受け入れて好んでくださるんです。手軽に飲めるお茶ばかり売っていたら、本来のお茶の味が伝わらない。売りにくいお茶をどうやって売るか、昔ながらの味を守るために、時代に迎合せず挑戦しています。

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高い標高に位置する梅ケ島の畑は、天空の茶園とも呼ばれる。
温暖な静岡にあって雪の降る厳しい環境だが、寒い冬を乗り越えて、お茶は栄養分を溜め込む。

―特徴は?

 chagamaで提供するエスプレッソという飲み方に一番合うくらい、とにかく力があるお茶。エスプレッソについてはまた店舗に飲みに来ていただけたらと思いますが、苦味だけでなく、甘みと旨みを圧縮した「だし」のような味で、急須では出しきれないほどの力が眠っていると思います。

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「静岡県静岡市葵区梅ケ島+やぶきた☆☆☆」は、金色透明といわれる美しい山吹色が特徴。
豊潤な香りと旨みは、これぞお茶の味わい。
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浅蒸しでごつごつとした無骨な形状。ぬるめにいれても香りが立ち上がる。山のお茶らしい滋味がある。
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「chagama」では、急須のない海外での販売を考え、行き着いたというエスプレッソマシンでラテを提供。
「静岡県静岡市葵区梅ケ島+やぶきた☆☆☆」は、エスプレッソ抽出に合う力強い旨み、お茶本来の滋味が詰まっている。

―おすすめの飲み方、合う食べ物は?

 ご家庭で手軽に飲んでいただくなら、水出しがおすすめです。ガラスポットに茶葉と水を入れて、一晩冷蔵庫にいれるだけ。甘くて旨みのあるお茶ができあがります。こういう飲み方をすれば、高級茶葉であってもペットボトルより断然安くておいしい。ぜひ試していただきたいですね。味が濃いのでチョコ系など濃い甘味にもよく合います。お茶は味をリセットしてくれますし、静岡の人は白米を食べる時は薄めにいれるなど、急須を使うと濃さを調節できるので食べるものに合う濃さでいれるということもできるんです。

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急須を使わず、水1リットルに対して10グラムほどを入れて一晩冷蔵庫に置くだけでもいい。味わい深いお茶ができあがる。

―今後の展望を教えてください。

 海外への販売も行っていますが、抹茶に比べて緑茶はまだ認知度が低いですね。ただ、静岡県民の健康寿命がトップクラスであるように、緑茶を飲む日本人が健康的に優れていると言われていることから、もっと注目されるようになればと思います。販売を減らさない、農家を守るということが大事ですから、今後販売チャンネルを増やす必要も出てきます。

chagamaはまもなく10年。今後は実験店舗ではなく、ブランドとして確固たるものにし、若い人にも訴求していきたいですね。私はペットボトルに敵対意識はなく、むしろそれがなければもっとお茶の消費が減っていたのではないかと思います。ペットボトルを入口に、一歩進んで今度は急須でいれてみようとなるかどうか。我々はペットボトルのお茶を飲んでいた人をどうこちらに引っ張ってこられるか、そこに注力したい。そのためにはchagamaブランドを充実させていかないといけないと思っています。

―ゆっくりとお茶を飲みたくなってきました。貴重なお話をありがとうございました。

「静岡県静岡市葵区梅ケ島+やぶきた☆☆☆」

「静岡県静岡市葵区梅ケ島+やぶきた☆☆☆」
価格:¥1,620(100g、税込) ¥810(50g、税込)
店名:chagama online shop
電話:054-252-3311(9:00~17:00 土日・祝日・年末年始除く)
※新茶時期(4月下旬から5月上旬)は、休日無しで営業
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://chagama.ochanet.com/products/umegasima-yabukita-3stars
オンラインショップ:https://chagama.ochanet.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
森 宣樹(株式会社マルモ森商店 代表取締役社長)

1972年静岡生まれ。明治10年(1877年)創業のマルモ森商店6代目当主、代表取締役社長。
鹿児島県の茶商にて修行後、マルモ森商店へ入社。全国に36人しかいない「日本茶鑑定士」の資格を取得しており、静岡市の茶業青年団団長、全国の茶業青年団団長を歴任。
2017年には香港へも出店するなど、国内外問わず精力的に活動している。

<文・撮影/大喜多明子 MC/髙橋美羽 画像協力/マルモ森商店>

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