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月にわずか2頭しか出荷されない希少な牛肉「幻の相州黒毛和牛ステーキ用」130g×2枚「相州牛ゴロゴロカレー」

2023/04/19

世界でも、日本ほど多くの種類のブランド牛がある国は珍しいのではないでしょうか。現在、日本国内のブランド牛は300を超えると言われています。そうした中から、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、神奈川県産ブランド牛の「相州牛」、なかでも月間の出荷頭数が平均でわずか2頭という「相州和牛」。その稀少な「相州和牛」を取り扱っている中川食肉株式会社 専務取締役 中川大輔氏に、取材陣がお話を伺いました。

中川食肉株式会社 専務取締役の中川大輔氏
中川食肉株式会社 専務取締役の中川大輔氏
5月に同社代表取締役社長に就任の予定

―「相州牛」とは、どのような牛肉なのでしょうか。

中川 相州牛とは、神奈川県南足柄市の畜産家「長崎畜産」で丹精込めて肥育された、南足柄産のブランド牛です。銘柄としては「相州牛」、そして出荷頭数が1か月に2頭程度であるため”幻”と称される「相州和牛」の2つがあります。

特徴としてはまず、一ヶ所での肥育期間が長いこと。相州牛は仔牛から出荷まで月齢2か月~最長28か月、「相州和牛」は仔牛から出荷まで月齢7か月~最長35か月。その間、牧場から移動せずに南足柄の地で育てられます。次に、放牧生産されていること。大雄山の麓にある自然豊かな牧場で、牛たちは伸び伸びと健康的に育っています。

このように、手間を惜しまない飼育体制に加え、こだわっているのが餌です。
相州牛の餌は、県内のビール工場から出たビール粕や豆腐企業から出るおから、酒造店の酒粕、ふすまなど十数種類を自家配合。さらに米や麦の「焼き餌」も使用しています。しかもそれは、人間が食べるのと同様に、毎日大きな窯で炊き上げられているんですよ。そうすることで米や麦が柔らかくなり、消化・吸収がよくなるのです。

現在、畜産農家の多くは、乾燥飼料を機械を使って餌を与える自動給餌を行なっていますが、相州牛の水分を含み、自動給餌輝を使えないので365日、人間の手作業で餌を与えているんですよ。

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緑豊かな長崎畜産の牧場。
牛たちは、日中はここで自由に過ごし、夜は牛にやさしい木造の牛舎で眠ります。
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毎日、自分たちのご飯を炊くように、大きな窯で米や麦を炊いています。

―ものすごい手間と労力がかかっているのですね。「相州和牛」が1か月にわずか2頭しか出荷されない理由がわかりました。

中川 そうなのです。生産性だけを求めたら極めて非合理的ですが、これだけの手間と愛情をかけているからこそ、相州牛は美味しい牛肉になるのです。

相州牛の肉の特徴としては、キメが細かくとろけるような肉質、しっとりして上品な甘みのある脂、牛肉特有の旨みもたっぷり。農林水産大臣賞を始め多くの賞を受賞していますが、それも手間と労力、そして何より牛への愛情の賜物です。

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きめ細やかな肉質と、極上の旨みと風味を持つ相州牛。

―御社と相州牛との出会いについて、教えてください。

中川 弊社と長崎畜産さんとは、もともと深いご縁があります。そのお話をするためにも、まずは弊社の成り立ちについてお話ししましょう。

弊社は、1910年創業です。ただ、手元に残っている最古の資料が1910年の伝票ということで、実際にはもう少し前から商売を始めていると思います。

創業者の中川藤次郎は、当時の小田原市営屠畜場(牛や豚、馬などを食肉に加工する施設)に出入りしながら、冬は食肉を仕入れて販売し、夏は相模湾で漁師をして生計を立てていました。当時は冷蔵庫がなかったので、夏は肉を扱えなかったのです。

その後、小田原市営屠畜場の閉鎖が決まると、2代目の中川光吉が市から施設を買い取り、個人の屠畜場を開場したのです。個人屠畜場は全国に例がありませんでした。
以来、地元神奈川県西部の食肉生産、さらに流通の重要拠点を担い続け、1949年に法人化、中川食肉株式会社となりました。

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2代目中川光治と妻のテツ。屠畜場内にて。

―現在も、屠畜場を経営していらっしゃるのですか?

中川 いえ、約20年前の屠畜場法改正に伴って、閉鎖しました。現在、弊社は食肉加工・卸業者として商売を続けています。

屠畜場を営んでいたことから、地元・神奈川県の牛や豚の畜産農家さんたちとの関係が深く、必然的にその方たちのお肉をお取り扱いするように。「神奈川県の畜産農家さんと一緒に、いいお肉を提供していきたい」との思いで、商いを続けてきました。
そして現在、弊社が全力で取り組んでいるのが、長崎畜産さんの相州牛なのです。

長崎畜産は3代にわたって畜産業を営んでいます。創業者である長崎努氏と2代目の光吉氏が食肉業の技術を学ぶために弊社に修行に来るなど、弊社の先代の時代からご縁が続いていたのです。その長年のお付き合いから「地元産にこだわった、安心安全で本当においしい牛肉を」との共通の思いを抱き、相州牛のブランド化を進めました。そして、「相州牛」「相州和牛」の商標登録の取得や販売促進に至るまで、弊社と長崎畜産の二人三脚で、相州牛の発展に努めています。

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中川専務と長崎畜産3代目の長崎光吉氏。
2人の強力なタッグで相州牛は数々の栄誉に輝いています。

―今回ご紹介する「幻の相州和牛肩肉ステーキ用」には、ここまで伺ってきたお話、御社や長崎畜産さんの思いが詰まっているのですね!

中川 はい。お肉の美味しさを最大限味わっていただくには、やはりステーキがいちばんだと思いまして。ご注文いただくと、「ザブトン」「ミスジ」「肩ロースの芯」のいずれかをお届けします。というのも、特に相州和牛はとにかく稀少なので、部位をご指定いただいてもすぐにはご用意できない場合があり、長くお待たせすることになってしまうからです。「何が届くかわからない」というデメリットもあるかもしれませんが、逆に「食べたことがなかった部位を味わえた」というお声もたくさんいただきます。「マンネリにならなくていい」と、リピートし続けてくださるお客様も多いんですよ。

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「幻の相州黒毛和牛」ステーキ用130g×2枚。
今回届いた部位は「マクラ」(肩ロースの中にあるお肉の一部)です。A5ランクの極上品です!
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お肉2枚と牛脂が冷凍の状態で届きます。

―おすすめの食べ方を教えてください。

中川 お好きなように食べていただければと思いますが、私としては、お肉の味に自信があるので、できればシンプルに、肉の表面だけを焼いて召し上がってみてほしいです。肉自体に良質の脂が含まれているので、フライパンに油を引かなくても大丈夫です。味付けも塩コショウくらいで。もう少し味がほしい、という方には生醤油とわさび、さっぱり食べたいという方には、おろしポン酢をおすすめします。

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お肉を解凍し常温の状態にしてから、フライパンで焼きました。
中川専務のおっしゃる通り、牛脂を引かずにそのままで。
今回の焼き具合は、ミディアムレア。
表面を焦がさないよう注意深く、短時間でも何度か裏返しながら焼いたところ、このようにふっくら。
肉汁も滲み出ることなく、そのまま口の中へ……。
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お肉の旨みと脂の甘みがたっぷり、それでいて後味すっきりの、極上のお味でした。
最初はそのまま、後から天日塩をパラパラと。

―もう1品、「相州牛ゴロゴロカレー」は2012年の「湘南カレーコンテスト」で見事グランプリに輝いたそうですね。こちらは、どのような経緯で誕生したのですか?

中川 このカレーのルーツは、弊社直営の焼肉店「本格炭火・和牛屋」がランチ営業を始める際に、当時のシェフによって考案された「和牛屋カレー」です。シェフは、日本3大クラシックホテルの1つで洋食副料理長を務めたほどの料理人。ホテルを定年退職するタイミングで和牛屋に来てもらったのです。クラシックフレンチを得意とする料理人だけあって、出来上がったのは絶品の洋風カレー。ランチ限定でお客様にお出しすると、またたく間に和牛屋の大人気メニューとなりました。

このカレーを「湘南カレーコンテスト」に出品しようという話になり、そのために、さらにスペシャルなカレーを作るべく商品開発し、誕生したのが「相州牛ゴロゴロカレー」です。すでに人気となっているカレーをより美味しくするにはどうすればいいか、みんなで知恵を絞るなか「相州牛のバラでいきましょう」というシェフの鶴の一声で、決まりました。

お客様に相州牛の美味しさを知っていただくために、大きめにカットしたお肉をぜいたくに使おうということになり、その名も「相州牛ゴロゴロカレー」に。グランプリを獲得したことが自信となり、「もっと多くの方に味わっていただきたい」とレトルト版を開発、販売するようになったのです。

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「相州牛ゴロゴロカレー」1箱/1食分。
レトルトなので賞味期限は約1年。
いざという時のために、多めに買い置きしておいてもいいですね!
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シチュータイプで、コクとまろみのある贅沢な味わい。
名前の通り、大きなお肉がゴロゴロ入っています。

―2021年に、こちらのカレーでクラウドファンディングが行われたそうですね。

中川 はい。みなさまからご好評いただいている「相州牛ゴロゴロカレー」ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、飲食店やイベントなどで召し上がっていただく機会が激減してしまいました。弊社としては、売り上げが減るという現実的な問題もありましたが、何よりもフードロスをなくしたかったのです。

弊社は、畜産農家さんが丹精込めて育てた牛や豚、鳥などのお肉を加工・販売していますが、生き物のお肉を扱うことは「命」を取り扱っていることだと考えています。
「家畜の命をいただいて商いをさせていただいているということを、尊く思いなさい」
これは、弊社に代々伝わる教えです。

このカレーには、牛からいただいた命が詰まっています。その大切な命を無駄にしてはいけない、という強い思いがあるのです。
もちろん、相州牛のおいしさをどなたにも、より気軽に味わっていただきたい。そこで、2021年7月にクラウドファンディングの募集を始めました。

支援プランの中には、カレーを1つ食べるともう1つがフードバンクに寄贈されるプランを取り入れました。というのも、弊社と同じようにコロナ禍によるダメージを受けている方、仕事を失ったり収入が減って毎日の食事もままならないという方を、皆様のお力をお借りしてご支援できたらと考えたからです。

ありがたいことに多くの方にご支援いただき、目標金額200,000円をはるかに上回る、1,123,700円を達成、寄贈分840食をフードバンクへお届けすることができました。

―フードロス削減だけでなく食育にもつながりますし、生産者さん、飲食店、消費者……と全方向への支援、素晴らしい取り組みですね。では最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

中川 先人たちが大切にしてきたこと、引き継がれている教えを守りながら、時代に合った新しいことにもどんどんチャレンジしていきたいと思います。

1つには、相州牛の取り組みのように、神奈川県の生産者さんと一緒になって、地元の商品を消費者の方たちに伝えていきたい。素晴らしい生産者と魅力的な食材が、まだまだたくさんあります。それを、ただ販売するだけでなく、生産者はどのような思いでその商品を作っているのか、そこにはどれだけの手間と愛情が込められているのかといった、商品ができるまでの物語を伝えていきたいんです。それが、フードロスの問題、環境問題、食育にもつながるのではないかと。むずかしい話ではなく、物語であれば食卓での話題にもなるでしょう。「おいしいね」の笑顔があふれる食卓づくりに、少しでも貢献できたらと思っています。

―おいしいお肉を通して、いろいろなことを学ぶことができました。貴重なお話、ありがとうございました!

幻の相州黒毛和牛ステーキ用130g✕2枚

「幻の相州黒毛和牛ステーキ用」130g✕2枚
価格:¥5,500(税込)
店名:NAKAGAWA298(中川肉屋)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.nakagawa298.jp/幻の相州黒毛和牛ステーキ用
オンラインショップ:https://www.nakagawa298.jp/

相州牛ゴロゴロカレー1箱/1食分

「相州牛ゴロゴロカレー」1箱/1食分
価格:¥770(税込)
店名:NAKAGAWA298(中川肉屋)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.nakagawa298.jp/相州牛ゴロゴロカレー
オンラインショップ:https://www.nakagawa298.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
中川大輔(中川食肉株式会社 専務取締役)

1985年神奈川県小田原市生まれ。高校1年生の時、会社直営焼肉店「和牛屋」開業から店でアルバイトを始め、2005年に中川食肉株式会社入社。2023年5月、同社代表取締役社長に就任予定。中川食肉株式会社は相州牛推進協議会員として小田原市のSDGsパートナー企業としても注力している。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/隅倉さくら 画像協力/中川食肉>

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