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上質な味わいを追求した新商品「プレミアム千寿せんべい」と、職人の技と心が込められた「季節の上生菓子」

2023/02/13

今回編集長アッキーが注目したのは、京都で創業の「鼓月」。波型のクッキー生地にクリームを挟んだ千寿せんべいは、関西のみならず全国的にも有名ですよね。2022年10月10日、長きにわたり愛され続けるその京菓子が「プレミアム千寿せんべい」として、新たな魅力を携えて発売以来の新発売を果たしました。その開発にかけた想いや、京菓子へのこだわりを代表取締役社長の中西英貴氏に伺いました。

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株式会社鼓月 代表取締役社長の中西英貴氏

―これまでの歩みをお聞かせください。

中西 1945年10月1日、戦後間もない頃に私の祖母が創業いたしました。戦争で夫を亡くし、幼い子供を抱えて途方に暮れていたのですが、物置で1缶の黒砂糖を見つけ出しました。自らが生きていくため、そして戦争で疲れた人たちのためにも、その黒砂糖を使ってお菓子を作り始めようと決意。ゼロから商売を始めたのが、鼓月誕生の第一歩となりました。

しかし京都は老舗菓子屋がひしめく土地ですから、新参者の鼓月はなかなか世間に認められませんでした。そんな中、耳にしたのが「今の若い子はチョコレートやバターみたいなものが好きみたいどすなぁ」という祇園の芸妓の一言。それをきっかけに「老舗が暖簾に縛られて手が出せないもので勝負しよう」と、当時タブーとされていたバターなどの素材を取り入れた京菓子の開発を始めました。そうして生まれたのが、今もなお皆さまにご愛顧いただいている鼓月の代表銘菓「華」です。

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バター香る、黄身餡の焼き饅頭「華」。
洋菓子の素材や製法を取り入れ、当時の京菓子業界に衝撃を与えた。

―それ以来、革新的なお菓子作りを続けて来られたのですね。

中西 そうですね。「代々受け継がれてきた味を変えない」というのも大切なことですが、お菓子作りの精神や伝統を守りながらも新たなことに挑戦し続ける、というのが我々の姿勢です。日々新たな商品の開発に取り組んだり、今後どういう方向性のお菓子が流行っていくだろうかと研究したり。面白いものがあればどんどん取り入れていく、そういうお菓子屋でありたいと思っています。

―言わずと知れた1番人気の商品「千寿せんべい」。その誕生のきっかけは?

中西 誕生は1963年。新しいお菓子を作ろうと、製菓雑誌に載っていたドイツ製の機械の導入を計画し、注文したのですが、実際に届いたものは焼肉の機械でした。返品の手段もわかりませんから、何とか活用しようということで試作を重ね誕生したのが、機械の形を生かした波型のお菓子「千寿せんべい」だったんです。発売当初はなかなか売れなかったようですが、今では年間1000万枚を生産する1番人気の商品となっています。

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サクッと軽い生地が、口の中でほろほろ優しくほどける「プレミアム千寿せんべい」。

―その美味しさをさらに探求し、昨年「プレミアム千寿せんべい」を新発売されたのだとか。

中西 「より品質の高い美味しいものを食べたい」というお客様の嗜好の変化に合わせて、商品開発に着手しました。誕生から60年ほど経っていましたので、美味しくてもそれはやっぱり当時の美味しさ、つまり昭和の味なんです。人気のある商品の味を変えるというのは勇気のいることでしたが、そろそろ次の世代の味を開発していくべきだということで。品質にこだわって、より現代の嗜好に合った美味しさを追求していきました。

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完成まで4年の歳月を要したこだわりの味。
軽やかな生地と濃厚なシュガークリームのバランスが絶妙。

―特にこだわったのは、どんなところですか?

中西 舌触りや食感です。従来とは異なる「ふんわり軽い食感」と「口どけの良さ」を目指しました。それを実現させるため、1番の要となる“プレミアム千寿せんべい専用粉”のブレンドを調整。総数50パターン以上を試作し、改良を重ねていきました。

―ザクザクとした食感もほどよいアクセントになっていますね。

中西 やわらかいクッキー生地の試作を重ねていたのですが、何だか少し物足りなくて。そこで取り入れたのが“ザラメ糖”。生地に練り込むことで、軽い食感はそのままにザクザクとした確かな歯応えが感じられるよう仕立てました。生地をより活かすためクリームには新たに練乳を配合していますので、従来よりも濃厚で一層香り高い味わいをお楽しみいただけます。

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6枚入から60枚入まで豊富な入数を用意。
鼓月オリジナル手提げ袋も併せて購入できるので手土産にはもちろん自宅用にも◎!

―「上生菓子」は、創業当初から手がけていらっしゃるのでしょうか?

中西 上生菓子を手がけるようになったのは、おそらく1955年頃。創業当初は闇市で仕入れたお砂糖を使ってあめ玉を作っていたのですが、それから10年ほどが経った頃から“和菓子のようなもの”を作り始めました。当初は技術的にもまだまだ未熟でしたので、他所で習いたいと思っていたのですが、京都ではそれが叶わず、東京のお菓子屋さんまで学びに行ったようです。なので我々の上生菓子には東京のスタイルが根付いている部分も多くて。たとえば桜餅は、クレープ状に焼いた皮であんこを巻く関東風で作っています。

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四季折々の情景を繊細に表現した「季節の上生菓子」。
その1つ1つに職人の技と心が込められている。

―「季節の上生菓子」の繊細な意匠を見ているだけで心が華やぎます。種類もたくさんありますね。

中西 「こなし」や「上用」「きんとん」などのお菓子を、季節ごとに5種類ほどご用意しています。そのラインナップは年間で14回変わりますので、合計すると全70種類。季節がめぐるたび「またこのお菓子の季節がやってきたね」と感じていただきたくて、毎年同じ時期に同じお菓子を作っています。

2月は梅を表現した「ねじ梅」や雪の下から草の芽が萌え出る様子を表した「下萌(したもえ)」、春を告げる鳥・うぐいすをモチーフにした「鶯餅」など。3月には「菜の花」や桜の花と柳を象った「都の春」、蕨をモチーフにした「早わらび」などをお楽しみいただけます。

―使用するあんこは、ほぼ100%社内で炊いているそうですね。

中西 上生菓子はあんこが主体ですから。1番の要となるあんこの味にはこだわっています。使う小豆で味が変わるので素材選びも大切なのですが、やっぱり重要なのはどこまで手をかけて作ったか。炊いて冷ますという工程を何回繰り返すかによっても仕上がりは違ってきますので。そこを他所に任せてしまうというのは考えられません。

あんこって、特有の匂いがあって苦手意識をお持ちのお子さんもいらっしゃるようです。でも我々の作るあんこは、そういったお子さんたちにも「美味しい」と言っていただけるんです。それくらい、どなたにも食べやすい味を大切にしています。

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上生菓子もオンラインショップから購入可。
形が崩れないよう、1つずつ小さなカップに入れて届けてくれる。

―最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

中西 「10年ひと昔」という時代もありましたけど、最近はそのサイクルが短くなってきていますよね。3年経つともうどんな世の中になっているのか、何が流行っているのか、まったくわからない。それにどう適応していくかというと、やっぱり常にアンテナを張って、フットワークを軽くしていくこと。今までの成功体験を参考にしない。改善できるものはどんどん取り入れていく。そういう姿勢があれば、いつでも対処できると思うんです。急な出会いがあったり新たなアイデアを思いついたりと、何が起きるかわかりませんから、どんな状況にも常に対応できる体制を整えることが一番大切だと思っています。

―貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

鼓月_商品1

「プレミアム千寿せんべい」(6枚入)
価格: ¥1,134(税込)
店名:京菓子處 鼓月オンラインショップ
電話:0120-122-262(9:00~17:00 日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kogetsu-ec.com/SHOP/304002/list.html
オンラインショップ:https://kogetsu-ec.com/

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「季節の上生菓子」(6個入)
価格: ¥2,614(税込)
店名:京菓子處 鼓月オンラインショップ
電話:0120-122-262(9:00~17:00 日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kogetsu-ec.com/SHOP/13209.html
オンラインショップ:https://kogetsu-ec.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
中西英貴(株式会社鼓月 代表取締役社長)

1971年京都府京都市生まれ。明治大学卒業後、三和銀行に入行を経て、1997年株式会社鼓月に入社。2006年5月に代表取締役社長に就任。鼓月に加え、京都発パティスリー「KINEEL」、スポーツ羊羹「anpower」など様々なブランドを展開し、さらなる飛躍への挑戦を続けます。

<文・撮影/野村枝里奈 MC/橋本小波 画像協力/鼓月>

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