美酒佳肴「門井商店」スペシャル対談企画

美酒佳肴「門井商店」スペシャル対談企画

オリジナルブランドの割り下『美酒(びしゅ)佳肴(かこう)』は、「調味料オタク」の門井俊社長のこだわりを詰め込んだ逸品だ。

1974年に創業し、多くの調味料開発で実績を積んできた門井商店。満を持して発売される、オリジナルブランドの割り下『美酒(びしゅ)佳肴(かこう)』は、「調味料オタク」の門井俊社長のこだわりを詰め込んだ逸品だ。一度口にしたら忘れられなくなるほど、ふくよかで奥行きのあるこの割り下。発案から商品化されるまでの、試行錯誤の日々についてうかがった。
話を聞くのは、醤油やみりん、味噌、酒など、これまで数多くの蔵元をたずね、調味料マニアの料理家・山脇りこさんと、『美酒佳肴』の商品開発にも携わった『東京最高のレストラン』編集長・大木淳夫さん。さて門井社長の「オタク的こだわり」とは?

「完熟」「白濃」「淡口」と、3種の割り下ができあがりましたね。

大木:「完熟」「白濃」「淡口」と、3種の割り下ができあがりましたね。僕も開発段階を傍らで拝見していたので、感慨深いものがあります。

門井:ありがとうございます。ようやく形になってうれしいです。

大木:オリジナルの調味料を製造するようになったのは、門井社長になられてからなんですよね。

門井:弊社は僕で二代目なのですが、もとは食品メーカーさんに原料を販売する問屋業でした。たとえばメーカーさんから「こんな商品を作りたいんだけど、かつおの味が足りないから探してほしい」と言われたら、「それならこんな原料がありますよ」と提案することを長年やっていました。ですから、原料の種類はもちろん、その知識については豊富にストックがあるわけです。

大木:なるほど、その強みを生かしてオリジナルの調味料を作ろうと。

門井:そうなんです。20年くらい前に工場を作り、調味料を作り始めました。はじめは取引先で廃棄予定の小袋充填機をゆずり受けたのがきっかけで、その機械をどうにか生かしたいと思っていたところ、ラーメンの濃縮スープの案件をいただいたんです。作ったことはなかったのですが、「やります!」と即答して(笑)、ビーカーなどを買って、自宅のキッチンでコツコツとスープ作りを始めたのです。そうしたら、半年かけて開発したその商品が、まさかの大ヒットでして。

ビーカーなどを買って、自宅のキッチンでコツコツとスープ作りを始めたのです。そうしたら、半年かけて開発したその商品が、まさかの大ヒットでして。

山脇:ご自宅のキッチンで! それはすごいですね。

大木:作ったことがないのに、味の設計ができたというのは、門井社長が東京農大の醸造科を卒業され、基本的な知識があったことも大きいですよね。

門井:そうですね。座学で身につけた知識もありますが、大学の授業では、味の評価をすることもしていましたから、そういう意味では役立っているのかもしれません。

山脇:農大の醸造科! 今からでも学んでみたいです。なぜ行こうと思われたのですか?

門井:家業が問屋業だったので、親としては農学部に行かせたいと思っていたようです。高校は近畿大学の付属だったのですが、子どものころから、僕は東京が大好きでして(笑)。何とか東京に行けないかと思って探していたら、東京農業大学と巡り合うわけです。高校生にしてみれば、そんなダサい大学あるのかと。しかも当時は全く醸造などに興味はなかったのですが、行ってみたらめちゃくちゃ面白かった。

大木:そのバックボーンは大きいですね。話を戻すと、ラーメンスープがヒットして、その他の調味料の製造依頼につながり、ビジネスとして拡大していったということですね。

門井:そうですね。お客様からの依頼に対して「とにかくやってみよう!」というスタンスで、さまざまな調味料を作っているうちに、気づいたらどんなことにも対応できるようになっていました。数多ある食品メーカーさんが、商品開発のときにうちに相談してくださるわけですから、いろいろな原料ソースがあるんです。知識もあるし、原価的なことも分かっている。オリジナル製品を作れば、いいものはできるというベースができてきたのです。

昔ながらの作り方で、手をかけて作られた醤油やみりん、酒は、本当にすばらしい味なんです。それも伝えていきたいので、素材に妥協するのはやめようと思い、徹底的に原料を集めるところから始めました。

大木:でもなぜ割り下に着手しようと?

門井:ある方からアドバイスをいただきまして、割り下に気づきました。割り下の基本材料は醤油、みりん、酒。全部自分が学んだ得意分野だし、これならいい原料を集めて、いけるかもしれない! と思ったのです。もうひとつ、和食の味つけは難しいと思っている方々へ向けて、これ一本使うことでその解決になったら……という思いもありました。安価な調味料はたくさんありますが、昔ながらの作り方で、手をかけて作られた醤油やみりん、酒は、本当にすばらしい味なんです。それも伝えていきたいので、素材に妥協するのはやめようと思い、徹底的に原料を集めるところから始めました。

山脇:良質の醤油、みりん、酒を合わせた集大成。「ひとつずつ自分で買わなくていいよ、ベストオブベストを合わせておきました」ということですね。

大木:確かにありそうでないですね。

門井:でも実際に作り始めたら、思った以上に大変でした。まず材料がそろわない。例えば醤油は自社の木桶で仕込んでいることを条件に、全国から集めたのですが、そもそも数が少ないんですよね。

山脇:私もお醤油の蔵元さんをいくつもまわりましたが、木桶で仕込んでいるところって、全国でも相当少ないですよね。全体の1%以下になっていると聞きます。

門井:お酒も当初思っていた酒蔵さんには分けてもらえなかったり、原料を集めるのも難しかったのです。しかも入手できたとしても、それを使って安定供給できるかという問題もありました。そもそも量産されていないので。でも大学の教授や同級生を頼って、なんとか確保することができたんです。

大木:材料は揃いました。そこからは?

門井:味の組み立てにも試行錯誤がありました。材料は揃ったものの、一度にたくさんの種類の醤油の味見をしたことがなかったので、まずはみんながそれぞれの味がわかるようになるまで時間がかかりました。感応評価シートというものを作って、香りのよさや、色、口に含んだときの苦みを感じる時間などを書き込んでいったのです。そのうちに味のマトリックスができあがっていき、それを組み合わせていきました。

大木:『美酒佳肴』は「完熟」「淡口」「白濃」の3種類がありますが、それぞれ全部違う醤油が使われているんですよね。これはすごい。しかも「完熟」には3種類の醤油がブレンドされているという。さすが、調味料オタク(笑)。

『美酒佳肴』は「完熟」「淡口」「白濃」の3種類がありますが、それぞれ全部違う醤油が使われているんですよね。これはすごい。

門井:味見をしているうちに、醤油にもそれぞれに個性があることがわかってきました。単体だと少し雑味があるなと思っていても、他の醤油を混ぜたら途端にうまみが伸びたり。醤油の組み合わせって面白いんですよ。相殺するものもあれば、うまみが増幅するものもある。

大木:今は3種類に絞られましたが、当初は6種類の割り下がありましたよね。

山脇:開発途中で私も味見をさせていただきました。

門井:そうなんです。迷いに迷ってしまい(笑)。はじめは砂糖が入っていたんですが、それはやめたほうがいいという山脇先生の助言でやめました。

大木:料理家さん目線による、辛辣な意見もいただいて。

門井:それで味を見直し、砂糖を加えるのではなく、3年寝かせたみりんを使って甘さを出しています。このみりんもなかなか入手できなくて、ひと月前まで原料を分けてくれるのくれないのって、揉めていました、実は(笑)。

山脇:今の調味料って、アミノ酸などの旨味成分を後から入れてあるものも多いですよね。化学調味料独特の後味を感じるものもある。今回お料理させていただいた割り下には、それが感じられませんでした。そんなことめったにない(笑)。日々のお料理に、市販の麺つゆを使っている人も多いですが、私の料理教室に来てくださる方々には、「自分で作ったほうがいいよ」と言っているんです。だしと醤油とみりんでできるし、自分の好きな調味料を合わせて作ったほうが、市販品よりおいしいし、安全だからと。この『美酒佳肴』は、つまりそのベストを選んで門井さんが合わせたってことですものね。

いろいろなお料理に使ってみましたが、まず、和食の煮物はぐっと楽になりますよね。

門井:ありがとうございます!

山脇:いろいろなお料理に使ってみましたが、まず、和食の煮物はぐっと楽になりますよね。厚揚げとかじゃがいもとか、干し大根とかひじきも、なんでも、これで煮るだけでいい(笑)。煮物は食べたいけど面倒に思う方が多いから、喜ばれると思います。炊き込みご飯なんかも迷わずできる。あと、かけ醤油的に使うのもいいですね。シンプルに冷奴とか、軽く焼いた椎茸にかけるとか。これからの季節なら焼いた万願寺唐辛子に、じゅっとかけてもすごく合うと思います。

門井:それは、うまそうだ。

大木:3種類の使い分けとしては?

山脇:「白濃」は白醤油を使っているということで、キリッとした味ですね。色もきれいなので、今回のレシピでは浅漬けに使ってみました。そして洋の食材にも合うと思いました。ご提案したアボカドとブルーチーズに合わせるとか、他にもカマンベールチーズをオーブンで焼いて、トロトロになったところにかけるとか。それから甘みが少ない特徴を活かして、お酢で割ってもおいしかったです。二杯酢っぽい感じになるので、わかめやきゅうりなどの酢のものに。負けないくらい上質なお酢を合わせてみてほしいです。

アボカドとブルーチーズのあて

大木:鯛のお刺身を漬けるのもおいしかった。「淡口」と「完熟」はどうですか?

山脇:「淡口」はトマトとかうまみ成分の多い野菜と合うのでは? と思い、「トマトと新玉ねぎの豚すき焼き」に使ってみました。炊き込みご飯にもいいですね。

トマトと新玉ねぎの豚すき焼き

門井:汎用性があるのは「淡口」かと。「完熟」は、たまり醤油や刺身醤油に近い濃厚さがあります。

山脇:「完熟」は今回のレシピでは「手羽中としし唐の甘辛煮」や「煮卵」にしてみましたが、他にもいわしを炊いたり、ぶりのあら炊き、豚の角煮などにもいいと思います。長く煮込むと風味が飛んでもったいないので、食材を長時間ゆでて柔らかくしておいて、調理の最後に加えるとか、今回の煮卵や浅漬けのように、この割り下にそのまま漬けるのがいいですね。

手羽中としし唐の甘辛煮

門井:社内でもそれは言っていて、最後の香りづけに使ってもらうと、かなり華やかな感じになってお料理屋さん風の味になるんです。

大木:価格設定も高いけど、それだけの価値はあると。

それから甘みが少ない特徴を活かして、お酢で割ってもおいしかったです。二杯酢っぽい感じになるので、わかめやきゅうりなどの酢のものに。
他にもいわしを炊いたり、ぶりのあら炊き、豚の角煮などにもいいと思います。

山脇:でも高価といっても、Tシャツ一枚買うのを考えたらね。いい調味料を買ったほうがいいよって、いつも教室でも言うんです。体にもいいうえに、日々の食事が断然おいしくなる。

門井:それは僕も大学の先輩たちに言われました。「醤油や味噌など、基礎調味料にはお金をかけろ。それで料理を作るのだから、すべての味のレベルが上がるんだよ」と。

山脇:まさに私と同じ意見! その方と気が合うと思います(笑)。

大木:安価なものには理由がある。そういうものを自分の子どもに食べさせるのかと。

山脇:私のお教室でもお子さんが生まれたら、毎日使う調味料に興味を持つ女性が多いですね。

大木:なるほど、夫はいいんですね(笑)。ところで、これはパッケージもおしゃれ。商品名もいいですね。男性受けもしそうだし、贈答品にも使えそうです。

門井:料理好きな男性にもぜひ使っていただきたいです。『美酒佳肴』というのは四文字熟語で「美酒=いいお酒」と「佳肴=おいしい料理」という意味。日々の食卓が『美酒佳肴』になることを願っています。

『美酒佳肴』というのは四文字熟語で「美酒=いいお酒」と「佳肴=おいしい料理」という意味。日々の食卓が『美酒佳肴』になることを願っています。

『美酒佳肴(びしゅかこう)』わりした

完熟
木桶で仕込み、2年以上熟成させた3種類の醤油をブレンド。そのうち2種類が再仕込み醤油のため、濃厚な味わいに。みりんは、味に丸みと香味を生み出す3年熟成品を、また日本酒は料理酒だが純米酒を使用。

白濃
小麦醸造調味料とは、木桶仕込みの白醤油(大豆を使用せずに作っているため「醤油」の表記が不可なため)。みりんは3年熟成品、また日本酒は料理酒だが純米酒を使用(完熟と同様)。色づけしたくない料理などに。

淡口
木桶仕込みの醤油を使用。桶の香りが強い醤油のため、あえて3年熟成ではなく、2年熟成品を選んでいる。みりんは3年熟成品、また日本酒は料理酒だが純米酒を使用(完熟と同様)。和食全般に使える汎用性の高さも魅力。

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