第5回 菓匠 右門『いも恋』と高仲健一さんの器

今回ご紹介する和菓子は、小江戸と呼ばれ情緒あふれる埼玉県川越市の菓子店、菓匠 右門さんの『いも恋』です。川越といえば、サツマイモの名産地。そのサツマイモを饅頭に入れたというユニークさが気になり取り寄せました。

 

饅頭ですので、サツマイモを餡にして入れたものと思いがちですが、このお菓子は大胆にもサツマイモがそのまま入っているのです。半分に切るとわかりやすく、餡の下はサツマイモ、上は小豆のつぶあん。持ったときにずっしりとしたいたのは、イモの重さなのでしょう。餡を包む生地も山芋ともち粉でつくられているので、小麦生地とは比較にならないくらい、まるで生地が伸びそうなほど、もっちりとしています。この餅生地とつぶあんにほんのり塩気があるためか、サツマイモの自然な甘さが引き立ちます。また、手作業で包んでいるそうで、形が一つひとつ異なります。そんな点からも丁寧に作っている様子が伝わってきて、心が和みます。
食べるときは、蒸し器か電子レンジで温めます。“温め直す”ではなく“出来立て”をいただく、というお菓子は珍しいのではないでしょうか。両方ためしたところ、蒸し器で温めたほうが、生地に粘りがでて、餅の食感が強まるのと、味がはっきりして全体的に風味が増すと思いました。ただ、急いで食べたいときは電子レンジが便利です。
お菓子というよりサツマイモを食べているような、ご飯の代わりになりそうなほど満足感がありますが、サツマイモがメインで甘さが控えめなので、食後の重たさがありません。素朴なおいしさに、空腹時はいくつもペロリと食べちゃいそうでした(笑)。

 

器は、陶芸家・書画家の高仲健一さんの器です。好きなギャラリーのひとつ「日日ギャラリー」で、12、13年前に柄違いのものを数点購入しました。高仲さんは千葉の山奥で自給自足のようなスローライフをされており、その生き方があらわれているような魅力的な作品を生み出しています。この器に出会った時期はエスニック料理に凝っていたので、料理とバランスが取れる器として重宝していました。いまでも大切に使っていて、温かみのあるデザインと、直径15cmほどの使い勝手のよい大きさや、立ち上がり(縁)がわずかに外側に反っていて、平たいようで平たくない絶妙な成形が気に入っています。

さて、我が家の食卓を少しご紹介。
3月の野菜で食卓を賑わわせるのは、葉タマネギや新タマネギ、春キャベツです。葉タマネギは、みそ炒め。1年前に仕込んだ手作り味噌を合わせるとおいしさもひとしおです。新タマネギは、スライスして生で食べたり、かき揚げにしたり、とろりとするまで煮込んで肉味噌をのせて食べたり。春キャベツは、ひたすらきざんでサラダにしたり、千切って味噌をつけたり、塩をかけたりしても食べます。きざんで味噌で和えてビニール袋にいれておくと、簡単な浅漬けになりますよ。季節の味を楽しむ食材としては、九州など南の土地で採れた早堀りのタケノコ。早堀りのほうが、アクが少なく料理にしやすいのです。水煮にして、炊き込みご飯、和え物にするほか、網焼きの焼きタケノコにして、オリーブオイルや山椒のソースをかけていただきます。

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