
世界が注目!日本が誇る発酵食品「坂元のくろず薩摩・天寿りんご黒酢360mlセット」
2025/06/23
米と麹から造られる「酢」は、日本の食文化を象徴する発酵食品の1つ。近年は、海外からも注目され、トップシェフたちも自身の料理に取り入れるようになりました。今回、編集長アッキーこと坂口明子の目に止まったのは、「坂元のくろず」。鹿児島県霧島市・福山で創業以来200年余り、酢の中でも取り分け栄養価が高いと言われる黒酢を伝統製法で造り続けている坂元醸造株式会社が手がける商品です。代表取締役社長の坂元昭宏氏に黒酢の歴史と商品の開発経緯を取材陣が伺いました。
―創業の経緯、沿革をお聞かせください。
坂元 弊社の工場がある霧島市福山の地では、1800年頃から米酢造りが行われていました。福山は年平均18.7℃と温暖で、発酵に適した気候であること、原料である水と米に恵まれた土地だったことで、酢造りが盛んに行われるようになったといわれています。弊社もこの時期に米酢造りを始めました。
福山の酢造りの最大の特徴は、屋外に並べた壺を使って仕込み、発酵させるということです。発酵に半年以上、さらに半年以上かけて熟成させるため、一般的な酢よりも色が濃くなります。また、熟成期間が長くなるほど色が濃くなっていく事から先代 坂元昭夫が1975年に「くろず(黒酢)」と命名しました。黒酢のシンボルとも言える壺は薩摩焼で、江戸時代後期薩摩藩内にはその窯元があったため、壺が手に入りやすいという利点がありました。

黒酢発祥の地、鹿児島県霧島市福山。
―現在も、福山町には多くの醸造元があるのですか?
坂元 第二次世界大戦前までは、町内に24軒あったようですが、戦中戦後にかけて原料となる米が手に入りづらくなったこと、さらに石油からできる安価な合成酢が広まったことから、ほとんどが廃業してしまいました。
そうしたなか、当時の当主だった私の祖父は、福山の黒酢造りの技術が失われてしまうのを恐れて、米の代わりにサツマイモを使って酢造りを続けました。ただ、先行きが見えないということで、祖父は父に「後を継がなくていい」と言っていたそうです。それで、父は医学部の薬学科に進み、薬剤師になって薬局を開業しました。
―ということは一度、御社の黒酢造りは途絶えてしまったのでしょうか。
坂元 いえ、祖父は黒酢造りを続け、技術もしっかり残してくれました。そして、父が開業した薬局が国立鹿児島病院に隣接していたことが、黒酢造りに大きな影響を与えたのです。
鹿児島病院には父の大学の先輩方が勤務されていて、父が薬局を開いたと知ると「何か手伝えることはないか」と言ってくださったんです。そこで、父は2つのことをお願いしました。
1つは、院外処方箋を出していただけないか、ということ。今では、病院での診察後、処方箋を持って薬局に行きますが、その当時は病院内の薬局で薬を出してもらっていたんです。ですから、院外処方箋を出すというのは前例がなかったのですが、先生方のご尽力のおかげで出していただけるようになりました。
もう1つは、黒酢は体にいいと地元ではずっと言われているので、患者さんに試していただけませんか、ということでした。実際、患者さんたちに黒酢を飲んでもらったところ、五十肩や糖尿病、高血圧などさまざまな病状に効果が表れ、先生方もびっくりされて。
それで、父も「黒酢には体にいい働きをする成分が入っている」と確信したようです。
―黒酢は、単なる調味料ではなく健康食品であると?
坂元 そうです。1973年から、近畿大学や九州大学など、さらに公的機関との共同研究を始めました。黒酢の成分を分析したところ、アミノ酸や有機酸などが通常の米酢よりも豊富に含まれ、様々な健康効果がある事が分かったのです。父は増産体制を整え、本格的に黒酢造りを行うようになりました。そして1975年、伝統製法による壺造り米酢を「くろず(黒酢)」と命名し、全国販売がスタートしました。

壺の中で発酵、熟成が進み、黒酢ができる。
―黒酢という名前は、そこから始まったのですか?
坂元 伝統製法の酢を、地元ではずっと「天然米酢」等と呼んでいたのです。それを健康食品として販売する際、商品名をつけようということになり、父が「うちの酢は時間が経つほど色が黒くなる」と言っていたので、じゃあ「黒酢」にしようと。当時の辞書には「黒酢」という言葉はなかったのでオリジナルな名称だったのですが、商標登録をしなかったので、今では「黒酢」は普通名詞になり、多くのメーカーさんが黒酢と称する商品を販売しています。それを考えると、商標登録しなかったことが黒酢の普及にはかえってよかったのかもしれません。現在、弊社では黒酢を「坂元のくろず」として販売しています。
―黒酢造りにおいて、こだわっていることは?
坂元 まず、環境です。弊社では、10か所の壺畑に約52,000本の壺を所有しています。伝統的な壺造り黒酢製法は、微生物あってこそ。そのため、壺畑には除草剤や洗剤を一切使用していません。
壺は、創業当初から薩摩焼の壺を使用してきました。陶器でできているため目に見えない小さな穴が開いていて、微生物が棲みやすく働きやすい環境なのです。200年ほど前から使っている壺が約1,000本、現役で頑張ってくれていますが、その他は薩摩焼をモデルに滋賀県の信楽焼で造られた壺を使用しています。
原料は、水と米と米麹。水は地下水を使い、米は鹿児島県産のうるち米にこだわり、一部を自社農園で黒酢造りに適した米を作っています。

毎日、約52,000本の壺の蓋を1本1本開け、
酢の色、香りを確かめ、壺に耳を当てて発酵の状況を判断する。
―製法については、いかがでしょう。
坂元 弊社では、蒸し米と米麹、地下水の3つのみを原料としています。仕込みは年2シーズン、4〜6月と9〜10月に行っています。
仕込みは、「仕込み」「糖化・アルコール発酵」「酢酸発酵」「熟成」の4工程。蒸し米と米麹、水を合わせた直後から、米麹が蒸し米のでんぷんを分解してブドウ糖に変え、ブドウ糖は酵母の働きでアルコールへと変わります。発酵と糖化は並行して進み、仕込みから1〜2か月かけて発酵が終わります。その後、酢酸菌の働きによってアルコールが酢の主成分である酢酸に変わります。
こうして、仕込みから約半年かけて酢ができるのですが、そのままでは黒酢にはなりません。弊社では、仕込んでから1年以上発酵熟成させたものを商品として出しています。

五感をフルに使い「黒酢の顔色を見ながら」育てていく。
醸造技師になるには、十数年はかかるという。

熟成期間によって、これだけ色が違う。
―御社の黒酢造りには「添加物は一切使われていない」と聞いています。
坂元 そうです。乳酸発酵とアルコール発酵で使われる乳酸菌と酵母に関しては、麹を作る施設があるのですが、そこに棲みついている乳酸菌や酵母が含まれた麹が壺の中に入ります。また、酢酸発酵に必要な酢酸菌は、壺の小さな穴にいっぱい棲みついています。それらが働いて酢となるので、添加物は必要ないのです。
―では、今回、ご紹介させていただく「坂元のくろず薩摩・天寿りんご黒酢360mlセット」についてお聞かせください。
坂元 通常、「坂元のくろず」は1年以上発酵熟成させたものですが、「坂元のくろず薩摩」はさらに長く、2年以上発酵熟成させたものです。酸味の角が取れ、さらにまろやかでコクのある深い味わいが特徴です。
「天寿りんご黒酢」は飲用タイプで、「坂元のくろず」をベースにガラクトオリゴ糖とりんご果汁をバランスよく配合。より飲みやすく仕上げた商品です。昨今、腸内環境が注目されていますが、この「天寿りんご黒酢」は、腸内のビフィズス菌を適正に増やし、おなかの調子を良好に保つ調味酢として、「特定保健用食品」の表示許可をいただいています。
いずれも定番人気商品で、今回ご紹介いただく「坂元のくろず薩摩・天寿りんご黒酢360㎖セット」は贈答用としてもご好評いただいています。

「坂元のくろず薩摩・天寿りんご黒酢360mlセット」。

2年以上発酵熟成させた「坂元のくろず薩摩」。

「天寿りんご黒酢」は、おなかに優しいガラクトオリゴ糖入り。
―おすすめのいただき方を教えてください。
坂元 私は毎朝、「坂元のくろず薩摩」30mlを夏は水、冬はお湯で薄めてグッと飲んでいますが、普段お飲みのスムージーや野菜ジュースなどに20〜30ml入れていただくと、より飲みやすく、毎日続けられるのではないでしょうか。
「天寿りんご黒酢」は水や炭酸水で割っていただくのはもちろん、牛乳で割るととろみが出て、飲むヨーグルト感覚で召し上がれます。
できれば、いろいろなお料理に使っていただくと健康維持につながりますし、黒酢を使うことでお料理の味もいっそう引き立ちます。また、黒酢6、醤油4の割合で混ぜて点心のタレにするとさっぱり食べられますし、お刺身のつけ醤油にしても旨みが増して、おすすめです。また、お客様におすすめいただいたのが、納豆に黒酢をたっぷりかける食べ方。意外な取り合わせですが、納豆に旨みと甘みが増して、私も大好きです。

無糖ヨーグルトと牛乳または豆乳、バナナ、冷凍ブルーベリー、
ハチミツで作ったスムージーに「坂元のくろず」に加えて。
―黒酢は、健康維持につながるだけでなく料理をおいしくしてくれるなんて、うれしい限りです。
坂元 お客様からも「健康のためにずっと使い続けている」というお声をたくさん頂戴しています。また、「天寿りんご黒酢」は黒酢のよさにガラクトオリゴ糖のよさも加わって、お通じもよくなるんですね。薬を飲みたくない、とくに妊婦さんには喜んでいただいています。大手化粧品メーカーさんも注目の「D-アミノ酸」も黒酢にはたっぷり入っています。ぜひ、毎日の食卓に黒酢を取り入れていただくことをおすすめします。

これからの季節にぴったりな「黒酢ピクルス」。
好みの野菜に塩をして10分程度置き、坂元のくろず+水+砂糖+塩に漬けるだけ。
酢の作用で野菜の色も鮮やか!

いつものポテトサラダに「天寿りんご黒酢」を加えると、
コクがありつつもあっさりとした味わいに。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
坂元 製法については江戸時代からの伝統を守り続けていますが、発酵のメカニズムだったり、まだまだ知られていない黒酢の機能性だったりを今の最新の科学で研究しています。非常によい結果がいろいろ出てきていますので、皆様の健康をお守りするということを使命として、研究開発を続けていきたいと思っています。
何と言いましても、黒酢を普段の生活に取り入れていただきたい。そのために「KurozuFarm」というブランドを立ち上げ、ドリンクやドレッシング、調味料といった商品の開発にも力を入れていきます。
坂元のくろずは、2006年には「本場の本物」に全国第一号で認定、さらに2015年には鹿児島の壺造り黒酢として「地理的表示(GI)保護制度」に全国第一弾で登録されました。ほかにも様々な公的機関のお墨付きを得ており、日本を代表する伝統食品となっております。
健康志向の高まりから、海外でも黒酢が注目され始めています。ハワイや台湾、シンガポール、香港などには輸出していますが、海外の方たちにもっともっと黒酢を使っていただけるよう対策を考えているところです。
弊社では、黒酢についてより多くの方に知っていただきたいと、1998年に「くろず情報館 阿萬屋」をオープン、2006年にはそれを「くろず情報館 壺畑」として拡大リニューアルオープンしましたが、今年「黒酢ガーデン壺畑 SHOP&RESTAURANT」として再リニューアルしました。レストランでは、黒酢を使用した体に優しい料理をご用意しています。鹿児島は全国屈指の農業県。弊社の黒酢だけでなく、鹿児島の農産、畜産、漁業などと連携して、鹿児島そのものを全国に、世界にアピールしていきたいと考えています。
―黒酢から、どんどん世界が広がりますね。素晴らしいお話をありがとうございました。

「坂元のくろず薩摩・天寿りんご黒酢360mlセット」
価格:¥3,350(税込)
店名:坂元醸造 黒酢ガーデン壺畑 SHOP&RESTAURANT
電話:0120-707-380(8:00~17:00 年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kurozu.co.jp/products/giftj-830
オンラインショップ:https://www.kurozu.co.jp/pages/onlineshop
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
坂元昭宏(坂元醸造株式会社 代表取締役社長)
1959年生まれ。1983年一橋大学商学部卒業。1986年ハートフォード大学経営大学院修士課程修了(MBA取得)。民間企業で3年間の期間を経て1989年に坂元醸造株式会社に入社。2003年に代表取締役社長に就任、現在に至る。
<文/鈴木裕子 MC/田中香花 画像協力/坂元醸造>