食を通して心身ともに回復を。「盛岡冷麺スペシャル2食ギフト」への思い

2024/02/26

盛岡冷麺は、1954年に盛岡の麺職人・青木輝人氏によって誕生しました。現在はわんこそば、じゃじゃ麺と並ぶ「盛岡三大麺」と呼ばれ、親しまれています。岩手県盛岡市には、盛岡冷麺を全国にお届けしようと奮闘している会社があります。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった株式会社中原商店 代表取締役の邉龍雄氏に、取材陣が伺いました。

株式会社中原商店 代表取締役 邉龍雄氏
株式会社中原商店 代表取締役の邉龍雄氏

―中原商店を始められた経緯をお聞かせください。

 学生時代は都内で税務会計の勉強をしていました。ところが、父が難病で倒れてしまい、盛岡市の実家に帰って父がやっていた鉄スクラップ加工処理業を引き継ぐことになりました。その後、廃品回収業は国から不況業種と指定されたので、行政の支援を受けて外食産業に事業転換しました。岩手県で事業転換制度を適用した初めての企業でしたね。

―異業種から外食産業へ。不安はありましたか?

 もちろん、最初は不安もありましたが、レストランの本質を理解してからは、一生できる仕事だなと思うようになったんです。レストランの語源はラテン語で「レスタ・ウラーレ」といって「回復、取り戻す」という意味があります。18世紀後半、パリの街で人々の気力と体力を「回復させる」ためのスープを作り、店頭で売り始めたシェフがいました。入口の上にブイヨン・レストラン(体力を回復させるスープ)と書いた看板を掲げ、新訳聖書の一部をもじってラテン語で口上書きまで添えて、≪ここでは魔法のスープ「ブイヨン・レストラン」を売っています≫とも書いていたらしいです。
その後、まもなくスープの名称【RESTAURANT】は旅人達が立ち寄る軽食堂を意味するようになり、フランス革命後に普通名詞化し、次第に今日の形態のレストランに変化・定着したことから、元々はスープの名前だったラテン語のレスタウラーレがレストランの語源とされています。

レストランは食を通して回復することだけでなく、アートの世界にもつながっています。例えば、食器なら陶芸、空間なら建築デザインの世界というように、それらも含めて心の回復につながると思うんですよ。だから、内装も落ち着く雰囲気にして、食べるだけではなくて、食べる場所を一つの器にする。そう思ってレストランをオープンさせました。

ただ、自分には調理技術や知識がなかったので、37歳のときに調理師学校に入って約2年間かけて基本的な技術を身につけ、オープンしてからも都内の韓国料理の先生について勉強していました。

―オープン当初の反響はいかがでしたか?

 1号店がオープンしたときは「焼き肉屋らしくない、フレンチでもイタリアンでも通じるような店だね」とよく言われました。焼肉と冷麺を提供していますが、やっていることは回復する場所=レストランの経営だと意識しています。これが基本理念にあります。

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ぴょんぴょん舎 稲荷町本店・外観。

―冷麺に着目された理由は?

 私は在日韓国人なので、冷麺はふるさとの料理です。幼い頃から身近にある、韓国料理を使った外食産業をやるのが一番合うだろうと思いました。

オープン当時は、わんこそば、じゃじゃ麺、冷麺の3つが盛岡三大麺と言われ始めた時期で、「盛岡はこれからは冷麺だ!」というムードがすでにできあがっていました。そのタイミングがよかったのかもしれません。

―「盛岡冷麺」として認められるようになった経緯は?

 最初にメニューに「盛岡冷麺」と載せたのは私ですが、その前の段階で「これを盛岡冷麺にしよう」と言ったのは行政や市民の人です。また、盛岡冷麺の発祥は「食道園」というレストランです。当社はそこの冷麺をさらに改善して、食べやすくアレンジしました。

「盛岡冷麺」と呼んでいいのか考えたこともありますが、結果的にそれでいいと思っています。文化は人が運んできて根付くものですから、一言で冷麺といっても、平壌冷麺もあればソウル冷麺、ロシア冷麺もあります。例えば、朝鮮半島からロシアやウズベキスタンに移動した人が、昔を思い出しながら、自分の故郷の冷麺を再現するんです。すると、その地域の素材や風土によって本来のものとは少し違うものができあがります。それが盛岡冷麺です。

盛岡冷麺の原型は平壌冷麺でしたが、最初は不評だったそうです。そこからお客さんの反応を見て改善していくうちに、現在の形ができあがり、みんなに支持されて盛岡市の文化として根付きました。

ぴょんぴょん舎の冷麺。

―盛岡冷麺が広まったきっかけは何でしょうか?

 お土産用の商品を作ったことで、全国に広まるようになりました。レストランで食べた人が周りに広めてくれるんですよ。初めて食べる人はびっくりしてくれます。「おいしかった」という生の声が一番宣伝効果になるんだなと実感しました。あとは、テレビ番組に取り上げられたりしたことも良いきっかけになったと思います。

―「盛岡冷麺スペシャル2食ギフトセット」の特徴は?

 このセットは、お客様からの「お店の味を自宅でも楽しみたい」というお声をもとに作りました。麺とスープ、キムチに加え、トッピングのきゅうりやお肉、卵も全部入っています。レストランでは冬場は梨、夏場はスイカを乗せていますが、この商品にはその果物が入っていないだけで、レストランで提供しているものとほとんど同じです。

ゆでたまごやきゅうりなど全て自社製造しており結構手間ひまかかる商品ではありますが、おそらくそこが受けていると思います。大手だと、一度に大量生産しなければならないので、手間をかけられません。賞味期限を長く持たせるために、保存料などを使って劣化しないようにするしかありません。そう言う意味では、当社の商品はお客さんにおいしくて体にいいものを届けられていると思います。贈り物にも評判がいいです。

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「盛岡冷麺スペシャル2食ギフトセット」のトッピング。

―特にこだわられたのは?

 スープには相当力を入れていて、10時間煮込んだものをお届けしています。これはお店で出すものとまったく同じです。お客様からも「スープがおいしい」とよく言われます。スープは腐敗しやすいですが、加熱殺菌することによって日持ちするのです。

―自宅での調理のコツを教えてください。

 一番のポイントは麺の茹で加減。コシを出すために冷水でしめるのですが、そこで氷水を使ってほしいです。表示通りに茹でれば基本的にはおいしくできますが、初めて作る人は失敗する可能性が否めません。そこを改善する方法がないか、今後さらに探っていきたいと思います。また、冷麺はデンプン質が多く、すぐにのびてしまう性質があるので、完成したら時間をおかずに早く召し上がってほしいと思います。

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―おすすめのアレンジ方法はありますか?

 例えば、ドレッシングであえたサラダを乗せて、サラダ冷麺にするのがおすすめです。ドレッシングはできれば醤油ベースのものが良いと思います。また、お肉を焼肉用にしてみたり、メロンをのせてみたり、トッピングを自由に変えてみてほしいです。ほかにも、つけ麺風に食べるのもありです。自宅で焼肉のシメに食べるなら、何人かでシェアして食べるのも良いと思います。みなさんにもいいアレンジアイデアがあったら教えてほしいです。

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ドレッシングで和えた生野菜をたっぷり乗せて、ヘルシーな味わいに。

―EC事業での取り組みは?

 当社は受注発注しているので、廃棄が出ることがありません。スープだけはストックできますが、その他はすべて注文を受けてから製造しています。レストランで出しているものと同じものを、当社の工場で作っています。だから在庫を抱えることはないし、なおかつ新鮮です。保存添加物も極力つかっていないので、体にもいい。「回復を取り戻す」という食の本質を捉えています。あえて難点をあげるとしたら、時々在庫切れを起こすくらいです。

また、冷麺はやはり夏場がメインなので、冬になってくると需要が下がってきます。そこをカバーするために、三大温麺や桑の葉冷麺といった商品を開発しました。冷麺に限らず、他の商品もぜひ試していただきたいと思います。

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『三大温麺』6食ギフトセット。

―2023年4月には、新店舗を出店されました。今後は全国展開も?

 考えた時期もありますが、今の日本の経済環境などを踏まえて考えると、どんどん増やしていくことが必ずしもいいとは限らないと思っています。また、盛岡冷麺は地域性が強いので、「ここに行かなきゃ食べられない」というご当地感があってもいいような気もしています。それに、当社は麺はその場で生地を練って、ボイルして、盛り付けているので、全国展開して行くのは難しい。だから、レストランをどんどん増やすというよりは、メーカーとしていいものを各家庭に届けるために戦略的に考えていきたいです。将来的にはレストラン事業とEC事業を両方同じくらいのレベルでやっていきたいと思っています。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「盛岡冷麺スペシャル2食ギフトセット」
価格:¥1,404(税込)
店名:焼肉・冷麺 ぴょんぴょん舎オンラインショップ
電話:0120-470-473(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://www.pyonpyonsya.com/fs/pyonpyon/reimen/reimen016
オンラインショップ:http://www.pyonpyonsya.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
邉龍雄(株式会社中原商店 代表取締役)

1948年生まれ。資源回収問屋である家業の手伝いをしつつ富士大学付属経理専門学校に通う。1971年には富士短期大学に入学。さらに、1973年には大原簿記専門学校にて、税理士試験認定科目中3科目に合格。その後4年以上、信用組合岩手商銀で働き、鉄・スクラップ加工処理業に変わった家業の手伝いを再び開始し、1983年に中原商店を法人化。1985年に代表取締役に就任、1987年にぴょんぴょん舎を開業し、現在に至る。

<文・撮影/坂本彩 MC/白水斗真 画像協力/中原商店>

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