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化粧品業界をざわつかせている化粧筆のヒット商品で、すばやくきれいなベースメーク作り。

2023/01/25

最近、メークグッズ界隈でブレイク中の化粧筆があると聞いて早速試してみたアッキーこと坂口明子編集長。その使い心地と仕上がりの美しさにぞっこんです。話題の化粧筆の開発秘話を株式会社ウエダ美粧堂 代表取締役の植田嘉孝氏に取材スタッフが伺いました。

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株式会社ウエダ美粧堂 代表取締役の植田嘉孝氏

―今年で創業77年とか。

植田 そうです。私の祖父である植田竹一が1945年に大阪で原毛加工販売業を始めたのが当社の始まりです。1970年に私の父、植田孝が原毛加工に加えてブラシ原毛の輸入販売を始め、画筆、書道用筆の製造販売をしました。私は3代目で2007年に代表取締役に就任しましたが、2014年に株式会社ウエダ美粧堂に社名を変更し、化粧筆に特化して製品開発、製造販売をするようになりました。今でも当社は日本唯一の原毛輸入加工会社として熊野筆メーカーなどに原毛を提供しています。

―なぜ、化粧筆に特化したのでしょう。

植田 パソコンの普及によって毛筆や画筆を使う人が減っているのが世界的な傾向です。それに比べて化粧筆はマーケットが大きく、世界中に通じるのは化粧筆しかないな、ここを真剣にやれば生き残れると考えました。以前から現在に至るまで大手化粧品会社などからの受注生産という形で製造をしていますが、社名変更と同時に自社ブランド「BISYODO」を立ち上げました。当社の技術を最大限に生かした満足できる製品をお客様に直接お届けしたいと思ったからです。

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化粧筆はすべて手作業で行われる。
上は、穂先の形状を山形に作った後、糸でくくって固定する「糸くくり」の工程。

―御社の化粧筆はどのような工程で製造されているのでしょうか。

植田 まず原毛を見極めて仕入れます。原毛には動物の毛の天然原毛と、合成繊維製の人工毛があります。次に原毛のなめらかさ、コシ、まとまりを引き出すように精毛します。その後で穂先を作っていくのですが、当社では毛先をカットせずに自然のまま束ねる方法を採用しています。このために筆の先が肌に柔らかくあたる極上の使い心地が実現しています。細かく密度の高い毛が化粧品をよく肌にのせ、メーク効果を高めます。時代が変わっても、化粧筆の製造工程はすべて手作業です。当社では約30人の職人が熟練の技で1つひとつ手作りしています。

―化粧筆は奥の深いモノづくりの世界なのですね。

植田 化粧筆の技術は化粧の歴史の長いイタリア、ドイツ、イギリスなどのヨーロッパ各国で培われてきましたが、最近では中国を中心に日本、韓国で製造されています。その中で日本の化粧筆は、量産型とは一線を画し、化粧をきれいに仕上げるための技術を奥深くまでつきつめ、時間をかけて作り込んだ製品づくりがされています。化粧を細かい部分まできれいに、そしてすばやく仕上げることができるのが日本製化粧筆ですね。

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「タッピングコンシーラーブラシ」。
先が丸くなっていて肌にあてても痛くなく、優しく肌になじむ。
毛丈は13㎜。トントンとタップするだけで肌の気になる部分に確実にアプローチする。

―御社の多くの製品の中で、最近のヒット商品が「タッピングコンシーラーブラシ」ですね。

植田 はい。当社はお客様の声を聞き、要望に応える形で製品開発を行っています。また、日々お客様と接している販売店の美容部員さんから伺うお話を製品づくりに生かしています。この商品は「コンシーラーをつけるときに使いやすいものがなかなかない」というご意見を聞いて開発した製品です。

原料は合成繊維で、最近は天然毛のキューティクルを模した凹凸が表面に加工された良質の人工毛が作られるようになっていてその特性がこの製品に生きています。毛先を肌に持っていってトントンと当てる分、お肌を傷めないよう精毛をていねいに行いました。毛先が広く、お顔の気になる部分にタッピングするようにコンシーラーをのせるだけで、すばやくクマ、色ムラ、毛穴がカバーできます。毛の密度が高いので使用感がよいのも特徴です。・・・と言ってますが、実は男の私は化粧をしませんから使用感については細かい部分はよくわかってないのですけれどもね(笑)。

発売した瞬間からよく売れて、お客様からの評判もよく、現在に至るまでヒット商品になっています。まさかこんなに売れるとは思わなかったというのが正直なところですね(笑)。

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「リキッドファンデーションブラシ (丸平)」。
毛質が違う黒面と白面でリキッドファンデーションをムラなく伸ばす。
細かい密な原毛はベルベットのようななめらかな感触と評判。
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化粧筆はケアが大変と思われがちだが意外と簡単。
使用後は筆に残った化粧品をティッシュ等で拭きとる。
汚れがひどいときはぬるま湯で浸し中性洗剤で洗って陰干しする。

―「リキッドファンデーションブラシ (丸平)」もヒット商品ですね。

植田 そうです。これは業界初のリキッドファンデーションブラシとして誕生しました。ファンデーションをお顔にのせたときの刷毛目をなくしたいという要望があり開発しました。2色の合成繊維製の原毛を使っていて、最初に黒い面でお顔にリキッドを伸ばしますが、こちらの面は表面がつるつるしていて少量のファンデーションでもよく伸びます。その次に白い面で押さえます。こちらはキューティクルが再現されている繊維なので、ファンデーションの余分な油分を吸い取り、リキッドが均一に刷毛目なく肌になじみます。2つの面を使うことでムラになったり厚塗りした感じになったりせず、自然な肌に仕上がります。この商品も売り出しと同時に人気になり、「2018年度グッドデザイン賞」を受賞しました。

―すばらしいですね。コロナ禍では化粧品業界は苦戦を強いられました。御社もご苦労したのでは?

植田 いや、それがコロナ禍で自社ブランドの売り上げがグンと伸びたのですよ。確かに皆さんマスク生活を送っていらしたので、さすがにリップブラシの売り上げは落ちましたが、アイメーク用品の需要は落ちませんでした。

また、コロナで時間ができた分、オンライン販売に力を入れ、サイトを充実させて、使い方動画を作成したりしたためか、オンラインでの注文が増えました。「タッピングコンシーラーブラシ」もコロナ禍の中での発売開始でしたし。当社は全国の化粧品販売店約350店舗とお取引がありますが、各販売店の美容部員の方も時間ができたせいか、独自で当社製品の使い方動画を作成してくださり、どんどんYouTubeにアップしてくださいました。そこから知ってくださる方も多かったようです。「なんでこんなに注文が来るのかな」と不審に思ったほどです。運がよかったですね(笑)。

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黒いシックな紙製の箱に入れられて届けられる化粧筆。
軸はアフリカンローズウッド製、口金には真鍮に純金メッキが施された高級感溢れる仕様になっていて、
贈り物にもぴったり。

―それも製品への信頼があってこそですね。最後に消費者の方へのメッセージをお伺いしたいです。

植田 化粧品を使うときの用品はスポンジ、化粧筆を使う方、直接指で伸ばす方など、いろいろいらっしゃると思います。以前にあまり品質のよくない化粧筆をお使いになったせいで、よい印象を持っていらっしゃらない方がいるかと思いますが、そんな方はぜひ1度、当社の化粧筆を使っていただきたいと思います。お化粧ののりが格段によくなり、簡単にナチュラルな美肌に仕上がること間違いありません。

今はヨーロッパなど世界各国から「品質のよいものが欲しい」と当社の製品の購入依頼があり、まだまだ良質の化粧筆の需要はあると思っています。今後も化粧筆に真剣に向き合い、より簡単できれいに仕上がる製品を作り、“化粧筆を使ってメークアップする文化”を広めていきたいと思っています。

―本日は有意義なお話をありがとうございました。

ウエダ美粧堂_商品1

「タッピングコンシーラーブラシ」
価格:¥5,280(税込)
店名:ウエダ美粧堂
電話:072-948-1034
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.cosme-bisyodo.com/product/bisyodo_l/b_tc_01.html
オンラインショップ:https://www.cosme-bisyodo.com/product/index.html

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「リキッドファンデーションブラシ (丸平)」
価格:¥5,280(税込)
店名:ウエダ美粧堂
電話:072-948-1034
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.cosme-bisyodo.com/product/bisyodo_l/b_lf_01.html
オンラインショップ:https://www.cosme-bisyodo.com/product/index.html

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
植田嘉孝(株式会社ウエダ美粧堂 代表取締役)

1969年大阪生まれ。2007年株式会社ウエダ美粧堂代表取締役就任。2014年自社ブランド「BISYODO」を立ち上げる。2017年「ふるさと納税」の八尾市記念品に選出される。2018年  「関西ものづくり新撰」「グッドデザイン賞」認定。

<文・撮影/今津朋子 MC/柴田阿実 画像協力/ウエダ美粧堂>

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