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乾杯に食中に。日本酒好きにも「通!」と喜ばれる1本

2024/12/27

年末年始、そして春に向かうにつれ、日本酒を味わう機会、味わいたいと思う方も増えるのでは?今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、全国各地の日本酒を紹介する通販サイト「日本酒専門店 佐野屋 JIZAKE.COM」で販売されている「作(ざく)雅乃智(みやびのとも)中取り 純米大吟醸」。数ある日本酒の中からこちらをセレクトしていただいた理由、またおすすめの味わい方を、サイトの運営元である株式会社クラビシュ 代表取締役社長の佐野吾郎氏に取材陣が伺いました。

佐野社長はもともとソフトウェアの開発会社にお勤めだったとのこと。

佐野 そうですね。物心ついた頃からソフトウェアをプログラミングすることが好きでしたので、プログラマーになってソフトウェアの開発ができたらと思っていました。正直に言うと、酒屋を継ぎたくなかったからなのですが(笑)。

家業に入られた経緯は?

佐野 僕が高校生の頃のソフトウェアは、職人のような人が1人で開発するものも多かったんです。ですが社会で働くようになると完全に分業制で、複数のプロジェクトを組み、パーツを作っていく。そういった開発をしながら、「僕のやりたかったものはこれじゃないかも」と考えるようになりました。

自分で1つのソフトウェアを作ることも考えたのですが、費用もかかりますし大変で、現実に直面したんですね。そんな矢先に父が倒れたんです。それで東京の会社を辞めて地元に戻りました。ただその頃は、まず家業を手伝って、父が元気になったら大阪で再びソフトウェアの仕事に就けばいいと思っていました。

でも、そのまま家業で仕事を続けられたと。

佐野 酒屋の仕事、いいかもと思う瞬間が出てきたんです。ソフトウェア開発は開発が終わるまでが仕事。一方酒屋には毎日閉店時間があって、強制的に仕事をストップできる。「これがまともな人間の暮らしなのか」と思うようになりました(笑)。

日本酒は昔からお好きだったのですか?

佐野 いえ、実は全く興味がありませんで…。たまたま親戚の家でおいしい日本酒に出会って、「こんな日本酒があったのか!」と。しかもそれが、地元の日本酒で、例えば新潟とか秋田とか、遠くの名酒蔵が技術をもって造ったもの、とか言われたりしたらそんな気にならなかったと思うのですが、近所でこんなすごいものが造れるんだと。そこから俄然気になるようになりました。

御社の沿革についても伺えますか?

佐野 父が酒販免許を取得して「佐野屋」を創業したのが1959年ですね。そしてホームページの開設が1996年、1998年にドメインを取得し、1999年に日本オンラインショップ大賞でベストEC賞を受賞しました。これが弊社の大きな転機ですね。現在はネットショップが主流となっています。

―通販を始められたタイミングがかなり早いですよね。

佐野 1996年でした。その1年後に楽天ができたくらいの時期です。ここはやはり、私の前職の経験が生きています。通販のシステムも、まずはフォームのようなものを作って、その後、カートを作って。同じように通販サイトを始めた仲間がいたので彼らとも積極的に意見交換をしていました。当時はショップサーバーもない時代でしたので、自分たちでプログラミングしてやっていましたね。

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何度かリニューアルを行ったというウェブサイト。

美しい写真と見やすいデザインで、日本酒の検索もしやすい。

直接取引はいつ頃から始められたのですか?

佐野 私が会社を継いだ頃、酒業界には直接取引のシステムがほとんどありませんでした。日本酒の情報も、日本酒類販売さんや問屋さんから仕入れるものでした。でもその中で、他店と差別化を図るには直接取引だと。ただ、どこの酒蔵、どんなお酒でもいいという訳ではなく、全国に通じる酒造りをしているかを重視したいと思いました。酒造りの技術は日々変わっていきますが、その中でちゃんと勉強して追いついて追い越して、自分のものにして、「全国市場で戦っていける酒を造りたい」という意識を持っているか、そんな志を持つ酒蔵さんを見つけてお取引ができたらと思ってました。

―どのようにお取引先と繋がって行ったのでしょうか?

佐野 僕が酒屋の跡継ぎだったように、全国の酒蔵にも跡継ぎがいます。つまり同じような立場の仲間ですね。そうなると非常に話がしやすい。いきなり年長の酒蔵当主に話をするよりも、コミュニケーションがとりやすかったんです。なので彼らと色々と情報を交換し、コネクションを広げていきました。

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ウェブサイトには日本酒ごとに丁寧な解説が添えられている。

中には佐野社長自身の文章で紹介してあるものも。

ご苦労などはありましたか?

佐野 弊社も父が個人商店から始めた小さな店でしたので、ネット通販で取り扱い数が増えても倉庫が不足していました。貴重なお酒はすぐに売り切れますので、スペースがあればもっとたくさん仕入れることができるのにと。それで、静岡に倉庫を移転し、発送効率を上げ、より多く出荷できるようになりました。2016年の時点で、日本酒の販売本数は190,171リットル、1,000石を超えるまでになっています。

今回ご紹介いただいた「作 雅乃智(みやびのとも)中取り 純米大吟醸」はどんな日本酒でしょうか。

佐野 三重県鈴鹿市の清水清三郎商店という、明治時代からの酒蔵が造っている日本酒で、弊社のラインナップでも売上トップ3に位置しています。清水清三郎商店は、ずっとベテランの能登杜氏を雇用してきて、食中酒、昔ながらの日本酒を造ってきた酒蔵さんなのですが、最近は新しい、今の若い方にも好まれるような味わいのお酒も作っており、同社の「作(ざく)」シリーズの中でも、この「雅乃智(みやびのとも)中取り 純米大吟醸」は一番人気です。グラスに注いだだけでも華やかな吟醸香が漂うのですが、一口含むと、その香りが口の中に広がります。さらに甘味やコクもしっかり感じられ、中盤からは純米酒ならではの酸味も楽しめます。

これはもう、飲んでいただいたら分かるのですが、日本酒を飲んだことがない人でも飲んで「おいしい!」「これは飲める!」というタイプのお酒です。実は、「純米大吟醸の中取り」と言われるランクのお酒は、豪華な化粧箱に入って一升瓶で1本1万円くらいするのが一般的なのですが、こちらは蔵元の意向で無駄な装飾を省き、お求めやすい価格で販売できているのも魅力です。弊社の通販でもすごい勢いで売れています。

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すきやきなどにも合う、圧倒的な華やかさと存在感。

皆が集まる場でぜひ披露したい1本。

―佐野社長のおすすめの味わい方を伺えますか。

佐野 冷やして飲むことをおすすめしたいのですが、冷蔵庫から出した直後に瓶についた水滴がちょっと乾き出した頃、それぐらいがベストです。冷蔵庫から出した直後もキンと冷えていて透明感が増してきれいな味が楽しめるんですけれども、そこからちょっと温度が戻ってくると、酒のよい味わいが出てくるので、私はそこが一番おいしいと感じます。少しずつ酒の味が膨らむというか、粒が濃くなってくるので、その違いを楽しんでいただきたいですね。乾杯のお酒としても、食中酒としてもおすすめできる1本です。

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冷蔵庫から出し、少し時間を置くと、瓶表面の水滴が少しずつ乾いてくる。

これが佐野社長のおすすめの飲み時。

―どんな方に求められていますか?

佐野 野球好きの方で例えると、メジャーな選手の良さをわかった上で、知る人ぞ知る選手も発掘したい、というような方、通な方と言うんですかね。そういう方々に選ばれている気がしますね。また最近は、海外の方にも人気で注文が入ります。海外の方にとっても受け入れやすい日本酒の味わいなんだと思います。

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2023年8月、ホノルルのハワイ・コンベンション・センターで開催された

「US National Sake Appraisal 全米日本酒歓評会2023」

大吟醸B部門では金賞を受賞した。

今後の展望についても聞かせてください。

佐野 今、日本酒の市場にはとても閉塞感があるんです。どういうことかというと、日本酒好きな人、日本酒ファンの方に支えられている状態で、そこに対して、全国の酒蔵があの手この手で商品を出している状況ですね。そうすると、どんどん奇抜になってくるんです。例えば限定品ばかりを造っていく。限定品って売れるんです。その一方で、定番商品が売れなくなる。酒のネーミングについても同様で、奇抜なものばかりで顔が見えない。ラベルを見ても、どこの蔵のお酒か分からない。そういった現象が起きているのです。

そんな状況を回避するにはどうすればいいかというと、やはり新しい日本酒ファンの層を広げて、市場を拡大して行くことなんですね。かつての私のように、日本酒にあまり興味がなかったり、飲む機会のなかった人たちに、「こんなにもおいしいものがあるんだよ」と伝えるための策を考えていきたいと思っています。

弊社としては、店づくりをもっと充実させていきたいですね。例えば、雑貨屋など、他業界の店づくりからも学んでいって、日本酒の売り上げ拡大に繋げていけたらと思っています。

―貴重なお話をありがとうございました!

作 雅乃智(みやびのとも)中取り 純米大吟醸

「作 雅乃智(みやびのとも)中取り 純米大吟醸」(750ml / 1,800ml)
価格:750ml ¥2,640(税込)/ 1,800ml ¥5,280(税込)
店名:佐野屋 – JIZAKE.com –
電話:072-840-2990(月~金10:00~16:00 / 土曜12:00〜14:00)
定休日:日曜、祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.jizake.com/c/sake/zaku/ns030012c00
オンラインショップ:https://www.jizake.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

佐野吾郎(株式会社クラビシュ 代表取締役社長)
1966年生まれ。専門学校卒業後、ソフトウェアの開発会社に勤務。1991年に父が病気で倒れたことを機に会社を辞め、一時的に家業へ。1996年4月に自作のホームページを開設。2007年に創業者佐野昭吾の死去により、通販可能な酒類販売免許を相続。2012年社名を「株式会社クラビシュ」と改め、法人化。2016年日本酒の販売本数は190,171リットル、1,000石を超える。

<文・撮影/鹿田吏子 MC/田中香花 画像協力/クラビシュ>

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