精米歩合「7%」と聞いて驚く人もいるかもしれません。今回、編集長のアッキ―こと坂口明子が注目したのは、磨き抜かれた日本酒として世界にメッセージを発信する純米大吟醸酒です。高精米への限界に挑戦し、マイナス5℃で保管・熟成するこだわりが、ほかと垣根を分ける独自の世界観を創造しています。
日本酒への信念と貢献度をみた王子認定協会から「日本酒王子」として認定された株式会社さくら酒店 代表取締役社長の近藤悠一氏に、商品の特徴や日本酒について取材陣がお話をうかがいました。
世界へ!マイナス5℃熟成の極み酒「残響 超特選 純米大吟醸」と「雨後の月 䨩 RAY 純米大吟醸」
2024/09/12
株式会社さくら酒店 代表取締役社長の近藤悠一氏
―日本酒に関わることになったきっかけを教えてください。
近藤 学生時代にお酒の組合が運営していた金沢市内のアンテナショップに、私とともに親友で現在共同代表の駒澤がアルバイトをしていたのが日本酒との最初の出会いです。
100種類の地酒があったのでお酒を学ぶにはこれ以上ない環境でした。飲酒が好きだったこともあり、それぞれの特徴と味わいを知り、ただ酔うためではなく味わって楽しむことを知りました。
それだけでなく、蔵元の方が時々手伝いに来られて、そうした方から日本酒造りにおける哲学や信念を聞けたのはとても貴重な経験でした。
―大学を出てすぐに酒類業界へ?
近藤 いいえ。日本酒をメインにした事業や酒店をゆくゆくは起業しようと、大学卒業前に駒澤と計画しています。目標を10年後にして、そのうち3年間は日本酒以外のところでお互いに勉強したほうがいいだろうと考えました。
そこで大阪の日本酒専門企業に入社する前、大学卒業直後は「なにをするにしても営業力が必要だろう」と、一番ハードだと思った商品先物取引の営業マンとして名古屋で3年間勤めました。
世界各国の風土や料理に合う日本酒の開発を行う。
日本酒に詳しい現地の輸入企業と手を結び、
酒蔵からお客様に届けるまで冷蔵流通を徹底している。
―創業時から海外への意識が強かったのですか?
近藤 はい。大学時代のアメリカ留学中、日本酒を飲んだときにかなり品質が劣化したものだったため、初めて飲む人に「日本酒ってこんな味なのか」と思われるのがすごく嫌だった経験があります。
蔵元が造って意図した本来の味わいとかけ離れていると感じ、この現状を変えていきたい思いがありました。クオリティの高い日本酒を知ってもらうために、事業を興したときから海外輸出に力を入れています。
―ショップ名「マイナス5℃の酒屋「零下 -REIKA-」」マイナス5℃の趣旨を教えてください。
近藤 生鮮食品や飲料は低温で管理することによって劣化が抑えられるという科学的なエビデンスがあります。特に管理においては積算温度という考え方があり、たとえば1日の平均気温が25℃なら1日に25という数字が積み重なり、10日経つと累計250℃です。
マイナス5℃であればゆっくりしっかりと熟成が進み、フレッシュさを残しながらも徐々に丸みが出てきます。私たちの商品をマイナスの温度帯で保存する狙いはそこにあるのです。
パンフレットと一緒に同封する、酒造好適米を93%削った精米歩合7%のサンプル。
雑味をすべて取り除く丁寧な作業によって実現する。
―今回の「残響 超特選 純米大吟醸 Super7 2023」の特徴はいかがでしょうか。
近藤 精米技術の非常に優れた新澤醸造店さん(宮城県)で、契約栽培米の「蔵の華(くらのはな)」を350時間かけて精米歩合7%まで磨き、酒造技術の限界に挑戦している点が大きな特徴です。
7%まで磨いたお酒なので、できるだけお米の芯を味わってほしいという思いから、香りは控えめにした穏やかな食中酒タイプの純米大吟醸といえます。
味わいは非常に透明感のある爽やかな口当たりとキレの良さが特長です。香りは控えめながらも洋梨や白葡萄のようなフルーティーさが感じられます。大きなワイングラスに香りを閉じ込めて、穏やかに吟醸香を楽しんでいただくお酒だと思います。
MONACO SAKE AWARD 2023【マリアージュ賞】
純米大吟醸・大吟醸部門【金賞】をはじめ、
世界のコンテストで数多くの受賞歴を誇る。
―「雨後の月 䨩 RAY 純米大吟醸」の特徴をお聞かせください。
近藤 こちらは残響ともつながりがあるもので、新澤醸造店さんのアドバイスによって最高級の兵庫県産山田錦を新澤醸造店さんの関連会社が7%まで磨き、相原酒造さん(広島県)で造られました。
前者と比べて香りがやや華やかでありながら、まろやかさや柔らかさを感じる味わいです。非常に上品な酸味と甘みが口の中に絶妙に駆け抜ける感覚を楽しんでいただけると思います。
どちらの商品も普段飲みのお酒というより、お祝い事や贈答用などハレの日に飲んでいただくお酒として十分に役割を果たすと考えています。
「雨あがりの空に、冴え冴えと光輝く月が周りを明るく照らす」
美しく澄んだお酒を造りたいと、2代目蔵元の相原格が命名。
―今後の目標をお聞かせください。
近藤 現在でも19の国と地域に輸出を手がけていますが、これからもさらに多くの国に拡張し、日本酒ファンを世界中に広げていきたいと思います。
来日するインバウンドのお客様を日本酒の酒蔵にお連れしたり、マリアージュ会という形で日本酒と料理を楽しんでいただく会も開催したりと、世界に向けて日本酒の知名度を上げるイベント企画を進めていきます。
―本日はありがとうございました。
「残響 超特選 純米大吟醸 Super7 2023」(720ml)
価格:¥33,000(税込)
店名:零下
お問い合わせ:https://reika-sake.com/pages/contact
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://reika-sake.com/collections/super_junmai_daiginjo/products/04nzz01606121
オンラインショップ:https://reika-sake.com/
「雨後の月 䨩 RAY 純米大吟醸」(720ml)
価格:¥39,600(税込)
店名:零下
お問い合わせ:https://reika-sake.com/pages/contact
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://reika-sake.com/products/34ahu01613321?_pos=4&_sid=50a5cbcfa&_ss=r
オンラインショップ:https://reika-sake.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
近藤悠一(株式会社さくら酒店 代表取締役社長)
1980年、岐阜県大垣市生まれ。
金沢大学在学中、NY州立大学へ派遣留学。
2007年、山中酒の店に入社。
2013年、店舗を持たない日本酒専門の酒屋「さくら酒店」を起業。
2022年11月、火災で壊滅的な被害を受けるも、CFなどでご支援をいただき、復興。
王子認定協会認定 日本酒王子として、NHK文化センターや毎日文化センターでの日本酒講師、日本酒とお料理のイベントを200回以上開催、YouTubeチャンネルをはじめSNSでの日本酒の発信に力を注いでいる。
<文/田中省二 MC/三好彩子 画像協力/さくら酒店>