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味噌を変えるだけで食卓が豊かに。プロが選ぶ味噌3種の「初めてセット」

2024/02/05

1934(昭和9)年創業、約90年もの歴史を持つ味噌店「佐野味噌醤油 佐野みそ亀戸本店」。東京・亀戸と銀座を中心に計5店の実店舗とオンライン店を構え、全国様々な種類の味噌、約80種類を販売しています。今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になった、佐野味噌醤油株式会社の代表取締役社長の佐野正明氏に、取材陣が伺いました。

佐野味噌醤油株式会社 代表取締役社長 佐野正明氏
佐野味噌醤油株式会社 代表取締役社長の佐野正明氏

―戦前から続く味噌店の三代目としての思いは?

佐野 味噌屋の息子ですから、物心ついた頃から味噌にまつわる体験は良くも悪くもしてきたのですが、大きく2つの原体験があります。1つは良い体験として。小学生だったある日を境にして、母がいろいろな味噌と具材で味噌汁をつくり始めました。子どもですから、急な変化に戸惑って「いつもの味噌汁がいいな」と思ったのですが、食べてみると、使う味噌によって、味噌汁の色や香り、味わいも違っていて、それぞれがとてもおいしかった。軽い衝撃を受けました。味噌というのは個性豊かで、それぞれのおいしさがあると知りました。そして、この体験をもっと多くの人に広めたい、そう思うようになりました。

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実店舗では味見ができたり、100g単位の量り売りにも対応してくれる。

―いわゆる一般的な味噌というのは、薄いベージュ色の信州味噌と呼ばれるものですよね。

佐野 関東では、そうです。多くの人が食べておいしいと感じる、「ザ・味噌」です。しかし、京都では白味噌、愛知の方では真っ黒い豆味噌、東北の方では濃厚な茶色の仙台味噌、九州地方では麦味噌…というように、地域によって様々な種類の味噌がつくられています。同じ地域の同じ色の味噌でも、原料や作り方が違うと、味わいは異なります。味噌づくりでは、麹菌、酵母菌、乳酸菌という3つの菌を使いますが、地域が違えば菌も変わり、蔵元ごとにも違う菌がいるわけです。ですから、味噌とひと口に言っても、ものすごくいろいろな種類があり、それぞれの味があるのです。

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1つとして同じ味噌はない。味噌を変えるだけでもいろいろ楽しめる。

―もう1つの原体験というのはどんなことなのでしょうか?

佐野 こちらはマイナスの体験なのですが……。私が子どもの頃、味噌が身体に悪いという噂が流れたことがありました。マスコミがこぞって取り上げて、高血圧の原因だ、なんていう間違った情報が一人歩きしたんです。そのとき、父がものすごく悲しそうな表情で新聞を眺めていたことを覚えています。その一連の報道がすべての原因だとは言い切れませんが、おそらく、その頃から全国的に味噌の消費量、生産量は下がっていきました。私は子どもながらとても悔しくて、「いつか敵をとってやるぞ」みたいな気持ちになったのです。
これら2つの体験が、私の「日本の食卓に味噌を取り戻したい」「多くの人に味噌を広めていくぞ」という原動力に繋がっています。

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創業者である祖父・佐野一郎氏(写真右)と祖母・花子氏(同左)。真ん中は二代目佐野一信氏。

―そういった2つの体験があったから、日本の食卓に味噌を取り戻したい、という思いが強いのですね。

佐野 今となっては、発酵食材として注目され、むしろ味噌は高血圧を予防するなどと言われていて、40年ほど下がり続けてきた味噌の消費量は、ここ最近、本当にわずかではありますが、下げ止まっています。ある意味、夢がある。流れが変わってきたなという感じがしています。まだまだ私たちにできることはあると思うので、頑張っていかなくてはならないなと思っています。

―御社の役割りは何だと考えていますか?

佐野 はい、味噌の魅力は「多彩な個性」であり、その個性から生まれる「生活の彩り」です。味噌を変えれば、味噌汁の味も変わります。味噌同士をブレンドすれば、味わいの変化は無限大です。多彩な味噌を通して、世の中の人々に、より彩りある食生活を楽しんでいただくことが創業当時からの方針であり、私たちの大事な役割りだと考えています。

―そういう思いが、御社の「噌(ソ)ムリエ」という取り組みにつながっているんですね。

佐野 そうですね、味噌は本当に奥が深い。我々はある意味、味噌とお客様の「出会いの場」みたいなものかと思っています。イイ味噌をそろえて、お客様とめぐり合わせるという、すごく大事な仕事だと思っています。いろいろなイイ出会いをしていただいて、その中からお客様に「見染(味噌)めてもらう」。そういう意味で、私たちがちゃんとそれぞれの個性や良さを説明できる必要があります。
なので、社内で味噌の勉強をして、一つひとつの味噌の知識や使い方を知り、どうやって使ったら美味しいのかも含めて、お客様にきちんと伝えられる人というのを育てていきたいと考え、「噌ムリエ」制度を始めました。私自身、毎日味噌汁をつくって、この味噌にはこういう具材が合うとか、こういう出汁が合う、この季節にはこの味噌の方が美味しく感じるなどの情報を180ページほどの「教科書」にしてまとめました。社員は勉強して試験を受け、合格したら「噌ムリエ」になれます。そして、その知識をお客様にお伝えして、お客様が「あなたの言うとおりにやってみたらすごく美味しかったわ」などと言って喜んでくださる。それが社員の働く喜びにもなっています。

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実店舗では、味噌を知り尽くしたプロに相談して選んでもらうこともできる。

―今回ご紹介する「初めてセット」について、教えてください。

佐野 味噌を生活に取り入れてみたい、という方にとって、「どれを選んだらいいのか分からない」というハードルがまずあると思います。そこをクリアできるような、始めやすいセットをつくりました。「金亀子(こがね)みそ赤」、「手前自慢」、「手前みそ白こし」の3種類がセットになっています。

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どれも食べやすく、単体で使っても、好みでブレンドしてもおいしい。

佐野 もち米麹を使った「金亀子(こがね)みそ赤」は、弊社で扱っている味噌の中で一番人気。きゅうりなどの生野菜にそのままつけてもおいしいですが、焼きおにぎりにすると香ばしく、食欲をそそります。あとは、マヨネーズと1:1で合わせて、シーチキンに混ぜると、お酒のアテにもなるディップが簡単にできあがり。おにぎりの具材にしてもいいと思います。その他、酢とオリーブオイルを同量で混ぜ合わせたドレッシングもおいしいです。

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もち米らしいとろみもおいしさを演出。

「手前自慢」は、赤味噌と白味噌あわせて4種類をブレンドしているので、どんな料理にも合います。赤味噌は豚肉や鶏肉とよく合い、白味噌は大根やにんじん、かぼちゃ、さつまいもなど甘みのある野菜と相性がいい。つまり、この「手前自慢」は赤も白も入っているので、肉にも野菜にも合う、優等生的な味噌です。

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自社のオリジナルブレンド。さっぱりとしたキレの良い後口が特徴。

「手前みそ白こし」は、大豆のまわりの皮を磨き、中心部分だけを使って仕込んでいる贅沢な白味噌。雑味がなくすっきりとした味わいで、とてもまろやかです。甘口すぎず、中甘口といったところでしょうか。生クリームや牛乳など乳製品と合わせて使うと、コクがぐっと増して、味わい深くなりますので、シチューやパスタソースなどにも使えます。

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カレーやとんかつソースに少量混ぜると、味に奥行きが出る。

―味噌は、隠し味的な役割を果たしてくれるのですね。

佐野 そうなんです。味噌を「味噌汁くらいにしか使わない」、という方もいると思いますが、毎日の料理の中で、何か1品だけでもいいので、「今日はどの料理にどの味噌を使ってみようかしら」と考えながら台所に向かうと、暮らし自体に楽しい変化が生まれてくると思います。

―「味噌のおいしさを多くの人に伝えたい」というテーマで事業を展開されていますが、今後のさらなる展望を教えてください。

佐野 日本に味噌を取り戻したいと90年近くやってきましたが、それと同時に、味噌を世界の人にも届けたい、という思いもあります。2023年3月に、日本の総領事館が主催したニューヨークでの味噌講座で講師をさせていただきました。多くの外国人の方が関心を持ってくださり、銀座店の方にもご来店くださっています。今後、海外の方にも、もっと味噌のおいしさを伝えていけるような活動をしていきたいと思っています。

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JR亀戸駅から徒歩3分に位置する亀戸本店。味噌汁のイートインコーナーもある。

―どれも本当においしそうです。すばらしいお話をありがとうございました!

「初めてセット」(各約300g×3種)

「初めてセット」(各約300g×3種)
価格:¥1,620(税込)
店名:佐野みそ本店
電話:03-3685-6111(10:00~18:00 実店舗は年中無休(正月3が日は休み)、通販部は日祝休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/miso-sano/2300005/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/miso-sano/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
佐野正明(佐野味噌醤油株式会社 代表取締役社長)

1966年 東京都生まれ。妻、息子2人の4人家族。2010年 三代目代表取締役社長に就任。2017年には味噌汁が飲める「イートイン味苑」を亀戸本店に開設。2019年に銀座店をオープン。

<文/よしおかまさこ MC/髙橋美羽 画像協力/佐野味噌醤油>

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