急須いらずで本格的な味わい。一保堂茶舗の「ドリップティーバッグセット」が拓く、新しいお茶の時間

2025/07/17

今回、編集長アッキーが注目したのは、急須いらずで手軽に本格的なお茶が楽しめる「ドリップティーバッグセット(玉露・煎茶)」です。創業300年以上の歴史を持ち、京都に本店を構える日本茶専門店、株式会社一保堂茶舗が現代のライフスタイルに合わせて開発した、画期的な商品です。商品開発についてのストーリーや、伝統を守りながら進化を続ける企業の思いについて、代表取締役社長の渡辺正一氏に取材スタッフが伺いました。

株式会社一保堂茶舗 代表取締役社長の渡辺正一氏

― 一保堂茶舗は1717年の創業とのこと。長い歴史をお持ちなのですね。

渡辺 はい、正確な記録は1864年(元治元年)の蛤御門の変で焼失してしまったのですが、言い伝えでは1717年(享保2年)に、近江出身の渡辺利兵衛が現在の場所で商いを始めたのが起源とされています。創業当初の屋号は「近江屋」といい、お茶以外のさまざまな品物も扱っていたようです。その後1846年(弘化3年)に当時の皇族でいらっしゃった山階宮(やましなのみや)様が、私どものお茶を気に入ってくださったのです。そして、「茶 一つを保つように」とのお言葉をいただき、その言葉の意味を込めた「一保堂」という屋号を賜りました。それ以来、お茶の専門店として商いを続けています。

京都・寺町通りに佇む、風情あふれる日本茶の老舗「一保堂本店」。

―渡辺社長が家業を継がれるまでのご経歴についてお聞かせください。

渡辺 創業家の渡辺家に一人っ子として生まれ、周囲の期待から、いずれは家業を継ぐのだろうとぼんやり考えていました。ただ、両親からは「大学は関西にいてはならない」とだけ言われて育ちました。自宅と会社が同じという恵まれた環境にいると視野が狭くなる、という親心だったようです。

その言葉通り、大学から東京へ出ました。家の仕事にすぐ戻っても役に立たないと考え、就職活動をしましたが、当時は非常に厳しい時期で苦労しましたね。拾っていただいたキャラクターグッズのベンチャー企業で3年、その後ご縁があってリクルートで3年半ほど営業を経験し、合計10年ほど東京で過ごしました。そして2010年に京都へ戻り、2020年に父から代表を引き継ぎました。

―社長就任が2020年というと、まさにコロナ禍の始まりと重なった時期です。

渡辺 おっしゃる通りで、もともと父と決めていたタイミングではあったのですが、まさかの事態でした。会社としても非常に苦しい時期からのスタートでしたが、逆にコロナを理由にさまざまな変革を進めることができたので、今となってはいい機会だったと前向きに捉えています。

―今回ご紹介する「ドリップティーバッグ」は、どのような経緯で開発されたのでしょうか。

渡辺 これはすべて社員のアイデアから生まれた商品です。もともと製造部門におり、定年退職後も本店でお客様にお茶の楽しみ方を伝えていた名物ベテラン社員がおりまして、彼が『こんな商品があったら面白いんじゃないか』と話していたアイデアを、別の社員が引き継いで形にしてくれました。開発期間は1〜2年ほどかかったと思います。

今はペットボトルでお茶を飲むのが主流ですが、私たちは急須で淹れるお茶の味わいや、その時間にも価値があると考えています。とはいえ、ご自宅に急須がない方も多く、従来のティーバッグには物足りなさを感じるという声もありました。その両者の間をつなぐ商品として、このドリップティーバッグが生まれました。

―このドリップティーバッグを、よりおいしくいただくためのポイントはありますか。

渡辺 この商品は、あらかじめ最適な量の茶葉が入っているので、ご家庭で淹れる際に一番難しい量の調整を気にしていただく必要はありません。お湯の温度は、厳密に言えばお茶の種類によって最適な温度がありますが、熱々のお湯で淹れていただいても、どの種類もおいしく召し上がれます。

もし、よりこだわってみたいということであれば、玉露や煎茶は少し冷ました80℃くらいのお湯で淹れていただくと、旨みや甘みが一層引き立ちますよ。80℃くらいにする目安は、沸騰したお湯を一度別の容器に移すことです。それで適度に温度が下がりますから、そのお湯で淹れるのがおすすめです。

ドリップ式なので、通常のティーバッグより、香り豊かにおいしいお茶が楽しめる。

― 一保堂さんのお茶は、なぜこれほどまでにおいしいのでしょうか。茶葉へのこだわりについて教えてください。

渡辺 実は私たちは自社の茶畑を持っておらず、特定の契約農家もいません。お茶は農作物なので、天候によって出来不出来が左右されます。品質を安定させるため、その年ごとに京都・滋賀・奈良を中心とした産地からいい茶葉を仕入れています。そして、仕入れた茶葉をブレンドすることで、より複雑で奥行きのある、一保堂らしい味わいを生み出しています。どの茶葉を仕入れるかという最終的な判断は、今も私が担当しています。

甘いお菓子や朝のトーストと一緒に。一杯のお茶が寄り添う心豊かなひととき。

―手軽さと本格的な味わいを両立されていますね。どのような方に利用されていますか。

渡辺 ギフトとして使っていただきたいという想いがあり、上質感のあるパッケージデザインにこだわりました。若い方からご年配の方まで、予想以上に幅広い層のお客様にご愛用いただいています。急須を持っていない方にも気軽に贈れるという点で、選んでいただきやすいようです。 

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

渡辺 社内では「変化に対応して進化する」というテーマを掲げています。外部環境の変化は避けられませんが、それを好機と捉え、お客様とのつながりをより深めていきたいと考えています。その一環として、東京の青山に新しいお店をオープンする計画や、海外のお客様へのご提供を強化する取り組みを進めています。特に、ニューヨークでは一度閉じた売り場を新しい形で再開すべく、現在動いているところです。お茶がもたらす味わいや、それを取り巻く豊かな時間が、皆さまの暮らしに彩りを添えられるよう、これからも取り組んで行きます。

―貴重なお話をありがとうございました!

「ドリップティーバッグセット(玉露・煎茶)」
価格:¥2,916(税込)
店名:一保堂茶舗
電話:0120-21-3423(9:00~17:00 日祝・年末年始12/30~1/3を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.ippodo-tea.co.jp/collections/gift/products/gift651562
オンラインショップ:https://www.ippodo-tea.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

渡辺正一(株式会社一保堂茶舗 代表取締役社長)
1981年生まれ。2004年に大学卒業後はキャラクターグッズメーカーと不動産広告の営業職に従事。2010年に家業である一保堂茶舗に入社。2020年に代表取締役社長に就任。お茶を通じて、お客様の心身ともに豊かな暮らしのお手伝いができるよう取り組んでいる。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/一保堂茶舗>

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