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冷凍蒲焼加工のパイオニアが贈る、国産ハーブうなぎを使った上品な「うなぎおこわ」

2024/02/26

今回、編集長アッキーの目に留まったのは、三重県の尾鷲市に本社を置く株式会社鷲洋(しゅうよう)。うなぎおこわを30年以上販売してきた会社です。日本ではじめてうなぎ蒲焼の冷凍をはじめたといわれています。冷凍とは思えないほど柔らかく旨味にあふれる宮崎県・鹿児島県産ハーブうなぎと、もちもちしてほんのり甘い佐賀県産もち米のハーモニーは絶品です。さまざまな苦境を乗り越えながら、素材と手作りへのこだわりを守り続ける株式会社鷲洋の代表取締役 九鬼慶隆氏に取材陣が伺いました。

株式会社鷲洋 代表取締役 九鬼慶隆氏
株式会社鷲洋 代表取締役の九鬼慶隆氏

―2022年に創業50年を迎えられたと伺いました。

九鬼 弊社は1972年に父が中心になり創業した会社です。おかげさまで2022年に50周年を迎えました。三重県の尾鷲市に本社があります。

元々は、大洋漁業株式会社(現:マルハニチロ株式会社)の子会社で、鷲洋開発株式会社という社名でした。三重県の前浜で、ハマチの養殖を手掛けていたのがはじまりです。

―2代目になられた経緯は?

九鬼 実は、家業を継ぐつもりはありませんでした(笑)。小さい頃から、父が朝から晩まで土日もなく働いているのを見て、このような生活は自分には合わないと感じていたためです。

私がサラリーマン5年目のときに、父が入院したことがきっかけです。親族から「長男だから帰ってあげれば」といわれたことで、決断しました。

でも、いつ社長になったのか正確に覚えていません(笑)。知らぬ間に社長の登記が父から私に交代していました。改まって社長就任の挨拶をしたり、お祝いをしたりということもなかったです。

最初の5~6年は、朝から晩まで土日もなく働くことに葛藤してくすぶっていましたが、今では仕事を面白く感じています。

―うなぎに注目されたのはいつですか?

九鬼 私が入社する前の話ですが、弊社は創業から2年経った頃に、うなぎの養殖をはじめました。日本ではニホンウナギの養殖が主流だったなか、フランスのヨーロッパウナギで養殖をはじめました。しかし、これが大失敗の原因になります。

うなぎの養殖を成功させるには、水温の管理が重要です。フランスに面する海域はほとんどが寒流なので、弊社が養殖しようとしたうなぎは寒流に適していました。一方、弊社が行ったのは温水養殖です。

寒流に適したうなぎが温水で育つはずもなく、全滅させてしまいました。当時は原因がわからず、これを数年続けてしまったそうです。結果的に、大きな負債を抱えてしまいました。

―どのようにこの苦境を乗り越えたのですか?

九鬼 養殖は辞めて、うなぎは加工一本にしました。当時のうなぎは職人が1匹ずつ捌いて焼いていました。加工品はなかったのです。

そんな中で弊社は、特注でうなぎをコンベアで焼く機械を作り、大量に蒲焼加工を行えるようになりました。しかし、大量に加工しても1日では販売しきれないため、冷凍技術が必要になりました。

そこで親会社だった大洋漁業株式会社が、捕鯨で培った船凍技術を工場に取り入れました。これが冷凍蒲焼の走りです。

これが日本経済新聞に取り上げられて、関西のデパートから声がかかりました。大阪・梅田の阪急百貨店で販売を開始し、難波の高島屋や東海のジャスコへと販路が広がっていきました。

最初の頃、冷凍蒲焼は見向きもされませんでした。しかし、マスメディアに取り上げられながら、認知されていく中で売上が伸びていき、1日あたり数百万円単位で売れるようになったのです。

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特撰うなぎおこわ6個入。
綺麗に包装されており、贈答品としても好評。

―うなぎおこわはどのように誕生したのでしょうか?

九鬼 商品の加工物は簡単に真似できます。大手に参入されると価格では勝てません。競合で差別化しようと、最初はお弁当を企画しましたが、お弁当は日持ちしません。そこで、冷凍技術を活用しようとしました。

最初は白米で始めようとしましたが、当時の技術ではどうしても芯が残ってしまう。もち米も試したのですが、もち米は腹で膨れるので食べきれないと、全然売れませんでした。

そこで、当時少量化が流行っていたため「カットして販売してみたらいいのでは」というアイディアからうなぎおこわが誕生しました。ちょうどいい食べきりサイズが、女性を中心に好評です。リピーターが多く、現在まで30年以上販売しています。

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包装を外すとラップに包まれている。
あとはレンジでチンするだけ。とても簡単。

―「特選うなぎおこわ」の原材料へのこだわりは?

九鬼 最初の6年間は、中国産のうなぎを使っていました。しかし、中国産うなぎの水銀問題などが発生したため、販売店が中国産のうなぎを取り扱わなくなってしまったのです。

そこから国内のうなぎ養殖業者から仕入先を探しましたが、大変でした。次に近場の産地のうなぎを使わせてもらったのですが、冬場は品質が下がってしまい、年間通して品質を維持できなかったのです。

その後、九州を回り、現在も使っている宮崎のうなぎにたどり着きました。自分たちがまず現地まで足を運び、自分たちで吟味して、自信を持ってこれだというものを選ぶ。このように、原材料にはこだわっています。

使っているうなぎは、餌にハーブを与えるハーブうなぎです。普通のうなぎより霜降りが入っています。普通のうなぎは脂がまだらなので、火を通すと脂が乗っているところと乗っていないところの差がついてしまいます。霜降りだと火を通してもまんべんなく脂が乗ってくれるのです。

また、もち米は硬くなりにくくもちもち感が抜群な、佐賀県のひよくもちを使っています。着色料・保存料は不使用です。

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噛むと冷凍と思えないくらい柔らかく、うなぎの旨味を強く感じられる。
タレがスッキリしていて、素材の味を邪魔しない。

―ほかにこだわられていることは?

九鬼 製法の特徴はうなぎの皮の処理です。女性がうなぎを嫌いな理由に多かったのが、うなぎの皮と身の間のぬめりです。これを除去する方法が当時は、まだわかりませんでした。

研究を重ねる中で弊社の工場長が発見したのが、蒲焼にして冷凍してから皮を削ぐ方法。これをすると、ぬめりがとれます。今では色々な会社が真似している方法です。

また、たれは薄味にしています。調味料は素材の補い手でいいと考えているためです。「たれを分けてくれ」とおっしゃるお客さんもいるくらい、ご好評いただいています。

そして、すべて手作りです。少量をカットして、1個1個ラップしています。包装にも力を入れていることで、贈答品としても評判です。

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もち米は、もちもちして弾力があり、ほどよい甘みでとても食べやすい。
うなぎの旨味を引き立てている。
(写真は半分の大きさ)

―最後に今後のビジョンについて教えてください。

九鬼 これまで、細く長く経営してきました。お客様の支持をいただきながら、徐々に口コミで広がっていけばいいと考えています。

私は2023年で65歳になりました。頑張れてもあと10年です。現状、私の後継者はいません。この会社をどうしていくかが、今の課題です。M&Aや県に力を借りるなど、話はしています。

弊社は他社が行わない手作りを続けています。会社の存続だけでなく、受け継いだ人が手作りを続けてくれるかどうかも大切です。この形を残していきたいと考えています。

また「鯛おこわ」「鯛めし」もおすすめです。三重県産真鯛の優しい甘みがご飯に染み込んでいて、とてもおいしいので、ぜひお試しください。

―「鯛おこわ」「鯛めし」もおいしそうですね!すばらしいお話をありがとうございました!

「特選うなぎおこわ」(1個50g×6個入)

「特選うなぎおこわ」(1個50g×6個入)
価格:¥6,048(税込)
店名:三重おわせ 久㐂
電話:0597-22-6348(9:00~18:00 無休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://syuyo.com/wcshop/products/detail/187
オンラインショップ:https://syuyo.com/wcshop/

「鯛おこわ&鰻おこわ」(1個50g×各4個入)

「鯛おこわ&鰻おこわ」(1個50g×各4個入)
価格:¥4,752(税込)
店名:三重おわせ 久㐂
電話:0597-22-6348(9:00~18:00 無休)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://syuyo.com/wcshop/products/detail/47
オンラインショップ:https://syuyo.com/wcshop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
九鬼慶隆(株式会社鷲洋 代表取締役)

1958年三重県生まれ。大東文化大学卒業後、1981年ジャスコ株式会社に入社し、6年の修業期間を経て、1987年株式会社鷲洋へ入社。2007年に同社代表取締役に就任。

<文・撮影/林本直 MC/伊藤マヤ 画像協力/鷲洋>

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