いたがき_top

いたがきの技術の集大成 タンニンなめし革の 一生モノのバッグ 「鞍ショルダー 大」

2022/12/09

今回、編集長アッキーが気になったのは、北海道が誇る鞄ブランド「いたがき」。ブランドを運営する株式会社いたがき 代表取締役会長の板垣江美氏に、商品の魅力を取材陣がうかがいました。

株式会社いたがき 代表取締役会長の板垣江美氏
株式会社いたがき 代表取締役会長の板垣江美氏

―創業の経緯を教えてください。

板垣 父が47歳のときに創業して今年で40周年を迎えました。父はもともと東京のかばん屋に丁稚奉公に行き、鞄職人になりましたが、19歳のとき、兄、両親の5人で会社を始めました。1964年には旅行鞄のサムソナイトをエースという会社が作ることになり、父たちは会社をたたんで、工場のあった神奈川県・小田原に家族と社員と移りました。革の仕事からは離れて、サムソナイトのスーツケースを作るラインの責任者として関わることになったんです。

その後、(誘致企業として)北海道に生産基地が移り、父たちも北海道へ行くことになりました。1980年代になると、日本はバブルで好景気に沸きましたが、大量生産化で鞄職人の技術があまり必要とされなくなってきました。父には丁稚時代から培った技術でタンニンなめし革の製品を作り続けたいという思いがあり、独立したのです。

いたがき_2
職人が57個の細かい革パーツを立体的な美しいフォルムへとまとめ上げています。

―創業して大変なことはございましたでしょうか。

板垣 東京に行けば分業で製作ができましたが、北海道では難しく、すべての工程を自分たちで行わなければならないのが大変でした。一方で、タンニンなめし革という貴重な素材を無駄なく使って、とても丁寧に仕事をする人でしたので、お使いいただいたお客様から少しずつ注文が入るようになりました。

またJR北海道からの依頼で、札幌から上野へ走る寝台列車・北斗星の個室ルームキーを作ることになりました。すると、部屋に泊まったお客様が「ルームキーをいただいて帰ります」と1万円を置いて帰るといったことが発生しました。ルームキーが人気となり、物販もするようになったのです。

その後、全国の北海道物産展でも販売させてもらい、全国を周り、3か月北海道に帰らないなんてこともありました。

―タンニンなめしの革の特徴を教えてください。

板垣 重くて硬く、丈夫なので工業製品や道具として使われてきました。馬の鞍や自転車のサドル、靴の表底などはタンニンなめしを使っていて、人の目に触れないところに使われていたんです。

タンニンなめしの厚い革は、工業用ミシンでも一針一針進めていかなければならず、扱いづらいのですが、父は丁稚奉公時代に硬いタンニンなめしの革に触れて、師匠や兄弟子の素晴らしい技術を間近で見て、「この技術を伝えていかないといけない」「守ならないといけない」という思いがありました。

クロムなめしの革はやわらかく、扱いやすいのですが、父はあえてタンニンなめしの革で製品を作ることを選びました。動物の革なので、1枚1枚違いますが、40年ずっと同じ素材を使って作り続けてきたお陰で、品質はとても安定しています。

いたがき_3
ひとつひとつ職人の手作業で仕上げています。

―創業の頃から大切にされていることを教えてください。

板垣 素材を大事に無駄なく使う、良さを引き出すということが、良いものを作る基本になります。革は動物が生きていた証なので、悪い部分もあります。その悪い部分をよく仕上げるのが職人です。

最初は小さい製品から作って技術を身に付けてもらい、素材と向き合い続けることが、良いものづくりにつながり、お客様に喜んでもらえることだと思っています。

お客様が見て感動するような商品を作る職人になるためには、20年30年はかかります。作り手を育てることも私どもの役目です。

―今回ご紹介する鞄について教えてください。

板垣 父が何もない状態から作り上げ、制作に1年半の時間をかけた、いたがきの代表作です。父の友人がデザインを描いてくれ、生半可なことでまとめたくないという気持ちもあったのでしょう。最終形態がなかなか見えずに苦しみましたが、ショルダーストラップを取り付けるパーツを手縫いで止めることで、素晴らしいバッグが完成しました。

曲線美が特徴的なバッグですが、これはタンニンなめしの革だからこそ。硬い革の厚みと張りが鞄の丸みを生み出しています。このバッグは、いろんな経験を積んだ父だからこそ持ち合わせていた技術のすべてがつまっています。鞍の形で北海道を感じてもらえる、とても象徴的なバッグに育ちました。

いたがき_4
ショルダーには滑り止めがついています。男女ともに使えるデザイン。

―鞄を長く使うためにはどうしたらいいでしょうか。

板垣 革には乾燥が大敵です。当社でもお手入れをしますが、ご自身でもお手入れしていただくことで革製品は本当に長持ちします。父は革製品をお手入れしないで使うなんて考えられないとお客様に伝え続けていました。

―今後の展望を教えてください。

板垣 時代がすごく動いていますが、うちはできるだけ動かずに同じことを、当たり前を当たり前に続けることがとても大事だと思っています。一方、テクノロジーが発展し、繋がりやすくなっている時代なので、間違いのないものを作って、北海道にも間違いのない良いものがあるということを伝えていかなければなりません。

自分が身に着けているものが上質なものであればあるほど、自分の価値観も磨かれると思いますので、良いものが世の中に残っていくことに尽力したいと考えています。真似をしない、楽をしない、無駄にしないという父のモノづくりの真髄を使っていただいた方にわかっていただけるよう、今後も商品づくりを続けていきます。

E919 鞍 ショルダー 大 Kura Shoulder Bag Large

「E919 鞍 ショルダー 大 Kura Shoulder Bag Large」
価格:¥121,000(税込)
店名:いたがき
電話:0125-32-0525(9:00~17:00 土日祝除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.itagaki.co.jp/products/items/E919.html
オンラインショップ:https://www.itagaki.co.jp/shopping/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
板垣江美(株式会社いたがき 代表取締役会長)

1962年東京生まれ。14歳の時、父の仕事の関係で北海道に移住。短大卒業後、百貨店勤務を経て、1983年創業間もない株式会社いたがきに入社し、ものづくり以外の業務を担当。女性ならではの感覚を生かして、E560タウンボストンを始めロングセラー商品を多数企画。1993年結婚を機にドイツに移住、夫とEmi Designを創立し海外素材の調達を開始。2004年専務取締役に就任し、日本とドイツを往復する生活が始まる。2012年代表取締役社長に、2022年代表取締役会長に就任し、現在に至る。

<取材/垣内栄 MC/升谷遥香 画像協力/いたがき>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter