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かながわブランド「あつぎ豚」と大豆から手作りしたみそが絶品!「うすいファーム」のとん漬け

2024/09/26

文化庁「100年フード」にもなっている「厚木のとん漬け」。養豚が盛んだった神奈川県厚木市の伝統食です。中でも編集長アッキーが気になったのが、丁寧に育てられた、かながわブランドの豚肉と手作りみそ。別格の逸品があると聞き、取材班がお話をお伺いしてきました。

株式会社うすいファーム 代表取締役の小杉大樹氏
株式会社うすいファーム 代表取締役の小杉大樹氏

―「うすいファーム」は、養豚場「臼井農場」の豚肉を直売されています。どのような出会いから始まったのでしょうか?

小杉 出会いは、共通の知人からの紹介でした。私は病院の栄養士として働いていたのですが、食事制限のためカロリーが低く設定されていたりして、一生懸命作っても「おいしくない」と戻されてくることが多くありました。父に「食べ物を粗末にするな」と厳しく育てられ、食べ物にこだわりがある私にとっては、とても悲しいことでした。
食卓の上には命がたくさんある。命をいただきますという意味が欠落しているのではないかと感じ、娘ができたこともあり、何を伝えていくべきかを考えた結果、「食育」にたどり着きました。
その時に、18歳の頃からお世話になっている知り合いから臼井農場を紹介され、意気投合しました。

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「農場スタッフが愛情を込めて育てた豚たちを最高の鮮度で届けたい」と
設立された直売所。それが「うすいファーム」。

―臼井農場の豚肉は他とはどこが違うのでしょうか?

小杉 神奈川県産の豚肉の供給量はわずか5%にも満たないこともあって、そこまでこだわりのある農場というのは少ないんです。でも、臼井農場の養豚は、それまでの豚の扱い方とは全く違いました。
おいしさに差が出るのは、餌と豚の種類ですが、特に餌は各農場によって特徴が出やすいです。おいしい豚肉のためには麦類を与えることが業界のセオリーなのですが、臼井農場では食品メーカーから出る商品にならなかった麦類加工品を与えているところが特徴です。
俗に循環型飼料(エコフィード)と呼びますが、環境問題の一助となればと思い、20年前から取り組んでいます。この循環型飼料は、集める手間、定時定量の確保の難しさ、豚が食べられる状態にする工程など様々な課題があるので、全国の養豚場でも行っているところは少ないと言われています。

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柔らかい肉質を持つ霜降り肉のあつぎ豚。
パスタや菓子粉などを配合したオリジナル飼料もその特徴の一因。
材料は、食品工場や製造過程から生じる”未利用資源”を活用している。

―そうした独自の飼育法もあって、ブランド肉として認められているのですね。

小杉 2016年に、臼井の「あつぎ豚」が「かながわブランド豚」として認定を受けています。自社プライベートブランドとしては初めて公式認定された豚肉です。「生産団体組合が生産した豚肉」以外で「民間企業1社単独による生産の豚肉」の認定は珍しいことです。また、2019年には「かながわの名産100選」にも認定されています。

―直販したいと思われた理由は?

小杉 豚肉というのは、どんな農場で育ったとしても、出荷する際には、もれなく「国産豚」という名称になってしまいます。スーパーなどの流通では一括りにされてしまって、どこの肉かもわからない状態で販売されてしまうのです。せっかくおいしい豚肉を作っているのに、他と混ぜて欲しくない。混ぜてしまわれないためには、自分達で売った方が早いと思いました。

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「直売所は、豚たちの最高のステージ」。
養豚農家の想いと品質を地元の人々に届けるため、販売スタッフが演出を手掛ける。

―直売所を作って、自分達で販売してみていかがでしたか?

小杉 エンドユーザーと直接接触できるので、おいしいもまずいもダイレクトに聞くことができます。常連の方などは、少し餌の配合を変えただけで「脂にパンチがなくなった?」などと気づいてご意見をくれたりします。改良、改善点も見え、おいしいかどうかを肌で感じながら作っていくことができますし、仕事の原動力にもなります。

―養豚場からの直送ですから、「食育」にも通じますね。

小杉 命を作って売っているのだから、最後まで責任を持ちたい。だからこそ、まずい豚肉を作ってはいけないし、独りよがりではなく、消費者の方にとっておいしいものを作らなければと考えています。生産から販売まで、豚に対する責任がありますから。家族で食卓を囲んで、食べ物へのありがたさを大切にしていただけたら、と思っています。

―今回ご紹介いただいた「うすいのとん漬け」について教えてください。

小杉 「厚木のとん漬け」は、文化庁「100年フード」にも認定された地域の伝統食です。中でも「うすいのとん漬け」にはストーリーがあります。
農場先代の臼井利次は腎臓機能が低下し透析を行っていたため、妻スミ子が少しでも体にいいものをと、母の味である手前味噌を大豆から栽培し、心にやさしい味噌汁を作っていたのです。そのことが、とん漬けの開発に繋がっています。

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「うすいのとん漬け」。
オンラインショップでは冷凍ギフトとして販売されている。

―開発に関して、工夫した点はありますか?

小杉 工夫点は、豚肉の脂のおいしさを邪魔しない味噌だれの調合に気を使っているところ。余計な調味料などは入れず、味噌本来のおいしさを豚肉に伝えて一番おいしさが際立つように仕上げています。また、豚肉をより柔らかくするために酒粕を入れています。今でも、大豆の栽培から始めて、全てにおいて厚木産を守っています。

―食べ方のおすすめを教えてください。

小杉 冷凍でのお届けになりますから解凍していただき、テフロン加工などの焦げ付きにくいフライパンで焼いてください。
みそは田舎みそなので味が濃いめです。玉ねぎやキノコなどと一緒に蒸し焼きにしても、ちょうどよく召し上がっていただけるかと思います。キャベツと一緒に丼ぶりにしたり、油で揚げてトンカツにしても良いです。
冷凍しているうちに古漬けになって味が濃くなりますから、そうしたらおにぎりの具にしたり、野菜と一緒に煮たりすることをおすすめしています。

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ただ焼くだけでも献立の主役に。
柔らかい肉質と脂の旨味、みそのまろやかな甘味が加わり、比類なき味わい。

―今後の展望について教えてください。

小杉 地域密着というのを一番大切にしていきたいと考えています。うすいファームで直販できている臼井農場の豚は、1万頭のうち2,500頭くらいで25%にしかなりません。残りも「あつぎ豚」ブランドとして県内で売っていきたいですね。その一方で、この素晴らしい養豚の技術を海外に教えていきたいとも考えています。

―神奈川伝統のおいしいものをご紹介いただき、本日はありがとうございました。

あつぎ豚 臼井のとん漬詰合せギフト Aセット

「あつぎ豚 臼井のとん漬詰合せギフト Aセット」
価格:¥4,535(税込)
店名:養豚農家の直売所 うすいファーム
電話:046-228-1326(11:00〜18:00 水曜日、年末年始、臨時休業除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://usuifarm.com/product/あつぎ豚-臼井のとん漬詰合せギフト-aセット/
オンラインショップ:https://www.usuifarm.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
小杉大樹(株式会社うすいファーム・代表取締役)

1978年神奈川県生まれ。前職は管理栄養士として介護福祉施設、総合病院などで勤務。2007年、食育をテーマにしたビジネスを起業するため、厚木市にある養豚場・有限会社臼井農産に1年半、生産現場を経験する。その後同社の代表取締役である臼井と養豚場直売の会社、株式会社うすいファームを2009年5月に立ち上げる。2016年には代表取締役に就任。

<文・撮影/尾崎真佐子 MC/伊藤マヤ 画像協力/うすいファーム>

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