灘商事_top

吉野葛でモチッとなめらか。日本古来の製法と味を守り続けるくず餅とくずぷりん

2024/05/29

今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、吉野葛を使った和スイーツ。くず発祥の地である奈良県吉野で、伝統の味と製法を守りながら作られている逸品です。可愛らしいパッケージに入った「くず餅」と「くずぷりん」は、モチッとした食感が楽しく、ホッとする味わい。デザートとしてもお土産としてもぴったりな和スイーツ誕生の裏側を知るため、亀久堂 灘商事株式会社 代表取締役の西灘久泰氏に取材陣がお話を伺いました。

亀久堂 灘商事株式会社 代表取締役 西灘久泰氏
亀久堂 灘商事株式会社 代表取締役の西灘久泰氏

―御社の沿革を教えてください。

西灘 1965年に創業し、法人としてスタートしたのが1975年。
吉野葛製品の製造とお土産物の卸をする灘商事株式会社と吉野葛の製造を主にする有限会社華緑園本舗を設立いたしました。

もともとは、くず菓子を扱うお店で働いていた父が独立して立ち上げました。自分で何かを作るのが好きな人だったのです。奈良県といえば吉野、吉野といえば葛、そこに着目して、吉野葛の製造・観光土産品の卸業などを始めました。

私が代表取締役として先代の父から引き継いだ10年余りは「亀久堂」の名前をどのように弊社のブランドとしていくか。それから「灘商事」と「華緑園本舗」のそれぞれの在り方をどのようにしていくかを考えました。そして、両社がこの「亀久堂」というブランド名を全面に押し出していくことにしたのです。

「亀久堂」とはもともと創業者の西灘晋が創業当時から吉野本葛と吉野葛の商品につけていたもので、先代の父である西灘亀雄と私の名前である西灘久泰の一文字づつをとってつけられました。

その名前を弊社で製造しているくず餅やくずぷりんなど、自社商品のブランド名として販売していくことで他との差別化をはかっています。

今では、吉野葛製品の製造と観光土産品の卸をする亀久堂灘商事株式会社と、弊社専務で私の実弟である西灘士朗が代表を務め直営店や贈答品などの通販事業などを主とする亀久堂華緑園本舗が協力し合い商売に励んでおります。

―経営をする上で大切にしていることは?

西灘 食品メーカーなので、食に対する衛生管理はとても大事にしています。そのため、HACCAP(JFS-B規格)を取得いたしました。

それから、働きやすい環境作り。弊社は、昔からある田舎の町工場で、地元に根付いた皆さんが働きに来てくれています。

実は5年前に会社が全焼してしまって、移転をすることに…。そんな苦しいときでも従業員は誰一人辞めることなく、またお取引のある多くの皆様に助けられることになりました。

決して大きな会社ではありませんが、今までお世話になった皆様がいてくれたからこそ、今も続けられています。お客様ももちろんですが、同時に社員にも感謝の気持ちが強い。会社を好きでいてほしいなと思っています。ですから、感謝の気持ちを常にもって励んでいきたいと、社是は「みんなに感謝」としています。

そして、私自身、吉野という地域が好きです。だからこそ、この地域を大事にして、名産品である吉野葛の歴史を絶やさずに。販売を続けていきたいという思いもずっと変わらずに持っています。

灘商事_1
灘商事_2
ぷるぷるのくず餅は、食べるのがもったいないほどの美しさ。
お重ギフトにはプレーンと抹茶の二種が入っており、どちらも黒蜜ときなこが付いている。

―吉野の名産品「葛」を使ったくず餅は、御社を代表する和スイーツです。

西灘 私には吉野への思いがあります。先代である父も同じ気持ちで、名産品である葛を大切にしてきました。吉野は葛の発祥の地。だから「吉野葛」というのですが、伝統を受け継ぐ葛屋として、創業当時から葛製品を扱っています。

弊社のくず餅は、自社で製造した吉野本葛を使用し、独自の製法で作り上げた半生タイプ。ポイントにしているのは、葛の食感です。モチモチしたなめらかさをいかに出すか。

企業秘密なので詳細はお伝えできないのですが、試行錯誤のなか、現在のモチッとした食感と食べやすさを大切に、甘すぎず、きな粉や黒蜜などかけてもおいしくいただけるように努めています。そのまま食べてもおいしいのですが、冷蔵庫で少し冷やしてからだと、よりおいしいです。

―ロングセラーですが、こだわりは?

西灘 葛の製法は、昔ながらのこだわりのひとつです。
吉野葛は、奈良県吉野地方で作られる葛粉のことをいいます。葛粉とは、葛の根に含まれる澱粉を精製したものです。水に溶かして熱を加えると、とろみがつき、冷やすと透明なまま固まるという特性があります。
吉野葛の粒子は細かく、粘りがあり滑らかな食感が特徴です。また透明感に優れていますので、日本では古くより和菓子や精進料理などの原料として使われてきました。
葛粉の原料となる「葛」は、秋の七草のひとつでマメ科クズ属の植物です。北海道から九州まで日本全国の日当たりのよい山や野原に生息する、つる性の多年草です。長いつると大きな葉っぱが特徴で、その根からでんぷんを採取し12月から3月にかけて昔ながらの寒晒(かんざらし)製法で自然乾燥させるとできあがります。

この寒晒の伝統製法を守って葛を作り、くず餅やスイーツなどの葛製品を製造しています。
くず餅は20年以上販売していますが、レシピは変えていませんので、味は変わりません。それもこだわりです。

変化があるとすれば容器だけ。以前は、お豆腐が入っているような四角い容器でしたが、今は個食の時代です。1回で食べきれるサイズで展開していることが、大きな変更点かなと思います。

灘商事_3
灘商事_4
なめらかでモチモチ食感のくずぷりん。甘さもほどよい。
持ち運びもしやすい個包装なので、お出かけやランチタイムのおともにもおすすめ。

―くずぷりんも吉野葛を使用しています。

西灘 もともとくず餅とわらび餅は作っていて、それ以外にも「くずを使ったスイーツができないか」と考えました。それが10年くらい前になりますが、当時、世の中ではなめらかプリンが流行していたんです。「くずを入れることによって、もっとなめらかで、モチッとしたプリンができへんかな」と作ってみた商品です。

「くずぷりん」も吉野葛の特製を生かし、しっかりとした舌触りと喉越しが特長です。どこか懐かしい味わいも楽しんでいただけたらうれしいです。

―お客様の反応は?

西灘 「くずぷりん」はお客様に好評です。もともとプリンが好きな方も多いですし、大人から子どもまで幅広い年齢層で食べていただけるのかなと思います。お土産としても人気なので、世代を問わずに手に取っていただけるのはうれしいことです。

「くずぷりん」を製造した背景には、若い世代に葛を知っていただきたいという思いもありました。吉野で育ってきた私たちにとっては、小さい頃から親しんでいる食べ物ですが、全国的に若い方になると知らない人も増えています。

でも、葛は消化が早く低カロリーで体にもやさしい。滋養強壮に良く、風邪を引いたときなど私はよく葛湯を飲まされました。風邪薬に「葛根湯」という薬がありますが、その名のとおりに、葛が原材料のひとつ使われていますのでわかりやすいかと思います。

創業当時から地元で葛を扱う商売をさせてもらっているからこそ、葛を広めていくのも役目です。やはり、地元の名産品を皆さんが知らないというのは、寂しい。

年々生産量も減っていますが、それでも吉野葛にこだわって、多くの方に喜んでもらえる商品を作りたいと考えています。

灘商事_5
灘商事_6
風呂敷タイプの包装でお土産やギフトにぴったり。
丸みを帯びた可愛らしい姿かたちで、おやつの時間が華やぎますよ。

―今後のビジョンを教えてください。

西灘 弊社は来年創業60周年、設立50周年という節目の年を迎えます。社是にも掲げているように常に感謝の気持ちを持った商品づくりをしていくことがひとつです。

商品を通して、奈良県の特産品にもっと興味をお持ちいただけるようにしたい。くず餅やくずぷりんなどの葛商品をとおして奈良県のお土産の商品価値を上げていく努力は続けていきたいです。

地域的に奈良は大阪や京都に近く、どうしても良さが隠れてしまいがちです。でも、奈良には奈良の、吉野には吉野の良さがある。それを、吉野葛を通して伝えていけたらという思いでいます。

吉野は、世界遺産の吉野山をはじめ、古くより林業も盛んな地域です。吉野川も美しく、厳しくも豊かな自然風土があります。そのなかで職人が作っている吉野葛は価値ある商品だと思います。

素朴ながらも日本の良さを楽しめる食品ですし、現代でも多くの方に愛されている味。それを守っていきたいです。これからも地元に根を張って、吉野葛の伝統製法と味をしっかりと守りながら、地元・奈良県の良さを広げていきたいと思います。

―貴重なお話をありがとうございました。

「【お重ギフト】亀久堂・吉野くずすいーつ(くず餅・くずぷりん)詰め合わせ1段」(くず餅プレーン75g(別添黒蜜5g・きな粉5g)・くず餅抹茶75g(別添黒蜜5g・きな粉5g)・くずぷりんプレーン5g・くずぷりん抹茶75g×各1個)

「【お重ギフト】亀久堂・吉野くずすいーつ(くず餅・くずぷりん)詰め合わせ1段」(くず餅プレーン75g(別添黒蜜5g・きな粉5g)・くず餅抹茶75g(別添黒蜜5g・きな粉5g)・くずぷりんプレーン5g・くずぷりん抹茶75g×各1個)
価格:¥1,836(税込)
店名:亀久堂 華緑園本舗
電話:0747-68-9053
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kamekudo.shop/?pid=126786463
オンラインショップ:https://www.kamekudo.shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
西灘久泰(亀久堂 灘商事株式会社 代表取締役)

1972年奈良県吉野生まれ。大学卒業後、灘商事株式会社入社。幼少期より家業の手伝いをしながら仕事を覚える。営業や商品の仕入れ、新商品の考案をして様々な経験を経て2013年より代表取締役に就任。現在、自社ブランド商品の開発と地元奈良県や全国各地の特産品を活かした商品づくりに励んでいる。

<文・撮影/青柳舞子 MC/山口優花 画像協力/灘商事>

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter