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まろやかな旨みとコクのある味わい。長年の火入れ技術から生まれる深蒸し煎茶「まんろ」と「初摘み つゆひかり」

2024/09/13

今回アッキーこと坂口明子編集長が気になったのは、静岡県島田市の老舗茶屋が生産する深蒸し煎茶。独自の火入れ技術を活かし、上質なお茶を作り続けています。これまでの歩みや、深蒸し煎茶の特徴について、株式会社高森商店 代表取締役の髙森傑氏に取材陣がお話を伺いました。

株式会社高森商店 代表取締役の髙森傑氏
株式会社高森商店 代表取締役の髙森傑氏

―はじめに、会社の沿革をお聞かせください。

髙森 創業は1951年、今年で73年目になります。創業前は、地元にあった国営のお茶工場で祖父が工場長を務めていました。そのときの茶業の経験を活かして高森商店を設立し、地元静岡のお茶を販売するようになりました。祖父から父へと代々受け継がれ、私は2022年に3代目に就任しました。

―家業を継がれるまでの経緯は?

髙森 前職はプラスチック販売業の営業職でした。3年程勤めた頃、「家業をやらないか」という父の言葉をきっかけにお茶の世界に入ることに。それまでお茶に関してはまったくの素人でしたから、東京築地のお茶屋さんで一から修業いたしました。会社員の経験や、お茶屋さんでの修業経験から学んだことも多く、経営者になった今でも役立っていると感じます。

―創業時から受け継がれている理念を教えてください。

髙森 「おいしいお茶をお届けする、私たちの生きがいです」をモットーに、お客さまに喜んでいただけるよう、原料となる茶葉の選定はもちろん、火入れにもこだわっています。生産農家さんから荒茶(あらちゃ・茶畑でとれた茶葉をそのまま加工したもの)を仕入れ、熱を加えて甘みや香りを引き出す工程は、お茶の味わいを決める重要な作業です。茶葉の出来は毎年異なりますので、それに合わせて火入れ具合を調節しなければなりません。これまで培ってきた長年の経験や、職人たちが記録しているデータを参考にしながら、バランスのよい味わいになるよう毎シーズン工夫しています。

―深蒸し煎茶には、どのような特徴がありますか?

髙森 一般的な煎茶よりも、蒸す時間が長いものを深蒸し煎茶といいます。産地である静岡県の牧之原台地は日照時間が長く、肉厚な茶葉が育ちます。一次加工として、通常は60~70秒くらい茶葉を蒸しますが、深蒸しの場合は120秒くらい時間をかけます。これにより、水色(すいしょく)が濃く、深い味わいのお茶に仕上がるのです。

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やわらかく、成長し過ぎていない芽のことを、
静岡地方の方言で「ミル芽」と呼ぶそう。
この「ミル芽」を原料に使用することで、まろやかで旨みのある深蒸し茶に。

―深蒸し煎茶「まんろ」の特徴も教えてください。

髙森 「まんろ」は、甘みと渋みのバランスがよいお茶です。火入れを少し強めにして、香りや旨味を引き出しています。40年を超える当店のロングセラー商品で、幅広い方に好まれる味わいが特徴です。

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味と香りがよく、緑茶らしい苦味も感じる「まんろ」。
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茶葉には、静岡県内で7割以上のシェアを誇る品種「やぶきた」を使用している。

―深蒸し煎茶「初摘み つゆひかり」はどのようなお茶ですか?

髙森 見た目はエメラルドグリーンのようなきれいな水色が特徴です。新緑の甘みを感じる味わいで、シーズンの最初に摘んだ茶葉のみを使用しています。旨みが強く、苦味や渋みが非常に少ないので、お茶の苦味が得意ではない方にもおすすめです。

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甘みや旨味があり、上品な味わいの「初摘み つゆひかり」。
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一煎目はもちろん、二煎目、三煎目もおいしくいただける。

髙森 こちらは、「つゆひかり」という比較的新しい品種の茶葉を使用しています。お付き合いのある生産農家さんが、20年ほど前にこの品種の栽培を始めました。最初は収穫量が少なく、商品化が難しかったのですが、5~6年ほど前から初摘み茶を販売できるようになりました。

―「つゆひかり」は島田の逸品にも選ばれています。

髙森 島田市がおすすめする名産品として、緑茶部門で「島田の逸品」に認定されました。2期連続の認定となり、大変うれしく存じます。昨年度は当店の「つゆひかり」だけでなく、他の2商品も選ばれました。これもお客さまをはじめ、お茶づくりを支えてくださる皆様のおかげです。

―お茶をおいしく淹れるコツを教えてください。

髙森 沸かしたお湯を直接急須に入れず、一度湯呑に入れて冷ましていただくのがおすすめです。お茶は、旨みのアミノ酸・渋みのカテキン・苦味のカフェインの3つの成分で構成されています。高温のお湯だと渋みや苦味が出やすいため、湯温を少し下げていただくと、お茶の甘みを引き出すことができます。とはいえ、正しい作法にこだわらなくてもおいしく味わえるお茶ですので、気軽に楽しんでいただければと思います。

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丁寧に淹れたお茶に、和菓子を添えれば、おうち時間もより充実しそう。

―近年、ペットボトルのお茶も普及しています。急須で淹れるお茶の魅力は?

髙森 道具も手間も必要ですが、急須でお茶を淹れるひと手間を楽しんでいただきたいです。毎日同じように淹れても、お茶の味わいは微妙に異なります。たとえば、季節ごとに味の変化も感じますし、丁寧に淹れるとお茶の旨みを味わえます。急須でお茶を淹れることで、好みの味わいを見つけていただければうれしく存じます。

―最後に、今後の展開をお聞かせください。

髙森 お茶をより身近に感じていただけるよう、新しい商品パッケージを展開しています。親しみやすいデザインを取り入れ、茶葉ではなく手軽に味わえるティーバッグのお茶と組み合わせた商品です。これを機に、若い世代の方にもお茶を手に取っていただければ幸いです。また、お茶屋さんは入りにくいという印象をもつ方も多いのですが、気軽に立ち寄っていただける場所です。分からないことがあれば遠慮なくお声がけいただき、好みの茶葉を見つけて、ご家庭でもお茶を楽しんでください。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

深蒸し煎茶 まんろ

深蒸し煎茶 まんろ(100g)
価格:¥1,080(税込)
店名:高森商店オンラインショップ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://takamoritea.shop-pro.jp/?pid=157858541
オンラインショップ:https://takamoritea.shop-pro.jp/

深蒸し煎茶 初摘み つゆひかり

深蒸し煎茶 初摘み つゆひかり(70g)
価格:¥1,080(税込)
店名:高森商店オンラインショップ
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://takamoritea.shop-pro.jp/?pid=157858670
オンラインショップ:https://takamoritea.shop-pro.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
髙森傑(株式会社高森商店 代表取締役)

1970年生まれ。3年間会社員として勤めたのち、2年の修業期間を経て、1996年に株式会社高森商店入社。2022年に同社代表取締役就任。コロナ禍の需要低迷を払拭するべく、社員一丸となって奮闘している。

<文・撮影/香川けいこ MC/伊藤マヤ 画像協力/高森商店>

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