編集長のアッキーこと坂口明子が注目したのは、美しい和柄が正面に描かれている「着物リメイク ワンピース OSHIDORI」という名のドレスです。こちらは、リサイクルの着物を仕立て直し、パーティドレスとして生まれ変わらせた1点ものだとか。着物ならではの柄の美しさと、洋服ならではの着心地の良さを兼ね備えた素晴らしいドレスだと、注目を集めています。そこで今回は、株式会社Colorful Studio 代表取締役の袴田久美子氏に、取材陣が着物のリメイクのお話や商品のこだわりなどを伺いました。
リサイクル着物がステキなドレスに大変身!「着物リメイク ワンピース OSHIDORI」
2024/09/19
株式会社Colorful Studio 代表取締役の袴田久美子氏
―着物とは全く関係のない事業からスタートなさったそうですね。
袴田 もともと私は東京で会社員をしていたのですが、地元で何か事業をやってみたいという想いがあって静岡に戻りました。そこで地元でできる事業はないかと探したところ、「手作り体験工房ルーベラ」というアクセサリー&小物作り工房に出合ったのです。そして、2019年にルーベラを譲り受けることができ、そこから私の社長業がスタートしました。このときはまだ、着物とはまったく無関係の仕事をしていたのです。
―御社がリサイクル着物を扱うようになったきっかけは?
袴田 地域の展示会に参加した際に、「きものリサイクル 忠右衛門」を経営する有限会社かねたの社長さんと知り合ったことがきっかけです。社長さんからお話を聞いていくうちに、事業を継承される方を探しているということを知りました。そして、私に忠右衛門の事業を任せたいとおっしゃっていただけて、2023年11月に弊社が事業継承することになりました。
きものリサイクル 忠右衛門 本店の店内。
―リサイクル着物をリメイクしようと思った経緯は?
袴田 リサイクル着物事業の課題の一つとして、状態が良くても着用に向かないものがある、というものがあげられます。着物というのは、その人の体型に合うサイズで作られていますので、現代の人には小さすぎるということが多々あるのです。そのような小さいサイズの着物は、いくら物が良くても着用に向かないため、実際の価値に見合う価格が付かないことも多い状況でした。
そこで、着物本来の価値を訴求する方法の一つとしてリメイクに挑戦しようと思いました。リサイクル着物をリメイクして洋服や和装小物に再生することができれば、その生地の価値を、歴史や文化とともにしっかりとお客様に伝えて販売していけるのではないかと思ったのです。
―リメイクしてできた商品はどこで購入できるのですか?
袴田 「BUENVIVIR(ブエンビビール)」という新しいECサイトを立ち上げましたので、2024年の7月を目標に本格的に販売していくつもりです。
※インタビュー当時は2024年5月。
ECサイトの名であるBUEN VIVIRというのは、「いい暮らし、環境と調和して精神的に豊かに暮らす」という意味があります。リメイク商品ですが、スタイリッシュで明るくビビットなイメージで売っていきたいという想いがあって、ビビットのVIVIから単語を探し、スペイン語のBUEN VIVIRという言葉にたどり着きました。
―今回ご紹介のドレスの説明をしていただけますか?
袴田 こちらは、「着物リメイク ワンピース OSHIDORI」という名の商品です。もともと非常に価値のある、未仕立ての訪問着でした。生地や柄がとても良いものでしたので、この柄を活かしたワンピースにしてはどうかという話になり、国内の縫製工場との綿密な話し合いを経て、このような素敵なドレスに生まれ変わらせることができました。
このドレスの表地の素材は正絹ですので、高級感のある上品な光沢があり、フォーマルなパーティドレスとしても着用できます。柄は菊・梅・オシドリなど、日本古来からある伝統的かつ代表的な絵柄で、とても縁起がいいものです。
パーティで、このドレスがもともとは着物だったということをお話しされれば、周りの方から驚かれると思いますし、ちょっとした会話のきっかけにも使っていただけると思います。世界でたった1つだけのドレスですので、さりげなく個性をアピールできる一着です。
着物リメイク ワンピース OSHIDORI。右側からと左側からそれぞれ撮影。
―他にはどのようなリメイク商品がありますか?
袴田 小紋の着物を、スタイリッシュなノースリーブのトップスとワイドパンツにリメイクしたセットアップも好評です。この商品には、MINAMOとKARAKUSAという名を付けました。こちらは比較的カジュアルな形にリメイクしましたので、普段着や仕事着、外出着、食事会など、さまざまなシーンで活用できます。
他に、リサイクル着物からシャツやスカートなども作っています。今回紹介した洋服はノースリーブのものばかりでしたが、袖ありのものも欲しいとの声があったため、今後は袖ありの洋服も作っていきたいと思っています。
小紋の着物を洋服にリメイク。左がMINAMO、右がKARAKUSA。
MINAMOとKARAKUSAの着用画像。
リサイクル着物から品のあるスカートへとリメイク。
―最後に、今後のご展望をお聞かせいただけますか?
袴田 廃棄なども含め、アパレル業界を取りまく課題は少なくありません。また伝統衣装である着物は、歴史や文化に意識を向けさせてくれる身近な存在の一つです。着物を通して感じられる歴史を、普段着物にはなじみがない層の方々にも感じていただきたい。年々増えていると言われている着物の廃棄も減らしたい。リメイクを通じて、多くの人の生活に自然と着物の要素を取り入れてもらうこと、それが私たちの思いです。民族としての歩みを感じることのできる、世界でたった一つの商品を生活に取り入れていただくことで、生活に潤いと彩りを添えられたらと思います。
そのためにも、リサイクル着物で新しいリメイクの商品を作り、新しく作ったECサイトから、テンポよく紹介していくことが大切だと考えています。あわせて、ポップアップストア出店や海外展示会でのPRなどにも挑戦し、より多くの、多様なバックグラウンドの方に私たちの商品を見ていただきたいと思っています。
―本日は大変貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
「着物リメイク ワンピース OSHIDORI」
サイズ:身丈:99cm
肩幅:37cm
バスト:88cm
ウエスト:84cm
ヒップ:98cm
素材 表地:絹100%
裏地:ポリエステル100%
価格:¥77,000(税込)
店名:BUEN VIVIR
電話:053-454-3660(10:00~18:00対応)
定休日:水曜日
インターネットでのご注文は24時間365日対応
商品URL:https://kimono-buenvivir.com/?pid=180949446
オンラインショップ:https://kimono-buenvivir.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
袴田久美子(株式会社Colorful Studio 代表取締役)
1978年静岡県生まれ。大学卒業後、高校教員を経てPR会社、ビジネススクール、
インターナショナルスクール等で広報などを担当。2019年、東京より地元静岡に戻り、浜松で「手作り体験工房ルーベラ」の事業を譲り受け、経営。2023年には、大正十五年創業の老舗リサイクル着物専門店「かねた忠右衛門」の事業を承継。地域を盛り上げる活動や歴史・伝統を現代につなげる活動に尽力している。
<文/鶴良子 MC/三好彩子 画像協力/Colorful Studio>